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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第1章 イタロ・カカリ村
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第19話 ダンジョンの罠(1)

 マーヤ達は、魔物が溢れるダンジョンの罠に嵌められる。

 「なんじゃと、いかん! 部屋から出るぞ! 動けなくなる前に通路で迎え撃つんじゃ。」


 カークレイ爺様がアントニー様の声に反応して、そう言うと部屋の外へと飛び出て行った。アントニー様が続き、ダルトシュ様はマーヤとポリィーを呼び寄せた。


 「先に出なさい、殿しんがりは私が務めます。」


 このままこの部屋の中に居れば通路に魔物が溢れて出れなくなります。動くなら今しかありません。


 マーヤとポリィー、それに使い魔が部屋の外へ出ると、近くの部屋から出た魔物の群れと二人が戦っている。剣だけで無く手や足で撃ち払っている、魔物は10級でも数が多い。


 「範囲攻撃、散弾ショットを後方へ撃ちます。」


 と声を上げると、迷宮の奥側に居る魔物へ向けて「散弾ショット」を撃つ。とっさに撃った散弾ショットは土魔術・ストーンを一度に9発撃つ魔術だ。


 1ヒロ(1.5m)先で、押し寄せる魔物の群れをなぎ倒した。10級の魔物だと突き抜けて後ろの魔物まで倒した様だ。


 「カー爺様、後ろの魔物は壊滅しました。」


 そう言って、後のカークレイ爺様たちの方を振り返った。其処は混乱のるつぼだった。


 カークレイ爺様とアントニー様は少し離れた状態で魔物を切り払っている。足元には魔石がゴロゴロ転がり、足の踏み場も無い。近くの部屋の魔物は粗方倒したのだろう、今は通路から迫る魔物と戦っている。


 ポリィーも足元に魔石が転がっているのでスタッフで倒したようだ。使い魔は返したのか姿が見えない。ダルトシュ様はマーヤの後ろでマーヤとポリィーを守りながら、前の二人を抜けてくる魔物を倒している。


 その時、土槍ジャベリンが飛んできてアントニー様の矢除けの結界を突き抜けて右腕に刺さった。矢除けの結界が破れた。


 「ウオーッ!」


 とっさにアントニー様が剣を右手から左手に持ち替え、構える。


 が、受けた衝撃で膝を付く。


 金剛身を身に纏っていたのに、その防御を突き抜けた。マーヤはその事実に衝撃を受けた。


 マーヤが衝撃で思考が止まっている間に、ポリィーが動いた。


 「アントニー様、此方へ!」


 アントニー様に声を掛けて後ろへ下げた、代わりにダルトシュ様が前へでた。


 二の腕に刺さった土槍ジャベリンを掴んで抜く。血が噴き出し、ポリィーの顔に掛かる。


 ポリィーが血飛沫を物ともせず、治癒の魔法スキルを使う。


 「この手に癒しを! 治癒ケアー


 ケガを負った部分に手を当て治癒魔法を使う。


 ポリィーの働きを見て、ハッとしたマーヤも動いた。


 「矢防アローガード


 マーヤは矢除けの結界を無詠唱で張り直した。腕の痛みが治まったのか、アントニー様が腕を2,3回振ると剣を持った。回復したアントニー様が前に戻る、戦いは膠着してきた。


 アントニー様、ダルトシュ様、カークレイ爺様の三人が前で防ぎ、それを後衛のマーヤとポリィーが魔術や魔法スキルで攻撃して助けている。前衛の二人には矢だけで無く魔法スキルでの攻撃が飛んで来るが、其の多くを結界で防いでいる。


 マーヤは心配したが、火玉ファイアーを何度も防いだがびくともしていないので大丈夫だろう。あれ以降、土槍ジャベリンは飛んで来ない。


 マーヤの後ろでドアの開く音がした、振り返ると。後ろのまだ閉じていた部屋のドアが開き1匹の魔物が出て来た。


 大きなコボルト? 大きすぎるコボルトがマーヤに手を伸ばした。


 「ストーン」とっさに撃ち出したが、動きが止まっただけで倒れない。


 再び迫って来た。


 「土槍ジャベリン!」撃った。


 先ほどアントニー様を襲った土槍ジャベリンが記憶に残っていたのか、スルッと土槍ジャベリンを行使できた。


 魔物の胸を貫通した土槍ジャベリンが通路の壁に突き刺さる。魔物は襲おうとした姿のまま魔石になった。一回り大きな魔石が通路へ落ちる。


 魔石に目を引かれ、驚愕して大声を上げた。


 「カー爺、7級の魔石が出た!!」


 次回、追い詰められるマーヤ達に最大の危機が迫ります。

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