表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

7.珍しい

「ん……」

「起きた? 起きたなら寮まで送るから、支度してほしいんだけど」

ライオネルさんの言葉にはっ、と飛び起きる。

「そんなに急がなくてもいいよ」

苦笑されてしまった! 恥ずかしく思いながら、支度を整える。といっても、持ち物は既にライオネルさんがまとめてくれていたのだけれど。


「ん、じゃあ、行こうか」

「ライオネルさん、私、自分で帰れます」

魔法の暴走で迷惑をかけたあげくに、送ってもらうだなんて申し訳ない。


 「ぶっ倒れた子を安心して帰せるわけないでしょ。ましてや、こんな暗い中。女の子なんだし」

女の子。なんだかそう言われると、年下になったような気分になる。ライオネルさんに素直にそういうと、ライオネルさんは顔をしかめた。


 「あんた、僕がいくつだと思ってるの?」

「ええと、16、いや15?」

「不正解。18だよ。年下なんだから、年下扱いされなよ」

確かに私の方が年下だった。でも、18歳だなんて、なんか意外だ。


 「……送ってくださり、ありがとうございます」

「よろしい」


 ライオネルさんは得意気にわらった。ライオネルさんが冷酷だっていう噂はやっぱり噂だ。こんなに優しい人なのに。どうして、そんな噂がたつんだろう。


 そんなことを考えながら、ライオネルさんと歩いていると、寮についた。

「本当に、ありがとうございました」

「どういたしまして。じゃあ、また明日ね」


 そういって、ひらひらと手を振られる。私も、手を振り返して寮の中に入った。



 寮の中で、夕食をとる。うう、やっぱり視線が気になるわ。いっそのこと、話しかけて友人になれば気にならなくなるのかしら。

「ナターシャ」

名前を呼ばれ、顔をあげるとリオンさんだった。


 初日だったけれど、ライオネルさんとうまくやっていけそうかと聞かれ、今日のことを話した。

「……珍しいな」

「え?」


 「ライオネルが誰かを自分の意思でわざわざ送るなんて」

「そうなんですか?」

ライオネルさんのあの様子だと、初めてってわけでもなさそうだけれど。


 「お前、ライオネルに気に入られたのかもな。……とにかく、仲良くやれそうで安心した」


 そういってリオンさんは食堂を出ていってしまった。気に入られているかはともかく。仲良くはやっていけそうだ。明日からも、頑張ろう。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ