第54話・4 (閑話)闇魔術
ミュリネン国へ目標を定め移動する。
◆移動中の船内
10月21日は屈辱の日だった、ダンジョンコアは手に入らず再び逃げ出す羽目になった。
マーヤニラエルの動揺を誘えたことは収穫だったと思う。
あの様子だと、ダンジョンコアを取り出す事は無いだろう。
こちらもミンスト・ダンジョンがため込んだ魅力を解放させる頃でスタンビードを発生させられたから、目的は達成している。
ミンスト市でベロシニアらが泊まっていたホテルには寄らずに別のホテルに泊まった。
次の日、ミンスト市の側を流れる大河ワーカムの川湊から船に乗った。
駆け込みで乗ったため、3人で一室の1等船室しか取れなかった。
不満だが、追手に見つかる様な騒ぎを起こす訳にも行かず、1等船室で我慢するしかなかった。
マーヤニラエルの奴目! あのエルフの幼子は得体のしれない怖さが在る。
奴に光の魔術を使われると、闇魔術の行使ができなくなる。
カカリ村のダンジョンコアの部屋で思い知った。
初めて知る未知の魔術は、私の中に彼奴に対して”計り知れない恐怖”を植え付けてしまった。
『ふふふ 恐怖こそ闇魔術の真髄。』
『怖いからこそ敵を知り。』
『怖いからこそ敵の盲点から攻め。』
『怖いからこそ敵の中に裏切る仲間を作る。』
『最後は敵を孤立させ、仲間と思っていた味方に倒されるのだ。』
奴と今回対峙して分かった事は色々ある。
聖樹島のエルフの事をほとんど知らないし、神の恩寵型ダンジョンも詳しく知らない事が分かった。
ラーファの行方を捜してミンストネル国まで私を追って来ているし、まだまだ追って来るだろう。
一番の収穫は聖樹の実を持っている事が分かった件だろう。
聖樹島のエルフは宇宙樹を育てたいだろうか?
ダンジョンと共鳴して永遠の命を夢見ている愚者共なら、残り全ての魔力を乱す首輪と交換するだろう。
私を追って来るエルフの子に何時か首輪を嵌めてやる。
その時のためダンジョンスタンビードを起こしながら国から国へと引きずり廻してやろう。
乗り込んだ船は下りのせいか風魔術の使い手が居なかった。
居れば色々話を聞けたのに、残念だ。
我らの次の目的地はオースネコン国の王都オースだ。
オースには、エルゲネス国から来ている我が侯爵家の眷属が居るだろう。
私の眷属のダーとビーの二人なら、オースでエルゲネス国出身者の中に私に協力する者を探せるだろう。
知り合いの知り合い程度でも眷属仲間なら、エルゲネス国の侯爵家跡継ぎたる私に協力させる事ぐらいできるだろう。
彼らにさせたい事は多い。
マーヤニラエルの仲間について調べる事やダンジョンの在るミュリネン国について調べる積りだ。
今はマーヤニラエルとその仲間について調べる事が肝心だ。
アーノン・ススミが持って来た3本の首輪は2本を失くし、1本はイスラーファの首に嵌めている。
だが、マーヤニラエルの首に嵌める首輪が必要だ。
ダキエに何本残っているのか知らないが、マーヤニラエルが聖樹の実を持って居る事を知ったら、残り全てを送って来るだろう。
母への手紙でマーヤニラエルについて知った事は送る積りだ。
ダキエの母の元へは半日も在れば使い魔なら持って行けるだろう。
母に頼んで手に入れようとしている首輪は手に入るまで時間が掛かる。
首輪を使い魔に持ってこさせるには首輪は大きすぎる。
誰か眷属に持ってこさせなければならないだろう。
ミオヘイネン国で受け取ることなら無理なくできるだろう。
ミオヘイネン国まで首輪を持って来させよう。
決着はル・ボネン国かロマナム国のダンジョンで付ける事になるだろう。
それまでは、各地のダンジョンでダンジョンコアを収集しよう。
とうとうマルティーナに聖樹の実の事が知られてしまいました。
大きな魅力の事を探していたマルティーナたちは、この事を知ってどう動くのでしょう。
次回は、建国縁起です。




