子供たちと双子2
冷えた空気が漂う教室で、教師が開いた聖典を前に子供たちは神妙に耳を傾けていた。女神エリュンナの話が語られる時、教室の空気は張り詰め、誰もがその静けさに引き込まれるかのようだった。
星々の運行を司り、運命の糸を織り上げるとされる「星々の歌い手」、女神エリュンナ。その姿を想像しながら、教師の読み上げる言葉一つひとつに心を奪われる。
一通り読み終えた後、教師は子供たちに問いかけた。
「では、この章は女神エリュンナが何を教えようとしているか、皆はどう思う?」
子供たちが静かに思案する中、一人の女生徒が勇気を出して答える。
「女神エリュンナは、運命を自分で決めるべきだと言っているように感じます。」
しかし教師は、その答えに少し眉をひそめ、「違う」と厳しく首を振った。
教師は冷たい視線で生徒を見つめ、厳しい口調で続ける。
「星空に浮かぶ無数の光はエリュンナの目とされ、彼女は運命や希望を象徴する存在だ。星々の運行が決まっているものであるように、人々の運命もまた決まっているんだ。だから、あるがままを受け入れる心が大事であると、女神エリュンナは説いているんだよ」
その解釈に周囲の子供たちは静まり返り、最初に答えた生徒も小さくうなだれた。その姿を見て、ミルダはそっと手を挙げると、教師に尋ねた。
「先生…でも、もしかしたらエリュンナ様は、運命を定めつつも、その中で私たちに自由な心を与えてくれているのかもしれません。それもまた、運命の一部として…」
教師も子供たちも、ミルダの発言に一瞬驚きで固まり、教室の空気がピンと張りつめた。厳格な教えに真っ向から意見を重ねたミルダの言葉に、教師はしばらく黙ったまま彼女を見つめている。
一方で、最初に答えた生徒はミルダが否定せずに自分の考えを受け止めてくれたことに内心ほっとした様子だが、相手が「凶兆の双子」の片割れであるミルダであるため、感謝も素直には表せず、どこか複雑そうな顔で机に視線を落としている。
教師は眉をひそめつつも、ミルダに対して厳しい言葉をかけることはなく、「それも…一つの見方だろうな」とだけ言って、話を元に戻す。
その後もミルダの言葉に感化されたように、生徒たちは少しずつ自分なりの解釈を口にするようになり、教室には静かな活気が漂い始めていた。




