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君の"エガオ"を奪うまで  作者: 夜の塩焼き
怪盗夜空は不思議がお好き
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4

ドンドンと、ドアを叩かれている。

ノックでは無い。すぐに開けろという、命令に近い……脅迫のような叩き方だ。


「夜空、開けなさい。まだ起きているんだろう?……鍵を開けなさい。夜空」


声を殺して、息を殺して……出そうになる嗚咽を抑えて……震えながらドアを抑える。


「仕事だ。お前にしかできないことだ…なあ、前もしただろう?簡単だっただろう?……お前はそれしか出来ないんだから」


ちがう。もうあんなことしたくない。気持ち悪いし、痛いし、思い出しただけで吐き気がする…いやだ、もうやりたくない!!


「……夜空………全く、どこまで迷惑をかけたら気が済むんだ……夜空」


ーーカチリと、鍵が開く音がする。

ドアが、推し開けられる………いやだ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だもう嫌だいやだやりたくないここから出たくない嫌だ!!


「夜空」


抵抗虚しく、ドアは開けられる。俺によく似た髪と、よく似た目をした男は……俺の襟首を掴み、そのまま床に叩きつける。

右の顔面部を(したた)かに打ち付け、眼窩(がんか)にじわりと痛みが走る……


「手間をかけさせるな」


痛みで動けない俺を、腕を掴んでズルズルと引きずっていく。痛みが…威圧感が…怖くて、体が動かない……


動けない…………誰か………誰か………


「ーーーー夜空さん!!」


ーーはっと、意識が戻る。

荒く呼吸を繰り返し、悲鳴を上げかけた口を手で抑える……続けざまにやってきた激しい吐き気を、体を縮こまらせて耐える……


「夜空さん、大丈夫ですか…?……落ち着いてください、大丈夫です…僕がいます…僕が助けに行きますから…!」


不思議と、涼やかな風のように落ち着くその声は………そうだ……


「あざ、れあ………」

「はい、アザレアです。僕がいますよ。大丈夫です」


アザレアは、丸まった俺の背を優しく撫で、しきりに「そばにいる」「大丈夫」と声をかけてくれた……ずっと欲しかったその声に……言葉に……ざわめいていた感情が落ち着いていく…。


「……落ち着いてきましたか?」


数度息をつき、上体を起こす。窓からは薄く灯りが差し込んでおり……ちょうど日が出始めた時間であろうことがわかった。


「……ごめん…起こした…?」

「いえ…大丈夫です。僕も、ちょうど眠りが浅くなっていた時間だったのだと思いますし」

「………そう」

「……怖い夢でも、見ていたのですか?」


怖い夢…………ああ、確かに怖い夢だった………だったはずなのだが…………覚えてない。


「………なんか、見てた……」

「そうですか……夜空さん」


目覚めたばかりで乱れた俺の髪を軽く()き、そのまま頬に手を当てられ…彼は、コツンと額を合わせてきた。


「っ…」

「怖いことがあったら…僕を呼んでください。あなたが願えば…呼んでくれれば…僕はどこにいても、すぐに駆けつけます」

「………………」

「大丈夫。僕は…夜空さんの不思議です。絶対に1人でどこかへ行ったり、裏切ったりしません」

「………………」


額が離れる。恥じらいから閉じていた目を開ければ、そこには、優しく微笑(ほほえ)む王子の姿があった。


「僕を信じてください……夜空さん」


彼はとことん、俺が欲しい言葉を……欲しかった愛情をくれる。徐々に、それに(ほだ)されて行っている……言ってしまえば、依存してきている自分が…少しだけ怖い。

なんのために、彼をここに残したと思っている?……ここで、幸せになってもらうためだ。

俺だけ幸せにしてもらうのでは……ダメだ………分かってる…………のに…………。


ーー彼を求めてしまう。俺が欲したものを、全て与えてくれる、彼のことを………


「………………ごめん」

「えっ………」

「………おれ………ごめん………こんな、…………っ………」


なぜだか分からない。けれども、無性に涙が溢れてきて、止まらなくなった。


「よ、夜空さん……?………大丈夫ですよ、僕ずっとここにいますから!……だから、泣かないでください…夜空さん」


優しい慈愛の王子は、縮こまる俺の体を優しく抱いてくれる……寝間着(ねまき)が濡れることも(いと)わず、胸を貸してくれる…ああ……もうダメだ。ダメなんだ………


してきてる、のではない………俺はもう、彼に……依存しているのだ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「夜空さん…本当に、大丈夫ですか…?」


玄関で靴を履く俺に、アザレアは心配そうに声をかけた。

結局引ききらなかった目の腫れを誤魔化(ごまか)すように、俺はニコリと笑ってみせる。


「大丈夫…泣いてスッキリした。ありがとう」

「…………あの、僕……今日はずっと家にいますから……お仕事終わったら、まっすぐ帰ってきてくださいね。お夕飯、準備して…待ってます」

「そう?……なら、お願いね」

「はい!任せてください!!」

「ん、任せた」


いつものように、笑って、頭を撫でる。

すると彼は、とびきり幸せそうな顔をして、それを受け入れてくれる…。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい、夜空さん。お気をつけて!」


この挨拶も、ここ2ヶ月でだいぶ慣れてきた。

軽く手を振り、戸を閉める。バイト先の喫茶店までは、だいたい徒歩で10分ほどだ。

…………夕飛がうちに来てから1ヶ月。あの日以来、急激に体調が悪化したのは自分でもわかった。原因はわかってる……


「………ぅ……」


考えちゃダメなのは分かってる。でも…頭について離れないそれは、俺の心臓を容赦(ようしゃ)なく締め付けた。

建物の影に入り、カバンの中の薬ケースを開ける……最近通院をサボっているせいで、中身はほとんど空だった。

そういえば…睡眠薬が切れたんだった……そろそろ行かないと……でも……いや、あの先生に限ってそんことは……分かってる。分かってる……。

持ってきた水で薬を飲み下し、また歩き出す。早く行かないと、遅刻してしまう…。


「………っ………、………」


薬は飲んだ。大丈夫。大丈夫。……大丈夫。

ドアに手をかけ、いつもの笑顔を作る…大丈夫。


「…おはようございます」


開店前の店内には、従業員しかいない。俺はもっぱらキッチンの担当なので、それもあってもっと少ない。


「おはよう、夜空……ちょっとあんた、顔色大丈夫…?最近ずっと酷かったけど……今日殊じゃない?」


ここのオーナー……マスターの奥さんは、こういうところの察しがいい。だから、隠すのも一苦労だ。


「そうですか?……昨日、アザレアと遅くまで本読んでたからですかね…ちょっと寝不足はあるかもしれないです」

「そうなの?……程々にしておきなさいね。あんた、本読み出すとすぐ時間忘れちゃうんだから」

「はい……気をつけます」


それ以上勘づかれないよう、バックヤードに逃げ込む。

荷物を置いて、着替えて、消毒して…………


「…………もう1回……」


……ロッカーに戻り、カバンを開ける。残り僅かになった薬ケースを開ける………だめだ、何を見ても不安になる……


(……この量なら、まだ…ギリ大丈夫……なはず……)


さっき飲んだものよりも、強い方を…どうしようもなく不安になった時だけなら、2錠飲んでいいと言っていた。だから大丈夫。

水で飲み下し、追い打ちにキャンディを放り込む……噛み砕いて飲み下せば、メントールの清涼感が意識を明瞭(めいりょう)にしてくれた。心做(こころな)しか、動悸も収まった気がする。

再度手指を消毒し、キッチンに出る…そこには、既にマスターの姿があった。


「おはようございます」

「………おはよう」


話し好きな奥さんと違い、マスターは物静かな人だ。

この寡黙(かもく)な男と、ただ必要なやり取りだけをしながら料理をする時間が…俺は割と好きだ。

黙々と、必要な食材を切っていく。


人参、玉ねぎ、ピーマンはみじん切り。

えんどう豆は筋をとって、中身を出す。さやは(まかな)いで使うので、一旦タッパーへ。空いた時に細く刻んでおく。

いちごと桃は………できてるみたいだ。今やることは無い。

バジルソースの残も……大丈夫。………大丈夫…?………微妙に足りない気がする。


「マスター、あの…」


こうして忙しく動いていれば…何も心配いらない。鬱屈としていた頭も心も、忙殺されていく。

仕込みから昼時までは忙しいが…それを過ぎればだいぶ落ち着いてくる。フルタイムのバイト向けに賄いを作って……それが終わったら、ようやく休憩を取れるようになる。

……今はあまり、取りたいとは思えないが……


「……夜空」

「?……どうしました、マスター?…あ、賄いはできてますよ。なので、先休憩入っちゃっても…」

「お前、最近医者行ってるか?」


…………こっちも、そういうのには鋭いんだった。


「………えっと………」

「………そうだろうと思った」

「…すみません…最近バタついてて……」

「…謝る必要は無いが…あいつの言う通りだ」

「……奥さんの?」

「ああ。クマが酷い」


これは…さすがに隠せなかった。確かに…


「………夜空、お前今日はもう帰れ」

「え、でも…」

「それから…ちゃんと診療受けるまで出停」

「は…?」


思わず素で声が出る。


「明日…俺ワンオペの時間あったと思うんですけど」

「俺が出るからいい」

「ダメです。マスターももう歳なんですから」

「何年この店のキッチンほぼ1人で回したと思ってんだ…そう思うならさっさと診てもらってこい。領収書持ってこなきゃバック入れねえからな」

「…………」


この老夫婦は……とことん俺に優しい。俺だけでは無いのだけれど…何度も、本当にこの2人の子どもだったら…というのは、考えた。

…………そうだったら、なんて…考えるだけ無駄なのだが。


「……分かりました。今日は失礼します」

「明日もだ。とりあえずすぐ医者と連絡取れ。できるなら薬だけでも貰え」

「分かりました!………お疲れ様です」

「ん…冷蔵庫のプリン、ふたつ持ってけ」

「…………、……………。……………いただきます」

「ん」


バックヤードに戻り、渋々着替えをする。

アザレアを理由にしてはいけないのはわかってるけど…実際、それどころじゃなかった所もあるのは事実……

事実だから……そんなに気にすることじゃない……


「………………」


何、言われる……かな……


「夜空」

「はいっ!?」


不意に声がかかり、()頓狂(とんきょう)な声が出てしまう。

キッチンへ繋がるドアから顔を覗かせたマスターは、そんな俺の事を笑いもせず、淡々と続けた。


「不安なら、そこで電話していい」

「………すみません」

「謝ることない」


それだけ言うとマスターは仕事に戻って行った……なら、お言葉に甘えよう……

いつもより重いスマホを取りだし、連絡先から名前を探す……ほとんど登録されていないそこから探し出すのは、容易だった。


「…………大丈夫」


震える指で、通話ボタンを押す。

そうして、通話口に耳を当て、少しすると……聞き慣れた看護師の声がした。


『お電話ありがとうございます。草子ヶ丘(ぞうしがおか)大学附属病院です』

「あ……もしもし…いつもお世話になっております。再診の予約をしたいのですが…奉刻(まつどき)先生って、次空いているのはいつになりますか」

『奉刻先生で、再診のご予約ですね…お名前お伺いしてよろしいですか?』

「………………枢宮、夜空です………」

『枢宮さん……ああ、枢宮さん!久しぶりですね~!少々お待ちください、確認しますね』

「はい…お願いします」


直後、保留音が流れてくる……正直この時間が、1番嫌いだ。

奉刻紫縁(ゆかり)……俺の、心療内科の主治医であるこの男性は、当時死ぬ勇気もないのに死にたいと(のたま)った俺に、待ったをかけてくれた…重たいこの不安を、一緒に受け止めてくれた、初めての人だ。

信用していない訳では無いし、苦手な訳でもない……きっと、これだけ期間を開けたことに関して小言の一つや二つはあるだろうが…糾弾(きゅうだん)なんか絶対にしない…そう、確信できるほど、信頼を置いている人物だ。

……そんな人を…半分信じられなくなってしまうくらい、重い不安が襲いかかっている……さすがに、忙しいとはいえ、サボりすぎた。本当に…。


『おいこら夜空』


不意に保留が途切れ…聞こえてきたのはそんな男の声だった。


「………奉刻先生…?」

『そうだよ………お前、この前うち来たの何か月前だと思ってる?』

「……3ヶ月ほど…前、ですかね………」

『薬は』

「……まだ、数回………一、二回分は…」

眠剤(みんざい)と漢方も?』

「そっちは……だいぶ前に、無くなりました…」

『…………まあ、それがなくても大丈夫なくらい…安定してたならいい事だけどよ』


意外と怒ってない……


『……通院や薬我慢する段階までは回復できてねえんだから、(しばら)くはこまめに来いって言ったろ?』


そんなこと無かった……


「………すみません」

『あー……良い良い。こうして電話してきてくれるだけ、お前はまだいい方だよ。んで日程な……最速明後日の午後……薬の処方はすぐには無理だから、絶対このタイミングで来い。どうしようもなく死にたくなったとか、薬のストック完全に切れたらその時点で駆け込んで来い。時間作る』

「はい………分かりました」

『ん……あー……夜空、今すぐ来れるか?』

「え…はい…」

『なら、リラックスハーブのティーバッグくらいなら分けてやれるから…すぐ来い。受付に渡しとく』

「………分かりました。ありがとうございます」

『ん…じゃあな。明後日、会えるの楽しみにしてる』

「はい………失礼します」


電話を切る……緊張が少し解れて、方の力が抜けた。

声音から…物言いから、気にかけてくれていたことが伝わってきた。少しキツイ言い方にも聞こえるかもしれないが……こういう状態でも、変わらず接してくれる方がありがたい俺にとっては…心地よかった。

荷物をまとめ、一度厨房に顔を出す。すると、ちょうどプリンを箱詰めし終わったところだった。


「……電話、できたか?」

「はい……明後日、行ってきます」

「ん……ちゃんと行けよ」

「……はい」


差し出された箱を受け取り、そのままホールに出る。


「気をつけて帰ってね!アザレアちゃんにもよろしく!」


能天気な奥さんの声に見送られ、俺は店を出た。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





病院に寄り、先生が言っていたティーバッグを受け取り…そのまま何事もなく家へと帰ってきた。

安心感か、副作用か……少し体がふらつく。

アザレアには悪いけど……風邪気味で帰ってきたとか言って、少し寝かせてもらおう。


「……ただいま」


戸を開けて声をかけると、奥から少し驚いたような声を出し、アザレアが顔を出した。


「夜空さん…?早かったですね!おかえりなさい!」


あまり疑問には思ってないのだろうか。なら都合がいい。このまま貫かせてもらおう。


「ん…今日はもういいって。明日も、人足りてるからって、お休み貰った」

「そうなんですか……夜空さん、ずっと頑張ってお仕事してましたもんね!」

「それは分からないけど……まあ、そういうことだから……これ、お土産」

「わぁ!なんでしょう…?不思議のお料理、なんでも美味しいので楽しみですねぇ♪」

「………うん」


…本当は、言ってしまった方がいいのだろうと思う。その方が、俺にもアザレアにもいいのだと思う。


「ちょっとひんやりしてますね…ってことは、冷蔵庫とか入れて、冷やしてから食べた方がいいものでしょうか……夜空さん?」

「ああ、うん……プリンだって。冷蔵庫、入れて置いて」

「………大丈夫ですか?…疲れてます…?」

「はは……うん…ちょっと……」

「ああ、そうでしたか……なら……」


不意に、柔らかいものに包まれる。ふと顔をあげると、そこには美しい金糸……アザレアが、抱きついてきたのだと…理解するのに、少し時間がかかった。


「アザレア……?」

「こうすると、疲れが少し取れるんですって…ハグ、って言いましたっけ」

「…………なんで……」

「なんで…えっと…人の体温と、鼓動を感じると…人って安心するんですって」

「……そう」


色々、調べてくれたんだろうか。今朝、俺が変に泣いたりしたから……

気を遣わせてしまった……でも今は……それが心地いい。ゆっくり、アザレアの背に手を回すーー


「確か……お母さんの胎内にいた頃を、思い出すのだとか」



ーー生まれてくるのは、夕飛だけで良かった



「っ…………、あ…………」

「…?夜空さん…?」


収まっていた動悸が……また、激しくなる…違う、今フラッシュバックしなくていい。やめろ。これ以上心配かけさせたくない…やめろ、やめろいやだ今はいいから…後でいいから今は…!!



ーーねえ、あなたにできる最後のことよ。聞いて夜空。



「っ………、ぅ………はっ………っ……」

「夜空さん……?大丈夫ですか、夜空さん…?」



ーーこれ以上迷惑かけないうちに……死んで



「ぃ、ヒュッ………あ"、っ……」


喉に強烈な圧迫感がかかる……ああ、今思い出したくなかった。普段なら大丈夫だったのに。今日は…今日に限って……!

空気が塊となって、喉を圧迫する。そんなことは無いのに、上手く呼吸ができない。どうやったっけ。息を吸って、吐くのって……おれ、いままでどうやって、たっけ……?

くるしい、気持ち悪い……はきそ、う……たりない、こわい…こわい…どうしよう、どうしたら…!!


「ーー!!……、兄ちゃ……兄ちゃん、兄ちゃん、聞こえる!?俺の声分かる!?」


聞き覚えのある声がする。

定まらない視点を何とか前に向けて、正体を探る。ああ、知ってる……わかる………夕飛……俺の、弟だ……


「ゆ、……ひ……」

「OK、聞こえるね…大丈夫。兄ちゃん、俺に合わせて呼吸して。大丈夫だからね。ゆっくり行くよ……」


呼吸………そうだ、そうだ……こうして、吸って………こうして、吐いて………そうだ、そうだった……


「うん、いいよ…そのまま……兄ちゃん、ちょっと体動かすよ……アザレアさん、そっち支えて」


アザレア……ああ、そうだ。アザレア……アザレアは…?


「夜空さん…夜空さん、大丈夫ですか?……大丈夫なんですよね、夜空さん…本当に大丈夫なんですよね!?」

「大丈夫!大丈夫だから、今は黙って運ぶ!!」


また、心配かけさせてしまった……どういう訳か、夕飛もいるし……どうして……


「薬、は…………………そういうこと……兄ちゃん、ちょっと待ってね…とりあえず、今は寝て……大丈夫。何も心配いらないよ」

「………夜空さん……」


じんと、脳が落ちてゆく感覚がする……恐らく、副作用と……酸欠と……色々……


「……ごめんなさい……」


………ああ……最低だ。謝る必要なんか、なかったのに………謝るべきは、こっちなのに………


(かす)んでく視界の端に…泣きそうな顔のアザレアが、少しだけ映った気がした。

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