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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第1章 イタロ・カカリ村
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第29話 ダンジョン騒動後の騒動

 帰還したマーヤたちを待って居たのは。

 9月13日の夜2時(午後7時)疲れてはいるけど、意気軒高でイガジャ館に帰還した。


 玄関にイガジャ男爵様を始めとする、ボーデン奥様やエイシャ奥様まで出迎えてくれた。いや! 恐らく遅く成った理由を聞きに来たんだと思う。みんなほっとしたような腹立たしい気持ちを抑えている様な気がする。


 「いやー、遅く成ってすまん、ちょっとドラゴンと戦っていてな、遅く成ったんじゃ。」


 カークレイ爺様そんな説明では真実なのにうさん臭く聞こえます! 地下室探検隊の隊員たちからジト目がカークレイ爺様に集中した。


 「父上、言い訳はそれだけですか?」


 全然信じていないイガジャ男爵様が声に怒りを含ませながら更に問い詰めようと、前に出ようとして、ボーデン奥様に先を越されてしまいました。


 「サン、どいて、クレイは少しお話がしたいようですわ」


 これはおちゃらけてごまかそうとしたカークレイ爺様の作戦負けです。マーヤが隊長としてこの場を何とかし無いと、悲惨な運命が待って居そうです。


 「待って下さい、ボー婆様、カー爺様の言っている事は本当の事なんです」


 「地下からの音の正体は、ダンジョンだったの!」


 急いで背負いカバンからダンジョンコアにドラゴンの頭を急いでその場に出す。


 「ドラゴン?」


 まじまじとドラゴンの頭を見ていたボー婆様が次にカークレイ爺様のボロボロの服を見た。その後視線を探検隊の皆へと移して行く。不安と安堵、そして又不安そして安心と目まぐるしく感情が揺さぶられ、ボーデン奥様が倒れそうになった。


 素早くカークレイ爺様が駆け寄り、支える。そのカークレイ爺様をボーデン奥様がすがりつくように両手で掴んだ。


 「此処に居るのね、よかったわ」


 カークレイ爺様がボーデン奥様を支えて、皆に言った。


 「奥へ行こう、魔女っ子はその獲物をカバンに入れたらお茶の部屋にきなさい、他の皆もな。」


 と、探検隊の皆へ言った。そしてボーデン奥様を促して部屋の中へとゆっくりと歩いて行った。


 ぞろぞろと玄関とその前に居た人が全員でお茶室へと移動する。その間誰一人しゃべろうとしない、迎えた方は未だにダンジョンやドラゴンと言う言葉が頭の中に木霊していて考え込んでいる様だ。探検隊の隊員は単純に疲れていた。


 お茶室でバラバラにそこらにある椅子へと座った。マーヤは朝の挨拶をする時にカークレイ爺様が座る場所に座った。横にはボーデン婆様が座っている。もうしっかりした顔に成っているので大丈夫だろう。


 カークレイ爺様は立ったまま皆が座ると、話始めた。


 「今回の地下室からの騒音を調べるために調査に赴いた5名は地下室の地下2階まで順調に降りて行った。」

 「地下2階の村側からの入り口に近い調理場跡に近づいた時、地下に響いていた騒音がピタッと止まったんじゃ。」


 そこまで言ってからマーヤを手招いた。マーヤが立ち上がって近づくと。


 「その時マーヤが調理室の地下倉庫から魔力が出て来たと知らせて来たんじゃ。」

 「マーヤ、その時の様子を話してやりなさい。」


 カークレイ爺様が何をマーヤに求めているのかは明確だ。神の恩寵型ダンジョンについて、この後話をさせる積りなのだろう。


 「はい、マーヤは騒音が終わった時、調理場跡から魔力が出てくるのを見ました」

 「魔力は更に地下への階段から立ち上ってきました」


 サンクレイドル男爵様が確認のためだと思いますが聞いてきました。


 「その魔力の流れは、騒音が終わった後から出て来たんだね?」

 「はい、騒音が終わるのとほぼ同時に出てきました」


 そこでカークレイ爺様が再び話始めます。


 「儂らは、その地下室へと降りて行ったんじゃ。」

 「まぁ、其処でダンジョンを見つけたわけじゃな。」

 「地下室の壁に黒いレンガで出来た地下への階段が出来とった、間違いなく神の恩寵型ダンジョンじゃった。」


 そう言った後、ダンジョン内を調査するために地下1階から5階まで降りて行った経緯を説明した。


 「地下5階では3つの部屋へ入って見た、4階のボス部屋でのボスの存在に違和感があったからの。」

 「案の定5階の部屋での戦闘では、杖持ちや金剛身を使う前衛が出て来た。」

 「そこで引き上げを決めたんじゃが、遅かったんじゃ、奴らは罠を仕掛けて待って居たんじゃよ。」


 そこまで言って、カークレイ爺様はマーヤに説明するように言った。


 「マーヤ、ダンジョンの底で待ち構えておった奴らの事を神の恩寵型ダンジョンの作られた歴史も含めて話してほしい。」

 「はい」


 マーヤは皆に説明した。神の恩寵型ダンジョンがエルフのダンジョン派と呼ばれる一派が作り出したものである事。今回エルゲネス国から来た闇魔術師ら3人が今回の神の恩寵型ダンジョンを作りマーヤを捕まえるために罠を仕掛けて待って居た事などを。

 マーヤが説明し終えると、カークレイ爺様が説明を続ける。


 「ダンジョンコアの部屋でドラゴンと闇魔術師3人と戦う事に成ったんじゃ。」

 「戦いの結果は闇魔術師らは逃げ出し、ドラゴンは倒されたんじゃ。」

 「ダンジョンコアが無くなったダンジョンは崩壊した。かいつまんで話せば、そうゆう事じゃよ。」


 しばらくはため息だけが聞こえて来た。やがてサンクレイドル男爵様がためらいながら口を開いた。


 「幾つも聞きたいことがあるけど、今一番聞きたい事は、ダンジョンは何時頃復活するのかだ。」


 これはマーヤが答える場面だと思う。


 「えっと、ダンジョンの受けたダメージはとても大きかったので、復活するのがいつになるのか分かりません、それに出来たとしても子ダンジョンが出来ると思います」


 「分からんか、数年とか言う事では無いのだね」

 「はい、数年どころか今の魔脈の状態では元の状態に戻るのさえ10年はかかると思います」


 魔脈はダンジョンが消えてからものたうつように揺れ動いている。魔力の流れはマーヤの空間把握では前と変わらないぐらい流れている。ダンジョンコアの様な魅力の大きな物が消え、今ある魅力の大きさでは安定出来無いのだろう。元のように安定的な状態に戻るには時間が掛かりそうだ。


 「そうか、ダンジョンについては今すぐ対処する必要は無さそうだな」


 闇の森ダンジョンから伸びる魔脈が300ワーク(450㎞)離れたカカリ村に在る。それだけでカカリ村の在るこの山に魅力の大きな魔金属が有る可能性は高い。近くで鉄が少しだけ採れるらしいので魔鉄アダマンタイトでは無いかと思っている。

 ただ、どの位の量が存在しているのかは分からない。そもそも魔脈が何時から存在していたのか分かっていないのだから。


 マーヤのダンジョン探検はこうして終わった。ドラゴンの首と尻尾にダンジョンコアは男爵様が預かって、国王へ譲りその代金を地下室探検隊の隊員に分配してくれる事に成った。今の見積もりでは金貨3万枚は下らないと男爵様が言っている。


 ドラゴンのドロップ品の爪と皮は男爵様が買い上げてくれる事に成った。代金の金貨1万枚を5人で分ける事になった。カークレイ爺様は爪をイガジャ家の家宝として男爵様の執務室へ飾る事にしたいと、分け前は無しで良いのでその分買取値段を下げる事にした。更にドラゴンの皮を使った鎧を作るそうだ。


 マーヤは皆に断って、ドラゴンの首と尻尾から血と肉を少し分けて貰った。神域でドラゴンを飼いたいなぁと思っている。


 10級から7級までの魔石やドロップ品は皆で分ける事にしたけど、ワーウルフの爪や皮、魔蜘蛛の魔糸は人気だったので端数になる分は、取り合いにならない様に魔女学園に寄付する事に成った。おばばなら有効に利用してくれると思う。


 探検隊は解散したが、魔力暴走を起しかけたポリィーの様子をしばらく見守る必要がある。


 そして、ラーファがいよいよこの国を離れる、昨日12日の朝に船に乗っている。川を下り明後日15日の朝には貿易港ウラーシュコに船団が着くだろう。ラーファに明後日の朝、神域でこの話をしたらラーファがおどろくだろうなぁとマーヤは思う。


 闇魔術師の手は撃退した、しばらくはマーヤに関われないだろう。ラーファも王都のゴタゴタとは距離を置いている様なので、船に乗れば追手を警戒する必要もなくなり、ゆっくり出来ると思う。


 ウラーシュコに付いたら、船の事とか知りたいことがいっぱいあるのでラーファに聞いて見よう。


 次回は、閑話を挟んで新章「神聖同盟の国々」をお送りします。

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