第37話・7 王都ミンスト(7)
夜の宿での出来事と傭兵ギルドへ出かける前の準備をします。
その夜は宿で寝ましたが、宿のベッドには誰も寝ませんでした。
自分の部屋の方が快適ですし、安心で在るはずの宿と言えど昼間の件が在りますから油断できません。
宿なのに、不寝番を置くのも同じ理由です。カー爺、ダルトさん、アントさん、ケンドルさんの順番です。
夜中の夜8時(午前1時)ごろに不審な音がしたそうですけど、不寝番をしていたアントさんが灯りを点け音がした辺りを何度か蹴飛ばすと音がしなくなったそうです。
明け方の不寝番だったケンドルさんの時は音はしなかったそうです。
「何処からその音がしたのじゃ。」カー爺がアントさんに聞きます。
「そこからですよ。」と部屋に備え付けのキャビネットの下側を指さした。
カー爺がキャビネットを開けて中を覗き込んで調べたら、下の一枚の板が外れる様になっていました。下は暗くて分からなかったけど、人が動けるぐらいの空間が在るそうです。
「ふん、下らん仕掛けじゃ。出る前に気が付かれれば身動きできんじゃろう。」
「ドアの外には誰ぞ居らなんだか?」
「いえ、気が付きませんでした。」とアントさん。
カー爺がアントさんをジロリと睨むと、アントさんがすまなそうに身を縮めました。
とりあえず、その一件はそれで終わりの様です。
朝食は、私の部屋に在る台所でポリィーと二人で作りました。
いつもの事ですけど、マイセル君を寝かせたベビーベッドを持ち込んであやしながら、今日一日分の食べ物や飲み物を作ります。
昼食も夕食もゆっくり作る暇が在るか分かりませんから。
お昼や夕食はダンジョンの中なので片手で食べられるようにサンドイッチやナンで包んだ物にしました。
3度ともサンドイッチでは可哀想なので、朝は小麦のパンをスライスしてフライパンで、甘くした卵と牛乳に浸して炒め煮した物。飲み物は贅沢にも紅茶がスローニンで手に入ったので、気合を入れようと入れて見ました。
サンドイッチにも工夫をして、昼用は鶏肉に衣をつけて油で揚げた物とキャベツの千切りをマヨネーズで和えた具を挟んだ。
夜用はジャガイモを蒸かして潰し塩で揉んだ野菜を切ってマヨネーズと混ぜた物をナンに挟んだ、他にも一日の疲れを取るためにバターと蜂蜜で作ったクリームを挟んだ物も在る。
勿論肉を欲しがると思うので、ソーセージやハムを挟んで焼いたパンも在ります。他にもパン生地の中に昨日のカリーを入れて油で揚げたカリーパンも作りました。
飲み物もハーブ茶を入れた水筒を用意したし、間食用に干しブドウを入れて焼いたビスケットも作ったから大丈夫です。
薬も解毒薬を多くして、傷薬や初級の回復薬も多めに用意しています。
季節柄用意した食べ物が痛む事は無さそうなので、各自が食料や水と薬を持つ事にしています。つまみ食いをすると思いますが、夕食は野営出来れば暖かい食事を用意しますから無くなっていても大丈夫でしょう。
草原や砂漠が多いダンジョンだそうなので、私の切り札も活躍できる空間は在ると期待してます。大勢に囲まれても一掃するだけの自信はあります。
勿論マイセル君の食事も考えています。色々工夫したパンがゆを用意して冷凍保存しています。食べる時にその都度温めれば良いだけにしています。
今回、マイセル君をダンジョン内でポリィーの部屋から出す事は無いです。移動中にお世話が必要だったら、ケンドルさんか私の部屋にポリィーに入って貰う事になります。
部屋の中で朝食を食べた後、宿を引き上げて傭兵ギルドへと行く事にします。
カー爺としては、侵入者を捕まえるか、逃げられたとしても、ドアの外に人が居るか知りたかった訳ですが、アントさんは音だけを気にしていて、複数の計画的な犯行だとは気が付いていなかった。カー爺が睨んだのは、未熟者と叱ったのです。
腕輪の空間収納は本人が使用中は、出入り口は下へと落ちています。そのため移動中に使うとおいて行かれる事になりますが、他の人の腕輪の空間収納の中から入れば、下へ落ちても腕輪の空間収納の中なのでおいて行かれないのです。
次回は、閑話の後、ダンジョンへとベロシニアを追って入ります。




