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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第2章 神聖同盟の国々
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第46話 後始末(1)

 ダンジョンコアの部屋を制圧し、闇魔術師には逃げられたけど、ベロシニアを捕まえた。

 闇魔術師らに逃げられてしまった。


 ベロシニアと家人は倒れるか、蹲るかしていて抵抗する様子は無かった。


 私とポリィーの散弾(ショット)に当たったのは、ベロシニアと家人の内3人だった。

 ベロシニアを中心に左右に男の家人が後ろに女性の使用人が立って居たので、けが人は男性だけだ。


 彼らの状態をざっと調べると、全員が魔薬を使った強い洗脳を掛けられていた。

 診察時の使い魔からの匂いの情報で分かった。

 とりあえず、ケガ人だけでなく全員を回復魔術で治療した。


 応急的な処置で魔薬だけは無効化したけど、洗脳は厄介だ。他の病気やケガで在れば、魔術で回復するには病体を調べて、見つけた損傷部位や病原体を回復魔術で回復すれば良い。

 だけど、洗脳は異常状態が正常な状態へと変化している事が多く。洗脳状態が長ければ長いほど魔術での回復が期待できなくなる。


 洗脳、特に魔薬での洗脳は洗脳時に術者が使った言葉や身振り手振りを含めた環境が強く洗脳の方向性に影響する。その影響は過去の記憶さえ書き換えてしまうほどだ。

 ベロシニアたちを本格的に治療するとしたら、入院させて長い治療期間を必要とするかもしれない。


 今の彼らの状態は、聞いた事に答えるか、指示した事を行うか、以外の自発的行動が見られない状態だった。

 食事や排せつなどは、環境を整えて予め指示していれば自発的に行動をするだろう。


 ケガの治療の後、カー爺がベロシニアを尋問した。


 「ベロシニア、イスラーファ様をウラーシュコの港町でさらったのはお前か?」カー爺の質問に、ベロシニアは表情の無い淡々とした声で答えた。


 「そうだ。」


 「イスラーファ様は、今どこに居る?」


 「そこに居る。」と後ろの女性の一人を指さして言った。


 ベロシニアは洗脳で(ラーファ)に成りすました女性を母だと思い込まされていた。


 闇魔術師の言っていた事は、本当の事なのだろう。ベロシニアから母を奪って、何処かへと連れ去ったのは闇魔術師の仲間なのでしょう。


 でも、一月前のウラーシュコで、母を捕まえたのは闇魔術師では無くて、このベロシニアだった。

 その後闇魔術師の仲間に母は連れ去られたのかもしれないが、きっかけは此の男だ。


 洗脳を治療するのは魔薬の影響は治せるけど、洗脳自体は時間を掛けないと元へは戻らない。

 手っ取り早いのは、逆洗脳する事だ。

 その場合の問題は、前の人格に戻るよりも術者にとって都合の良い性格になりかねない事だ。


 私は洗脳についてエルゲネス国の彼らほど詳しく無いので、結局、時間を掛けて戻す方法が最良だと思う。

 でも、そんな手間暇かけてもベロシニアは母の居場所を知らないのだ。

 私は、彼を治療する気も無いし、そんな時間も無い。


 カー爺の尋問はウラーシュコの事やその後のベロシニアの行動に、闇魔術師の事も詳しく聞いた。


 母の誘拐の件は詳しく分かってきたけど、闇魔術師の仲間が今、母を何処へ連れて行ったのかは分からなかった。


 その後全員を縛り上げた。おとなしく縛り上げられたので、その必要は無いかもしれないけど、何時突発的な行動に出るか分からないのも、洗脳の怖い所だ。

 そうならない様に、私とポリィーが、事前に対処する方が良いと判断した。


 その後、ダンジョンの中から外へと出すため、記憶に残らない様に、睡眠状態へと捕虜に魔術を行使する。

 使い魔の笑い猫と闇隠(ダークハイド)を彼らに知られない様にするためだ。


 カー爺たちにお願いして、笑い猫の闇隠(ダークハイド)の中へベロシニアと6人の家人や使用人を入れて貰った。

 笑い猫の闇隠(ダークハイド)は彼ら7人を居れても、まだ私たち全員が入るだけの余裕がある。


 私の魔力(神力)は多いから、使い魔に多く移譲しても余裕が有る。ダンジョンコアの部屋は50層もの下に在るけど、一気に外へ出る事だって出来るだろう。


 ベロシニアらを笑い猫の闇隠(ダークハイド)へと入れると、ダンジョンコアの部屋は私たちだけになった。壁際の一段高くなった場所にダンジョンコアが置かれている。


 闇魔術師から聖樹の種の話を聞くまで、母から預かった3個(人?)の種の事は忘れていた。

 でも、思い出してしまった今は違う。母は聖樹の復活を願っていたが、自分の寿命では無理だと諦めて私に託した事を。


 正直、ダンジョンコアが目の前に在って、私の母より託された使命(今はそうだとはっきりと思っている)を実現するために、このダンジョンコアが欲しい。

 だけど、ダンジョンコアを取ってしまうと、スタンビードの規模が元に戻ってしまう。しかも数年にわたって、ダンジョンから収穫が出来なくなるかもしれないのだ。


 ミンストやミンストネル国の人達には良い印象が一つもない。でもだからと言って死んでしまえとまで思っているわけではない。

 私がダンジョンコアを睨みつけてじっとしていたら。


 「マーヤ、ダンジョンから出ましょ」とポリィーが声を掛けて来た。


 ふと我に返った。


 そうだ、何も神の恩寵型ダンジョンのコアを取り出す事は無い。森ダンジョンのスタンビードは森ダンジョンが小さな子ダンジョンを作るのが切っ掛けで起きる。

 そのダンジョンコア成かけでも複数集めれば良い。何も人間の生活基盤となっているダンジョンのコアを取る必要は無かった。


 ポリィーを振り向いて、こっくりと頷いた。

 「うん、此処を出ましょう」


 明けましておめでとうございます!

 今年もよろしくお願いします。


 次回は、スタンビードとベロシニアの事などの後始末です。

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