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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第2章 神聖同盟の国々
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第52話・3 朝の風景

 戦いが終わり、翌日ダンジョン城塞の中を歩く。

 朝遅くまで寝て居たかったけど、昼2時(午前7時)には起きてしまった。


 疲労を回復魔術を行使して回復していたので、疲れが無かったのだ。

 ただ精神的に疲れていただけだと、十分な睡眠がとれた今は元気一杯だ。


 トイレの後着ている物を脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。

 お風呂の後は、着替えてテントの中へ出た。

 お腹が「クーッ」と鳴った。


 元気は溢れているから、お腹が減って起きたと言って良いだろう。


 ポリィーたちは起きる気配が無いので、疲れでまだ起きれないのだろう。

 魔力視ではテントの中に在るのはケンドルさんの腕輪だけだった。


 ポリィーはケンドルさんの部屋から自分の部屋へと一緒に入っている事になる。

 昨日マイセル君をケンドルさんが預かって面倒を見ていると言っていた。

 親子3人で久しぶりの親子水入らずだけど、マイセル君の機嫌次第ではゆっくり寝られないかもしれない。


 朝は遅いだろうと思うし、しばらくは親子水入らずの時間を作ってあげるのも、昨日我慢していただろうマイセル君のためだ。

 その分ポリィーの代わりに私が対応すれば良い。


 朝食はテントの中で昨日の残り物のパンを取り出して、これも残り物の麦茶を飲みながら食べた。

 簡単な食事を終え、ごそごそとテントから這い出すと、ダルトさんが長椅子で寝ていた。


 反対の椅子にアントさんも寝ていた。

 カー爺の腕輪はテントの中には無かったので、既に出たのか昨日から出たままなのかドッチだろう?


 私がテントを出たまま考え込んでいると、ダルトさんが気が付いて起きて来た。


 「おはよう、昨日はお疲れさん。」


 ダルトさんも疲れはなさそうで、服装は着替えているのか武装はしてるけど軽装だ。


 「おはようございます、カー爺はもう出たの?」


 「ああ、先ほど呼び出されて衛兵詰所へ行ったよ。」そう言ってダルトさんが肩をすくめた。


 「そんなに早くから呼び出すなんて、なにかあったの?」


 大きな問題は無いと思うけど、不安が沸き上がる。


 「いや、単なる討伐結果の確認らしい。」

 「集計を徹夜で行い今朝方纏まったので、こちらも確認をしてほしいと言ってたよ。」


 ダルトさんがもう集計が出たと言ったけど、討伐数や負傷者の集計が終わったのだろうか?


 「治療所の集計は貰ったけど、まだざっと見ただけで確認はしてないけど?」ポリィーは今日確認すると言ってた。


 「今の段階では、大雑把な数字が把握できてれば良いんじゃないかい?」ダルトさんはあまり気にしていない様だ。


 「じゃあ何でカー爺が呼ばれたの?」大枠が分かれば良いのなら、カー爺の確認はいらないだろうと思う。


 「影の長が来てたから、一緒に集計を持って偉いさんの所まで行くんじゃないかな?」


 「それって、この国の偉い人へ報告するって事?」カー爺が”考えが有る”って言ってた事と関係するんじゃないかな?


 「まぁそうかもしれないけど、本格的に呼ばれるのは今日の夕方ぐらいだと思う。」


 ダルトさんが、良く分からない事を言ってきた。本格的に呼ばれるって何?


 「どうゆう事?」


 「今呼ばれてるのは影の組織のボスだと思う。」

 「で、そのボスが上に相談して、呼び出されるのが、早くても今日の夕方ぐらいになると思うって事。」


 「そうなの?」と確認すると、うんうんと頷く。

 「それじゃあ 外へ見に言って()い?」


 昨日の成果(魔石とか皮や牙など)がダンジョン城塞の何処かに置かれていると思うと好奇心がうずうずしてくる。

 まだ商人に渡される前だと思うので見に行きたい。

 ダルトさんがちらりと寝てるアントさんを見た。


 「良し、一緒に行こう。」とテーブルにメモを書いて立ち上がった。


 二人で部屋から出ると、廊下を真っ直ぐ進みギルドの外へ出る出口まで行った。

 出口を守る警備の人に「魔女の探索者一行だ、二人で外へ行く。」と声を掛けてドアを開けて貰った。


 傭兵ギルドを出ると、人が大勢小走りでうろつき廻っている。

 周りには探索者らしい恰好をした人はいない、私たちぐらいだ。

 周りの人が口々に話す言葉が耳に飛び込んで来た・


 「広場だ! 広場に置いてあるぞ!」

 「見ごたえあるぞ! それこそ山に成ってる。」

 「一生に一度しか見られないぞ!!」

 「すげぇぞ!」、「見に行って見ろって、驚くぜ!」


 何だろう? やっぱり昨日の魔石とかだと思うけど、広場の方は人が凄く多い。


 「魔石を山と積んだ荷車が何台も置いてあるんだ!」

 「皮もでけぇのが幾つも在ったぞ!!」


 やっぱり昨日の魔物が落とした魔石とかだった。ダルトさんに前で人をかき分けて貰って、後ろを付いて行く。

 凄い人混みだったので、途中からダルトさんに肩車をして貰い、広場を見渡す。


 ダンジョン前の広場には魔物の魔石を積んだ荷車が、並んで止まっている。

 バラ済みにされた魔石は全て灰混じりのくず魔石の様だ。

 それでも枠で囲って魔石を積んだ荷車が十台も並ぶと凄いと思う。


 他にも割れていない魔石を入れたと思える大小の木箱を積んだ荷車も10台以上あった。

 1万個以上は在ると思うから1台で千個ぐらい積んでいるのかな?


 目だっていたのは、5台の荷車に積まれた皮だった。

 サンドワームの残した皮だと思うけど、5台と言う事は1台で1匹ぐらいになるのかな?


 他にも何か積んでる荷車がある。角とか牙に魔糸などでトレントは何を落としたのか分からないけど、それらを積んでいるのだと思う。

 数は少なくても、一つ一つの大きさが大きいからに袋からはみ出ているのも在った。


 広場に荷車が二十数台置かれている様はいかに大量の魔物が出たのか、直接目に訴えていた。

 その圧倒的な姿はスタンビードでダンジョンから出て来た魔物の数が2万匹以上だった事を物語っている。


 魔物が魔石になったのはとても助かった。もしスタンビードでダンジョンの出口一帯が一時的にダンジョン化していなければ、魔物の死骸が残り防護抗から魔物が簡単に抜け出しただろう。

 そうなって居ればダンジョン城塞でも防衛出来なかっただろう。


 ただし、くず魔石の割合が多いのは、私が燃やしちゃったから、価値は数分の一になる。

 荷車の周りは衛兵が取り囲んで、人が近寄らない様にしていた。


 昨日の事を今更ながら実感する光景だった。

 好奇心も満足したのでみんなの所へ帰る事にした。


 次回は、お城へ行きます。

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