第54話・5 (閑話)建国縁起
神聖ロマナム帝国には建国にまつわる一つの話がある。
マーヤニラエルの作ったヴァン国と神聖同盟が盟主の元に纏まって出来た神聖ロマナム帝国は千年間友好国であった。
しかし、友好的な関係の裏で誘拐同盟のような組織が作られ、樹人の子供を攫い貴族や王族の側室に据える事は広がって行った。
背景にエルゲネス国の男エルフや眷属の暗躍などもあった。
これらの動きの大元(始まり)は、聖樹の変以後のイスラーファとマーヤニラエルに対する各国の思惑が始まりだった。
神聖ロマナム帝国にはエルフとの友誼を結ぶ事になった一つの話が伝わっている。
遥か昔、エルフの国で政変があった。
聖樹の森の聖樹が燃えて無くなった。
国を追われた一人のエルフが我が国にやって来た。
彼女は言った。「私と友誼を結んでください、代わりに3つの宝物を差し上げます」
王様たちは答えた。「良いだろう、そなたと友誼を結ぼう。」
エルフの女は美しかった。
やがて王様たちはエルフの女を巡って争うようになった。
エルフの女はそれを悲しみ、海の彼方へと去って行った。
一人の娘を残して。
残された娘を巡って再び争いが起ころうとした時、賢き王の一人が言った。
「皆さん、争ってばかりしていると 残された娘も逃げて行きますよ。」
王たちは争いをやめ娘と友達になる事にした。
エルフの娘は、とても喜び、一つの約束をした。
「共に手を取り合って、襲って来る災難と闘いましょう」
エルフの娘が言う通り、災難が国を襲った。
ダンジョンでスタンビードが幾つも起きた。
魔物が溢れ、人々を襲い、人々は恐れ、逃げまどった。
王様たちは共に戦う事を誓い、エルフの娘と共に戦場へ向かった。
王様たちはエルフの娘と共に戦い、全てを防いだ。
最後に、スタンビードを起こした闇魔術師を倒した。
共に旅をし、共に戦った王様たちとエルフの娘はとても仲良くなった。
エルフの娘は闇魔術師が倒された後王様たちへ言った。
「私は未だ子供、大きくなったら戻ってきます」
「その時は結婚しましょう」
そう言って母が女王だった聖樹島を取り戻すため旅立った。
やがて美しく成長したエルフの娘になって・・・と結婚(手を取り合う事)を約束をした。
王様たちはエルフの娘と誰が結婚しても仲たがいしない様に国を一つにした。
一つになった国は栄た。
さらに大きく強く成って行った。
やがて嫁入りして来るエルフの娘を迎えるために、素晴らしい国を作って待つために。
それが神聖ロマナム帝国を建国した由縁なのです。
帝国側は自分に都合良く、マーヤの言葉を曲げていますが、これが帝国王族のマーヤニラエルに”帰って来い”やら”嫁に来い”などの発言の理由です。
次回は、新章 闇魔術師 が始まります。




