第一話 異世界学園生活には波乱がつきもの。
今回からメルトの学園生活が本格的に始まります!この作品をよろしくお願いします!
四界学園。この四大世界最大にして最高の学園。
学風は「自由」。この世界にいる魔物や厄災、そしてたまに現れる、悪の魔王や暴走した神なんかを抑える冒険者を育てるためにある学園だ。
だがそれだけではなく、鍛冶や魔道具生成の資格や、はたまた冒険者を支える冒険者ギルドや国を動かす公務員などになるための資格だって取れるのがこの学園だ。
俺はその中でも冒険者になるための「冒険学部」に入ったのだが..........
「おいやばいって!もう入学式始まっちまうって!まじで間に合うのかよ!?」
「うるさいなぁ!ボクだってキミに加速魔法かけてあげてる上に空飛んでんだから、もうヘトヘトだよ!そっちこそもっと早く走れないの!?」
「無理だよ!ちっくしょう油断した!もっと早く起きれば良かった〜!」
「ボクは早朝からキミのこと頑張って起こしてたよ!」
入学初日から、遅刻しかけている。
「おい、見えたぞ!学園の門だ!」
「やったぁ!多分間に合うよ!入学するのはキミなんだから、もっと早く走って!」
「よっしゃあ!行くぞー!」
なんとか、入学式が始まる前に学園についた。
学園の大きな門をくぐり、受付に駆け寄る。
「すいません、今日入学するメルトです!まだ大丈夫ですか!?」
「ああ、おはようございます。なんとかまだセーフですよ。入学おめでとうございますメルトさん。あなたのクラスは1年C組です。入学式が行われる大講堂はこの先右を曲がって真っ直ぐです!急いでくださいね!」
「はい、ありがとうございます!すぐ向かいます!」
親切に教えてくれた受付の先生にお礼を言い、大講堂に向かう。
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大きな鐘の音がなった。時刻は午前8時、入学式開始の時刻だ。
「やれやれ、なんとか間に合ったかな?全くメルトは.....入学初日から遅刻しかけるなんて........」
ボクはメルトを見送ったあと、正門の前で待機していた。
確か、入学式が終わるのは10時、解散は13時ほどだったはずだ。
それまでは一息ついてゆっくりしよう.......朝から疲れた........
「うーん、使い魔は使役者からあまり離れられないからなぁ・・・・・しょうがない、ここで昼寝でもしますか。...........まだ朝だけど」
「ニャア」
「ん?」
どこからか猫の鳴き声が聞こえる。あたりを見回してみると、学園の門の上に猫がいた。
「ニャォ?」
「キミはいいねぇ、気楽そうで。・・・・・なんだい?きみもおいでよ、だって?..........残念ながら、それは無理さ。ボクが中にはいったら警報がなってしまうからね。」
猫は不思議そうな顔をしながら学園の中に入っていった。
「だってボクは『 』なんだから。」
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入学式が終わり、クラスでのホームルームが始まった。
俺は今、もう疲れ果ててボーっとしていた。
「よう、おはよう少年たち。私が君たちの担任である否理境影だ。これから宜しく頼むぞ!」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
「よし!いい返事だ。私の担当教科は戦闘訓練、実戦をして学ぶ教科だ。これからは頑張ってくれたまえ。」
なんかいい感じの先生だな......熱血すぎたりしてもやだからなぁ...........
「では早速、自己紹介をしていってくれ!うーん、とりあえずそこの君からよろしく!」
その後も自己紹介は続き、ついには俺の番になった。
「魔導界で暮らしてます、メルトといいます。よろしくお願いします。」
その後も、自己紹介は続き、ついに解散となった。
「では、君たちはこれからこの四界学園の生徒として日々を過ごすこととなる。規則正しい生活をし、健康には十分気をつけること。それでは、今日はこれで解散とする。では、サンダン君、挨拶を。」
「はい!気をつけ、礼!」
「「「ありがとうございましたー」」」
「はい、お疲れ様でした!では、解散!」
大きな鐘の音が流れ、皆が帰り支度を済ませて帰っていく。
やっと終わったか。今日はほんと疲れ...................
「ねえねえ!これからよろしくね!」
終わってなかった。
唐突に隣の人に話しかけられた。銀髪のショートヘアに、低めの身長、きれいな碧眼の目は垂れ目がぱっちりと開いていて、人懐っこい印象を与えている。そして背中には、透き通った銀色の羽。
確か名前は、サンダン、だったはず。
「そうだね、よろしく、サンダンくん。」
「そう、僕の名前はサンダン!よろしくね、メルト君!」
「君って、精霊族なんだっけ?」
「そう、僕は鏡精霊なんだ。土と炎の属性の親がいる変異型の複合属性なんだ。」
「へぇ、複合属性ってすごいね。」
複合属性。それは、とても希少と言われる精霊の一種。親が異なる属性の精霊で魔術を極めた存在から稀に生まれるという2つ以上の魔法の適性を持つ才能の原石だ。
「まあ、そうかもね。そう言ってもらえると嬉しいよ!それでね、さっき先生が言ってたけど、明日、初回の授業で相棒決闘をするんだって。それで、もしよければ一緒に組まない?」
ほう、初耳だ。さっきすでに疲れ果てて眠かったから、まともに話を聞いていなかった。まぁ、組んでくれるならありがたい。
「それは嬉しいな。是非一緒に組ませてほしい。」
「やったぁ、ありがとう!じゃあこれからよろしくね、メルト君!」
「メルトでいいよ。よろしく、サンダン。」
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その後、別の道で帰るというサンダンと別れ、教室で荷物をまとめていると、後ろから声をかけられた。
「少年、ちょっといいかな?」
振り向いてみると、担任の否理先生だった。
「何でしょう、否理先生。」
「君には契約した使い魔が居ると聞いたんだが、その使い魔を呼んでくれないか。許可は出すから。」
「はぁ、わかりました。」
なぜだろう、俺の使い魔であるフェイは別に特別な存在ではないし、他にも使い魔が居る生徒はいるはずなんだが......
「〈使い魔召喚〉、フェイ」
眼の前に黒い霧が立ち込め、中からフェイが出てきた。
「ぇ?なんでここに?」
「ごめんフェイ、突然呼び出して。」
「それはいいけど......ここって学園内なんじゃ?」
「いや、それは先生が.... 」
後ろを振り向いて先生の方を見ると、先生はにやりと笑っていた。
「やはりそうか。馴染んでいるようで良かったよ。」
「はぇ!?あなたは...........!」
「え?知り合いなんですか?」
「い、いや........別に........」
そういうと、先生は頭を振って微笑んだ。
「いや、こちらこそ済まない。引き止めてしまって。気にすることはないさ。大したことではない。」
「そうですか?ならいいんですけど。」
「そうだ、君たちはどこに住んでいるんだったかな?」
「ええと、異世界門近くの宿屋に泊まっているんですが、それがどうかしましたか?」
そうすると、先生はまたにやりと笑った。
「それなら、私の別荘が学園の近くにあるから、そこに住むといい。なに、家賃はいらないさ。引き払おうとしていた家だからな。」
「「ええ〜〜〜〜〜〜!!!」」
とんでもないことをサラッと言った先生は、興味深そうな表情で俺達を見つめていた。
いかがだったでしょうか。まだ初日のメルトとフェイの学園生活がこれからどうなっていくのか、ぜひご期待ください!
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