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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第2章 神聖同盟の国々
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第36話・5 山賊の待ち伏せ

 ミンストネル国の王都ミンストへと進むマーヤ達を山賊が待ち伏せしてた。

 先頭をゴーレム馬に乗ったアントさんとダルトさんが二人で務め、馬車の御者はケンドルさん、後ろを同じくゴーレム馬に乗ったカー爺が守ります。

 ポリィーとマリィー(マーヤ)は馬車の中でマイセル君のお世話と食事の下ごしらえをしています。


 野営中に襲われた場所からミンスト丘陵を進んでいます。途中お昼で休憩しましたが、私の部屋(腕輪の空間収納)の中で用意したサンドイッチで軽く済ませました。

 道は下り坂になって来たので、ミンスト丘陵を下りて行くようです。カー爺に拠れば王都ミンストはミンスト丘陵が周りを取り巻く平野の中心に在るそうです。


 道は下り坂でこの先が大きく右に曲がっている所へやってきました。私の空間把握に曲がり角の手前の森の中に15人程の人が隠れているのを把握しました。

 急いで使い魔を召喚して道の先を偵察に出しました。ポリィーが私が使い魔を召喚した事に気が付いて同じように使い魔を召喚したようです。


 使い魔の偵察によると、右に曲がった先でも道を倒木が塞いでいます。どうやら山賊の待ち伏せで間違いないようです。ポリィーの使い魔も待ち伏せを知らせて来たのかポリィーは御者をしているケンドルさんに知らせに行ったようです。

 私は馬車の後ろに居るカー爺に知らせます。

 「カー爺、此の先の曲がり角、手前の左の森に山賊が15人潜んでる」

 「曲がり角の先も倒木が在って通れない様にしている」


 カー爺は直ぐに新しい指示を出した。

 「このまま進んでくれ、ポリィーは?」

 「ポリィーは御者席へ移動したよ」

 「分かった。」


 「マリィー(マーヤ)はマイセル君を頼む、ポリィーにそのまま御者席に居る様に言ってくれ。」

 「儂は前の二人に知らせたら、直ぐ戻って来る。」

 「頼んだぞ!」


 と言ってゴーレム馬を急がせて馬車の前へと言ってしまいました。


 山賊の待ち伏せは想定していました。

 有るとすれば今の様な道の曲がり角の先で道を塞ぎ、立ち往生した私たちを前と後ろから襲うだろうと考えていました。


 対策として各自の配置と役割を予め決めています。と言っても詳細に決めている訳ではありません、カー爺とアントさんとダルトさんが攻撃で、ケンドルさんとポリィーは遠距離からクロスボウと魔術で攻撃です。

 私はマイセル君と部屋(腕輪の空間収納)に引っ込んでいる役割です。

 一応使い魔で状況を監視して、知らせる事が在ればポリィーに知らせる事になっています。


 カー爺が帰って来て、御者席に居る二人に話しかけています。カー爺との話が終わるとポリィーがマイセル君と部屋(腕輪の空間収納)に引っ込んでいる私に話しかけてきました。

 「マリィー(マーヤ)、攻撃出来る距離になったら馬車を止めて先手を打つ事にしたから」

 「二人はそのままで部屋(腕輪の空間収納)に居て」


 どうやら遠距離からの攻撃で先手を取り、うろたえる山賊をカー爺たちが騎馬突撃で潰すようです。 「それから、結界が必要になったら、ポリィーが指示するから直ぐに張ってね」

 「はい!」


 最悪の事態も想定しているようです。

 私は予定通り部屋(腕輪の空間収納)にマイセル君と引っ込んでいる事にします。


 それからの事は、空間把握で事態の推移を追います。


 山賊らの隠れている場所の遥か手前で馬車を止めると、ケンドルさんとポリィーが仕掛けます。

 ケンドルさんはクロスボウで、ポリィーは散弾ショットで山賊を一掃して行きます。


 二人の攻撃で山賊は隠れ場所から追い出され、街道へと出てきました。見ればほとんどの山賊が何処かしら手傷を負っています。

 「畜生! 気が付いていやがった。」、「くっそう!」、「まだこっちの方が多い! 馬車を襲え!!」


 カー爺たちがゴーレム馬で突っ込んだのは、そんな時です。三人並んでゴーレム馬で蹂躙します。

 ゴーレム馬で体当たりして跳ねのけ、蹄で蹴飛ばし押しつぶします。カー爺たちは騎馬の上から剣で切り付け、あっという間に15人も居た山賊は一人も立って居る者がいなくなりました。


 ゴーレム馬を降りたカー爺たちと、馬車から降りたケンドルさんが、倒れている山賊の息のねを止めて行きます。

 私はその間、周りに他の人がやって来ないか、見張って居ます。結局事が終わるまで誰も通り掛かりませんでした。


 後始末は昨夜の山賊と同じです。森の木々の間に並べ検視します。その後はぎ取った武器や防具は私が魔術を行使して、土の中に焼いて埋めます。

 その間に、カー爺とケンドルさんは街道を塞いでいる倒木を鋸で適度な長さに切って行きます。輪切りになった材木を斧で薪にするのはアントさんとダルトさんです。


 ポリィーはマイセル君のお世話をしています。オシメは私が替えたばかりなので、今は離乳食の時間だと思います。

 私が山賊の武器や防具を穴の中で焼いて、埋め終わった頃。カー爺たちの方も倒木は全て薪に変わっていました。


 ケンドルさんが薪の量が多く仕舞ってある部屋(腕輪の空間収納)が一杯になったと言って来たので、ケンドルさんの腕輪を一端解除して、中を広げる事にしました。

 ケンドルさんが入れ墨みたいな手首の絵柄に指先を当て、元に戻して貰います。腕輪に戻ったので手首から外して受け取り、錬金で中の空間を広げます。


 私やポリィーの時は中に仕切りを作って納戸や収納を増やしましたが、今回は単純に部屋の大きさを広げるだけなので、直ぐに済みました。大きさは前の倍ぐらいに広げました。

 これで、薪を入れてもまだ余裕があります。ケンドルさんも使って見て中の広さに満足したようです。馬車に戻ると部屋(腕輪の空間収納)に入ってしまい、出てこなくなってしまいました。


 ポリィーが首を突っ込んで中の様子を見ています。

 「薪を奥に片付けた後、鍛冶を始めているわ、クロスボウのボウ()が心もとなくなったので作るそうよ!」

 「ついでに剣の研ぎと弓の矢も作ってくれ。」カー爺が追加を言ってきます。


 馬車は街道を進んで今日の野営地探す時刻になってきました。ダルトさんが先行して野営出来そうな場所を探しに行きました。


 帰って来たダルトさんの報告で、野営地は在りましたが、商人の一団が既に野営を始めているそうです。空地にはまだ余裕が在るそうですが、商人だからと油断して襲われる事も在るそうです。


 同じ場所への野営は諦めて、更に先に行った場所に小さな空地を見つけるまで暗くなる街道を進みました。

 野営中の商人の一団は、横切る時見える場所には馬車3台、荷馬車が沢山停めて在りました。馬も荷馬車に囲まれて中央に沢山いるようでしたが、隠れていて見えませんでした。

 人も大勢の護衛を引き連れて居て、100名以上居るようです。私はこれほどの一団はミンストネル国に入って初めて見ました。


 オウミ国のスローニンへの街道ではもっと大きな商人の一団は沢山見ましたが、この国では初めてです。


 次回は、商人は襲って来ないと思っていました。

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