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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第1章 イタロ・カカリ村
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第26話 決着

 マーヤは待ちに待った、切り札を切った。

 「光結界・闇の否定ライトエリア・アンチダーク


 光のエリアを大きく部屋に設置した、闇魔術の行使が出来なくなるか出来ても効果が小さいはず。3人の男達が慌てているのが分かる、闇魔術がいきなり無効化されたのだ、慌てるのもしかた無い。


 扉が開く前、皆に神の恩寵型ダンジョンについて説明しながら、マーヤは今回の一連の出来事を考えていた。このダンジョンを作ったのは、闇魔術が使えるエルフなのは必然だ。


 マーヤは闇魔術師の話を聞いた事がある。ラーファを襲ったロマナム国の背後にエルゲネス国の闇魔術師が居ると。なら、今回の罠は同じ闇魔術師だと考えられる。


 違う可能性もある事は重々承知で、対闇魔術対策を念入りにする事にしたのだ。光と闇は、物の在りようを見る2方向の関係だ、より強く多い魔力エネルギーで見た方が見える。


 ドラゴンが出て来るとは思わなかったけど、先に闇魔術師を倒せばみんなでドラゴンと戦える。


 行使までに時間が掛かったのは、初めて構築する魔術陣が複雑で使える様な陣が出来るまで試行錯誤する時間が必要だったから。マーヤの並列思考内で戦いながら、焦る気落ちを極力抑え、間違いなく得たい効果が発揮できるか確認するのは、自制心が極限まで試された。


 今、マーヤのこの陣に込められる最大まで魔力を込めた光結界・闇の否定ライトエリア・アンチダークが行使される。


 男らの慌てる様は酷い物だ、いっそ滑稽だ! と言って良い。闇魔術を行使しようと涙ぐましい様々な術を試して、ことごとく失敗する様は哀れだ。


 土槍・散弾ジャベリン・ショットを男らに撃ち込む。男らの近くで、一瞬黒い闇が見えた。男らが消えて、土槍が後ろの壁に在るダンジョンコアの下に突き刺さる。


 召喚された使い魔が現れた、部屋から遠ざかる様に動くが、光の結界が使い魔を打ち消す。男らが隠れたのは闇隠ダークハイドだろう、移動は使い魔か!


 土槍ジャベリンで使い魔を攻撃する。


 使い魔の召喚が早い、3人が息を合わせ順に召喚している。


 男らは、ここで逃げられなければ、光の結界で抵抗も出来ないまま、マーヤに土槍ジャベリンで串刺しの未来が待って居る。必死に逃げるに決まっている。次々と召喚され、すりつぶされる度に徐々に召喚される位置がこの部屋から離れて行く。


 やがて、完全に部屋の壁の中へ、光の結界から出ると、更に勢いをつけて遠くへと逃げて行く。


 光の結界の範囲を抜け、様子見で留まるのかと思っていたら、3匹の使い魔は一気に遠ざかって行った。空間把握でも男らの痕跡は既に無い、本当に逃げ出したのだ。


 「カークレイ爺様! 男らは逃げたわ!」


 大声を上げて、カークレイ爺様たちに知らせる。


 残るは、ドラゴンだけだ。見ると、ドラゴンはあちらこちらに深い傷を負っている。それでも動きに切れがある、深手とはなっていない様だ。


 「マーヤ、ポリィー、後ろから攻撃してくれ!」


 とうとうポリィーまで名前呼びになった、余裕が無くなってきているのだろう。


 「土槍散弾ジャベリン・ショット


 『土の硬さを、鋼の如く、鋭き長柄を持って、我が魔力にて撃たん』


 「土槍ジャベリン


 「ギェェェェーッ」


 ドラゴンの体に10本の土槍が突き刺さり、ドラゴンは痛みで後ろへと後退した。


 ポリィーがストーンから切り替えて、魔術土槍ジャベリンを行使し撃った。


 一度撃つと魔力が枯渇して、魔法も使えなくなる。でもポリィーに魔力回復ポーションを渡してある。

 ポリィーがポーションを飲む、途端に意識を失い倒れた。


 慌てて駆け寄り、ポリィーの診断をする、魔力過多だ!ポーションの魔力回復量が多すぎたのだ、このままだと魔力暴走が起り死亡する。


 ポリィーの体内の魔力を散らしながら、体内にある魔力受容体を増やす準備をする。魔力受容体とはいっても、核に成るのは魔金属だ、化学的には金、銀、銅や鉄などの金属原子が取り込まれたタンパク質でしかない。


 危険な処置だが、今はこれしか手段が無い、神域に手を突っ込んで魔金属の塊を引っ張り出す。体内にある魔力受容体を魔金属を核として増殖して行く。


 マーヤは治療しながら、ポリィーに魔力回復ポーションを渡した自分を責めた。しかし、緊急対応をしている最中に落ち込んでいる暇はない、今は全力でポリィーを助けるんだ!


 後遺症がどんな形で出るのか分からない、けど、今は延命するだけで手一杯。魔力受容体を既にある受容体の魔金属の種類比で増殖して行く。


 しばらく処置にかかりっきりになる、やがて処置の甲斐が在り、ポリィーが気が付いた。


 「ポリィー! 大丈夫? 気分の悪いとこない?」


 「気分なら、最悪よ! でも何かが漲ってるわ!!」


 よろよろとマーヤを支えに立ち上がると、ドラゴンへ立て続けに土槍ジャベリンを放つ。


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 「土槍ジャベリン!」


 無詠唱で行使され溢れるほどの魔力を込めた、9本の土槍ジャベリンがドラゴンに深く刺さる。


 ドラゴンが咆哮ハウリングを上げる。


 だが闇系統の魔術は光の結界で打ち消されてしまう。


 男らは逃げだしました、ドラゴンはハリネズミ状態です。

 ポリィーが覚醒した?

 次回は、ドラゴン戦に成ります。

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