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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第3章 闇魔術師
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第81話・17 大海嘯(17)

 大海嘯対策会議で今後の方針は決まった。だが、冒険者たちには衛兵と自警団との確執が残っている。


 みんなで話す必要が有るのでカー爺たちの部屋に集まり、私は皆に問いかけた。


 「ねぇ、冒険者から募集するって決まったけど、自警団と冒険者って今も対立が続いているよね?」

 「素直に応募に応じるのかしら?」


 「そりゃ無理があるな!」


 アントさんは肩をすくめながら感心なさそうに答えた。実際、冒険者の応募について私たちには何の関係もない。対応するのは自警団と衛兵隊の親玉ミュリネン国だろう。

 ダルトさんはゲルトたちとの関係が深いからか、沈んだ顔で「今のままでは冒険者から自警団の応募に集まる人は0ですね。」と、どうしようもないとばかりにため息をついて首を振った。


 ケンドルさんもダルトさんやアントさんと同じ意見の様だ。「うんうん」と頷いている。


 「でも、冒険者を捕らえた法律は改変前の内容に戻ったはずです、捕らえられていた冒険者も解放されてるはずです」

 「誤解が解ければ、協力してくれるのではないでしょうか?」


 ポリィ―は私より楽観的なようだ。誤解が解けたら大海嘯戦へ参加してくれると、冒険者が自国の危機に立ち上がると信じているようだ。

 ただ、誤解なら解けるかもしれないけど 事実は犯罪取り締まりだったから、いまさら法律が変わりましたから犯罪者じゃありません とか言われてもね。

 私だって大海嘯の件が無ければポリィーを助けた後、直ぐにこの国を出ただろう。闇魔術師討伐隊との関係が終わったとしてもこの国に関わる事に嫌気がさしていたから。


 「冒険者はこの町をとても愛しています」

 「それはミュリネン・ダンジョンと言う孤児でも生きられる場所をミュリネン国が用意していたからです」

 「どのような経緯(いきさつ)が在ろうと、きっと冒険者はこの国を助けると思うのです」


 ポリィーの言う通りだと良いなと私も思う。


 アントさんダルトさんに、カー爺やケンドルさんまで、冒険者側は自警団や衛兵隊への反発が大きく、今回の募集は失敗すると見ているみたいです。

 ポリィーと私は、原因(王様がポリィーを手に入れるための陰謀)が既に無くなっているのだから 話せば受け入れてくれるだろうと思っている。

 そうは言っても、所詮よそ者がどうこう言い合っても、当の冒険者たちが決めるしかないのだけどね。


 「ゲルトたちなら冒険者を参加するように説得できるかも」ポリィーが良い事を思い付いたと嬉しそうに言った。


 私も、冒険者仲間でも顔が広いゲルトたちが冒険者の気持ちを変えてくれるかもしれないとは思う。けど、それには幾つか前提条件が必要かもしれない。

 例えば、自警団から冒険者へ公の謝罪があるとか。冒険者へ賠償金を支払うとか。


 やっぱりゲルトたちには、荷が重いかもしれない。


 この件は、自警団でも問題になるかもしれない。法律違反者の取り締まりで、自警団は違反している冒険者を捕縛した訳で、いまさら謝罪など自分たちに非を認めるような事をするだろうか?

 元々、王様の陰謀(魔女のポーション入手)が原因なんだから自警団には罪悪感など無いだろうし、法律に従っただけなので冒険者に謝罪するなど無理かも。


 一夜にして法律が変わり、周知されないまま取り締まりが始まったのだから、非は王様にあると思う。王様の権限内だから冒険者が悪いと言うのは納得がいかない。


 こんな時、解決できるのは、都督様だけかもしれない。

 あの人なら幼い捨て子にダンジョンのねぐらを用意する事を考え付くぐらいの人だから。今回の件も何とかしてくれそうだ。


 都督様は、自警団、衛兵隊、冒険者ギルドの3つの組織を管轄している訳で、冒険者ギルドを通じて冒険者たちへの影響力は大きいし、自警団にも話ができる。


 「ねぇ! カー爺、都督様に間に入っていただくって、できない?」


 私は対立する者たち全てと、唯一話ができる都督のフェアブール様ならなんとかできるのではと、都督様と顔見知りのカー爺に言った。


 「フーム! フェアブール都督殿か?」


 カー爺にしては迷っているような顔です。


 「マリィー(マーヤニラエル)の頼みじゃ! そうそうに会って見るか!」


 立ち上がって会う事は承諾してくれましたが、私の顔を覗き込んで念を押すように言った。


 「在奴(あやつ)も都督の立場じゃと防衛に使える冒険者は慰留(いりゅう)したいじゃろう。」

 「じゃが、自警団と衛兵隊に謝罪は無理かもしれん。」

 「ただし、”不本意だった”ぐらいなら、詫びを入れる事もできるじゃろう。」


 少しハードルを下げた提案をするつもりかも?


 謝罪してもらった方が冒険者の腹の虫が収まるのですが?

 都督様にしたら 騎士団や衛兵隊と自警団が出陣した後、王都防衛を担うのは冒険者になるのです。ですから、衛兵隊と自警団から冒険者に謝罪をする事に、賛成だと思ったのですが?


 「なぜ”不本意だった”なのですか?」

 「”謝罪する”ではいけないのですか?」分からない時は、聞くに限ります!


 「”悪かった謝罪する”だと後々賠償問題が出るが、”我らも不本意だったが、法律に従うしかなかった”なら賠償問題は発生しないからの!」


 なんだか”けち臭い”理由ですね!!


 マーヤには不評ですが、大人の理由で謝罪内容が決まりそうです。これで冒険者が納得できれば良いのですが!


 次回は、いよいよ大海嘯への反撃の始まりです。

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