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子供たちと双子1
冷えた朝の空気の中、学舎へ向かう細い道の途中、ミルダとグラシアの背後で少年たちの騒がしい笑い声が響いた。二人の後ろから急ぎ足で近づく足音がして振り返ろうとしたが、その間もなく乾いた泥団子がミルダの肩に当たり、粉々に砕け散る。驚いて立ち止まると、少年が追い抜きざまに顔を歪めて悪態をついた。
「呪いの双子!お前たちなんかがいるから村が不幸になるんだ!」
ミルダは肩を押さえ、戸惑いながら後ずさりする。グラシアは怒りで顔を赤くし、泥を投げた少年に食ってかかろうと一歩踏み出した。
「なんてことをするの!私たち何もしてないじゃない!」
これまでにない反応を見せたグラシアに少年はギョッとした様子だったが、その言葉に耳を貸すどころか、他の子供たちと一緒になって笑いながら遠ざかっていく。ミルダは静かに肩の泥を払うと、グラシアの腕をそっと引いた。
「行こう、グラシア。怒っても…変わらないよ。」
グラシアは悔しそうに歯を食いしばりながら、ミルダの顔を見上げる。けれど彼女の瞳の奥に宿る静かな決意を感じ取ると、力なくうなずき、また歩き出した。