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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第2章 神聖同盟の国々
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第37話・6 王都ミンスト(6)

 ミンストネル国のダンジョンについての説明です。

 ダンジョン行への決意を決めた後、明日から入るダンジョンについて話し合いました。


カー爺とアントさんとダルトさんの3人はミンストのダンジョンに入った事が在ります。

 そこで3人に色々質問してダンジョンの事を教えて貰いました。

 「此処のダンジョンも神の恩寵型ダンジョンなのでしょう?」

 「そうじゃよ、5層までは、カカリ村に出来た神の恩寵型ダンジョンと同じじゃ。」

 「ただしこちらの方が規模は大きくて広いがな。」


 ダンジョンの深層へと行くには、ベロシニアらのように最下層を目指さなくても、消費物資を運ぶ大勢の荷運び人や護衛を雇う必要が有ります。

 私たちも彼らを追う以上、同じぐらいの物資を用意する必要が有ります。


 この点については私たちは恵まれていると思います。

 腕輪の空間収納は必要な物資を貯め込んだ上に、日常生活までサポートしてくれます。


 「何かダンジョンで必要な物を購入する必要がある?」

 「基本は、日帰りならありませんが、深層へ行くなら中での野営用具や燃料に食料と水を用意して運ぶ人を雇う必要が有ります。」ダルトさんが説明してくれます。


 「まぁ買い物は必要無いだろう。」アントさんが否定しました。


 アントさんの言う通りです。更に言えばこの国で何かを購入する積りは在りません。

 私たちはミンストの町では何も買い物をしていません。それどころかミンストレル国に入ってから一度も買い物をしていません。

 ミンストの町までは野宿で来たので買い物の機会はありませんでしたが。このミンストの町では買い物する余裕は在りませんでした。在っても買う物は無かったと思います。

 「違うぞ。 ほら商人の息子を売ったじゃろ、あれも立派な商売じゃよ。」


 カー爺が酷いことを言ってますが、あれは襲って来たのを捕まえただけで、銀棒30本で解放しただけです。取引かもしれませんが、商売では絶対ありません。

 それに縛った魔糸だって、あれだけの長さの紐なら銀棒2,3本で売れるんじゃないかな。


 あれ? 私たち損して無いかしら?


 宿へ行く途中で見たお店には食べ物が沢山あるようですが、小麦は小石交じりでしたし。肉は塊肉やハムにベーコンなどが置いて在りますが、空間把握で分かる限りでは全て豚肉の様です。


 ポリィーはそれらを見て買わない理由を説明してくれました。

 「小麦は燕麦や似たような草の実を混ぜています」

 「酷いと食べられ無い石灰石の様な似た色の石を混ぜる事さえあります」


 ハムやベーコンも酷い物だそうです。

 「ミンストの路地で飼われている汚物処理兼食用の豚の肉だと思います」

 「病気まみれの肉で食べれるようなものではありません」


 数は少ないですが、野菜や果物も並べられていました。ラーファがオウミ国の人参をえぐみが在ると嫌っていましたが、ミンストの町の人参は更に小さくてもっとえぐみが在りそうです。


 食料や備品を買わなくても、食料はたっぷり持って来ていますし、備品もケンドルさんがためこんでいます。それにケンドルさんが居れば、無くてもその場で作ってくれます。


 最悪、食材でも備品でも材料は、私が神域の在庫からこっそりと継ぎ足す事も出来ます。


 水は私でもポリィーでも、魔術を行使すればその場で出せますし、皆の腕輪の空間収納には魔道具も在ります。

 寝泊り出来るだけでなくシャワーとトイレ付ですから、自分だけの個室を持ち運べるわけで、ベロシニアらとは全然違います。


 少人数の場合、装備は武器防具以外は、普通は背に担ぐ背嚢の中に入れてダンジョンに入ります。でも私たちには必要ありません。ただ見た目も在るので、全員背中に背嚢を担ぐ予定です。

 私たちは、ベロシニアらの様に荷物専用の運び人を雇う事はしません。


 背嚢の中身は、魔糸を織って作った布を沢山詰めて、背嚢を膨らませようと思っています。衝撃を和らげるクッションにもなりますしね。

 もし、後ろから切られても背嚢も中の布も魔糸製ですから、切る事は難しいでしょう。


 私とケンドルさんを除いて、ダンジョンの中に入れば、降ろす予定です。私たちは念の為そのままだそうです。


 他にも打ち合わせでは、ダンジョンに出てくる魔物の事も聞きました。攻略する階層に出る魔物はカー爺たちが詳しいので、初めてダンジョンに入るケンドルさんへの説明が主になります。


 魔物は地下1階から地下5階までは、出る魔物の違いはありますが、カカリ村のダンジョンと変わり無いそうです。

 大きく違うのは初級の魔物が5階までだったカカリ村のダンジョンと違って、ミンストのダンジョンでは10階まで初級の魔物が出ると言う事です。


 中級の魔物は11階から出るそうです。

 魔物の強さも下の階程強く、上の階より数も多く出るそうです。


 問題は地下6階から10階が草原と林に成っているそうで、其処に出る蛇の魔物が初級では珍しく麻痺毒を吐くそうです。他にも弱毒持ちの魔物が多いそうなので、解毒薬が沢山必要になりそうです。


 11階から下の階ではバジリスクや砂ワームなど中級の魔物が出る砂漠です。ミンストのダンジョンは攻略されて無いので、カー爺たちが知っているのは12階までだそうです。


 ダンジョンの攻略は、地下6階で最初の野営をするそうです。更に進む場合は、2,3階降りる毎に野営を繰り返して、帰りも同じ事を繰り返しながら戻って来るそうです。

 つまり地下10階にたどり着くには早くても3日掛かると言う事になります。戻るのも同じぐらい掛かるとしたら10階を日帰りするとして往復で5日ぐらいは見ないと帰ってこれない事になります。


 打ち合わせで夜も遅く成ったので、寝る事にしました。


 目ざとい商人の事ですから、魔糸の紐に気が付いていると思います。解くのに時間が掛かるので、カー爺は時間稼ぎにちょうど良いとしか考えていませんでした。

 商人にとって布の横糸(布の強化)に使える魔糸はとても価値の高い物です。そんな物を使い捨てにするカー爺に得体のしれない何かを感じているかもしれません。


 次回は、夜の宿での怪しい出来事です。

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