子供たちと双子4
「なんか…最近のあの双子、変じゃない?」
「ね…。ミルダもグラシアも変わったっていうか…。」
教室の片隅で、数人の子供たちがひそひそと話していた。誰かが言った言葉が、また別の誰かの耳に届き、そして次第にその声は小さな噂話へと変わっていく。
「ミルダって、優しかったんだね…。誰に対しても手助けしてくれるんだって」
「ふぅん…。でもグラシアはなんか…怒りっぽくなったよね。そういう子だったのかな?」
「アルバがちょっかいかけたときも怒って掴みかかろうとしたんだって」
「カミラにも冷たかったもんね…」
会話はそのまま続き、やがて教室全体に広がっていく。双子が、今までのように静かで目立たない存在ではなくなったことが、どこか周囲に不安や戸惑いをもたらしているようだった。
その中でも、やはりミルダの方が好感を持たれているようだ。彼女の優しさや、誰にでも手を差し伸べる姿勢は、誰の目にも温かく映った。しかし、グラシアについては、その不器用で攻撃的な態度が、周りの子供たちにとっては怖れや抵抗を生むものになりつつあった。
「グラシアはまだしも…今のミルダなら、私ちょっと仲良くしてみたいかも…」
「ダメだよ。大人たちからも言われてるじゃん、あの双子とは関わっちゃダメだって」
「……そうだよね…」
窓の外、微かに風が吹き込む中で、エアリアルは楽しそうに教室の中の会話を盗み聞きしていた。窓が少し開いているから、その声は風に乗って、外にまで届いている。
妖精の姿は人間の目には映らない。その姿を見ることができるのは、稀に生まれる魔力を持つ者の中でも更に稀な「理に触れるもの」だけだ。
「かってなことばかり言うのね。あなたがどうしておこるのか、あのこたちにはわからないみたい」
自分の声は届かないと分かっていても、エアリアルはそこにいる少女に話しかける。そこではグラシアもその会話をこっそり耳にしていたのだ。彼女は何かに押しつぶされるような気持ちで、ただ静かに立ち尽くしている。窓のすぐ近くで、足を止めて話を聞いている自分が不甲斐なく思えて、グラシアは何度も深呼吸を繰り返す。
そしてただ静かに背を向け、足を動かし始めた。胸の中に湧き上がる怒りと、抑えきれない感情を胸に秘めたまま。




