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政治経済エッセイ

どうして非課税なのか? 「つみたて新NISA」の“裏側”をまとめました

作者: 中将

筆者:

 本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。


 今回は24年1月から始まった「つみたて新NISA」という非課税を売りにした投資について個人的な観点で解説をしていこうと思います。



質問者:

 そもそも「投資」と言うだけで怖い印象があるのですが、

 いったいどういう制度なのでしょうか?



◇つみたて新NISAの他制度と比べたメリット



筆者:

 単に通帳に貯金をすることに関してはリスクはほとんどありませんがゼロ金利となっています。


 また、株式を普通に買う事では一般口座や特定口座などの課税口座で保有していた場合は売却時の利益に20%が課税されます。


 ちなみに近い制度としてiDeCoや小規模企業共済という私的年金制度では運用益が非課税であるものの、

 掛金の元本部分は全額所得控除の対象となっており60歳まで原則引き出せません。


 これに対してつみたて新NISAはNISA口座で保有していた場合は利益に課税されないので、個別株を指定して買うことはできないのですが、まるっと利益が手に残ります。

 その上でいつでも解約することが出来ます。


 年間投資枠は最大で360万円、総額1800万円分までとなっていますが、利益が出て売却をすれば枠が復活するという制度です。


 ※旧制度ではこの上限額が低かったうえに非課税保有期間の上限があった



質問者:

 でも筆者さんはいつもおっしゃっているじゃないですか。

 「甘い話には裏がある」って……。


 逆に優遇しすぎているのが怖いですよ。何か“落とし穴”みたいなことがあるんじゃないですか?

 

 岸田首相は特に「増税メガネ」の二つ名を欲しいままにしている方じゃないですか。



◇つみたて新NISAの“唯一の弱点”



筆者:

 その警戒感は素晴らしい感性をしています。


 唯一最大の弱点としましては普通の投資と同じように「元本割れリスクがある」ということです。

 

 中には元本保証のNISAも存在するのですが、0.1%などとほとんど利益は出ないものであり、

 NISA口座を保持しているだけで月額費用がかかってきますので総合するとマイナスになってしまう可能性があります。



質問者:

 なるほど、元本割れの可能性だけ見たら変わらないのですね……。



筆者:

 その上でマイナスになった際には通常株式・投資信託のみを所有しているより税金上では損をしてしまう可能性があります。


 例を挙げて説明しますと、


 ケースA 通常株式で20万円利益、投資信託でマイナス100万円損失

 ケースB 通常株式で20万円利益、つみたて新NISAで100万円損失


 この2つのケースでは株式投資の損失80万円というところでは共通していますが、

 

 ケースAでは払う税金は損益通算が適用されて0円になります。


 しかし、ケースBのつみたて新NISA損益通算が適用されず株では総合的には損しているにもかかわらず、なんと通常株式の20万円の利益に20%課税されて4万円納税という結果になります。


 つまり、つみたて新NISAは「負けられない戦い」なのです。



質問者:

 株式では総合的には損なのに納税しなくてはいけない可能性があるというのはちょっと怖いですね……。



筆者:

 ただ、基本的につみたて新NISAで活用されているアメリカS&P500はニューヨーク証券取引所やNASDAQ等に上場している企業から代表的な500銘柄を時価総額で加重平均し、指数化し1957年から今の状況になっています。


 これは、リーマンショックが起こった2009年の年間騰落率は-37.22%、ITバブル崩壊後(2001年~2003年)の合計騰落率は-42.37%、コロナの2020年には-30%と一時的には下がっていますが、

 20年以上保有した場合には必ず上昇しているという経験則があります。


※S&P500指数はコロナ前2019年に3300 コロナ発生直後で2300 現在5200となっています。


 もちろん今後も大恐慌などが起きて元本割れ一時的にはあるかもしれませんが、基本的にはアメリカ株は信頼して良いのではないか? と思って良いです。


 しかし、20年持つことが出来ない。どうしても元本割れが怖いのであれば、独立して個人事業主となって小規模企業共済に入ることです。(iDeCoは元本割れリスクあり)

 

 最悪は取締役であれば加入できますので、維持費として法人税年7万円はかかりますけど、会社を設立すれば小規模企業共済に入ることが出来ます。

 

 ※ちなみに筆者は個人事業主です。小規模企業共済のみの運用をしています。



質問者:

 なるほど。元本割れはどんな投資でもありますし、

 制度としてそこまで穴が無いことは把握しました。

 でもこれで「目出度し目出度し」という事では無いですよね?



◇優遇政策の「3つの裏側」



筆者:

 確かに国民個人からしたらそこまでマイナスになることは無いと思いますが、

 実は「政府の失政」が如実に示している一幕だと思っています。


 これは「年金制度崩壊宣言」だからです。



質問者:

 以前もそうおっしゃっていましたね……。老後に年金のみでは2000万円以上不足するから増やせと……。



筆者:

 年金制度が自分のお金を積み立てる制度ではなく、今いる人の社会保険料の範囲内で高齢者を支えるという高齢化社会・人口減少社会では一番あってはいけない制度を採用しています。


 正直なところ僕はこれを大改革して清算するか、国債で全て不足額を補填しなくてはいけないと思っています。

 しかし政府は、システムの破綻を“持続可能性”に重点を置くことによって受給額を減らして現役世代の負担額を増やすという形骸化した状態で続けていき、その制度の失敗責任を「投資で増やせ」と擦り付けているのです。



質問者:

 ただ、月額ちょっとずつの貯金すら難しい方もいらっしゃいますよね……。



筆者:

 実際に貯金が一番ありそうな60歳代ですら全体の割合のうち、100万円未満の貯金額が6%、500万円未満までで20%ほどを占めています。


 20代や30代では100万円未満が一番多い(23%と13%)という統計データですからね。



質問者:

 それより消費減税をした方が良いと思うのですが……。



筆者:

 消費減税ついては前々回説明しましたがGDPが見た目上減るので残念なことに「政治家の選択肢」に存在していません。


 もう一つ重要な要素として「アメリカ様にお金を流す」ということがあります。

 新NISAの投資信託上位3商品だけで月2300億円(年にすれば2兆7600億)あります。しかもこの3つは全てアメリカ株のS&P500関連です。


 構図としては、


 1 日本人が分散投資でモノを申せないがアメリカ株を支える。


 2 日本円がアメリカに流れて円安になり輸出企業が喜ぶ。


 3 アメリカ投資家がアメリカ株を売って日本株を買い(円安だから余裕)。彼らは集中して買うので株主総会でアメリカ有利の進言をする。


 4 日本企業は所属先が日本というだけであってアメリカに隷属する


 大雑把に言ってしまえばこういう感じになっているんです。



質問者:

 まとめると日本人は意見を言えない株を買い、アメリカ人がその分日本会社に口を挟むという事ですか……。



筆者:

 表向き上は日本国民の国富のためと言いながらも実情は「アメリカ様のための対米従属政策」と言えます。


 本来であれば日本人が日本株を持っていた方が国益・国防上もいいと思うので、

「日本株のみ非課税」といった政策にしておく必要があると思うのですが、全くそういう措置は取らなかったので「対米従属」が如実に出た政策だと思います。


 アメリカの議会で増税メガネ岸田首相が演説されたときスタンディングオベーションが何度も起きたそうですが、こういった“貢献”も加味されていそうですね。



質問者:

 なるほど……。



筆者:

 更にもう一つこれは対米従属に比べれば小さいポイントですが「マイナンバーカード推進政策」の一つでもあります。


 普通の銀行口座開設には本人確認書類(運転免許証、パスポート、健康保険書等)のみなのですが、

 NISA口座開設の際にはマイナンバーカードも追加で必要になっています。


 一応はマイナンバーカードを所持していない方のためにマイナンバーが載っている住民票やマイナンバーカード通知書などで代替を認めている銀行もありますが、原則はマイナンバーカードを利用することになっています。



質問者:

 確かにマイナンバーカードの利用場所ってあんまりないですから「存在意義」を見せたいのかもしれませんね。



筆者:

 本人確認書類だけで十分だと思うんですけどねぇ……。


 ということでここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回はつみたて新NISAが優遇されている「裏側」として、

 年金制度の大失敗の擦り付け、アメリカ様の株を日本人が買い支えアメリカ投資家が日本株を買って日本会社を操る、マイナンバーカード利用促進の3大要素があるという事をお伝えさえていただきました。


 今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。

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