第16話 ダンジョン騒動(5)
マーヤ達ダンジョン探検隊はダンジョン4階へ来ました。
地下4階は更に規模が大きくなっただけで、作りは似たようなものだった。
最初の分岐は通路が5つ、その先は一つに纏まった後又分岐が5つでさらにその先で一つになる。
分岐5つが二つ繋がった作りだった。
この階も一番左の通路をたどり、ボス部屋の前の部屋へたどり着いた。
黒いレンガと光る苔の通路に左右のドア、だんだんここが彼の方の世界に在る大きなホテルと言う名の宿屋に見えて来た。
差し詰め、ここは魔物さんが居るホテルかな。
今までで上の階で出て来た魔物は、前衛ゴブリン、スライム、後衛ゴブリン、灰色の狼だ。
「此の階の部屋にいるのは、灰色狼とこれまで出て来た魔物が色々な組み合わせで出てくる。」
「もちろんボス部屋でもそうじゃ、ボス部屋では5匹、出てくる事は決まっとる。」
カークレイ爺様がこの階に出る魔物の説明をする。
「ご隠居様、個々の魔物は大したことはありませんが、組まれると厄介な敵になりますね。」
アントニー様が頭を掻きながら言う。
「弓は魔女っ子殿の結界が在ればしのげるが、投げ槍とか魔術だとどうだろうか?」
ダルトシュ様が敵を想定して、マーヤに聞いて来る。
「投げ槍に対しては結界の効果は薄いかも、魔術は種類によっては防げないわ」
マーヤも考えてみるが、あまり防げるとは思えない。
「ただ、投げた槍の目標はそらせる事が出来るよ」
「魔術は火や風を使う魔術なら防げるけど土や水だと結界が破れる、ただし魔力の強弱に拠るわ」
「光や闇は結界を通過してしまうし」
「結局のところ、矢除けの結界は矢除け程度なのよ」
マーヤは結論を告げる。
「10級の魔物で魔術を使う物は居ますかね?」
ダルトシュ様が頭をひねりながら、聞いてきます。
魔術を使う魔物を思い出す限り10級に居るか考えているのでしょう。
「魔術を使う魔物と言えば、ゴブリンにもいるし、人型は上位種なら居るな。」
「でも10級に居るか? と問われるといないか。」
アントニー様がやはり思い出しながら確認しています。
「魔法で火や土を扱う魔物にエルク(しか)がいますわ」
「それに魔物が使うのは全て魔法ですよ」
ポリィーがアントニー様とダルトシュ様の言葉を訂正する。
中(7~5)級以上なら魔術を使う魔物も居たと思うけど、マーヤはこの世界の知識に疎いから詳しくは知らない。
「みんな、今度のボス部屋の魔物は弓以外の後衛が出たら対処を魔女と魔女っ子に任せる。」
「儂とアントニーとダルトシュは前衛を先に倒す。」
「矢は矢除けの結界任せにして、先に弓以外の後衛を倒す作戦じゃ。」
「私が敵の後衛全体に混乱の魔法を掛けます」
ポリィーの提案は混乱を使い魔で、敵の後衛に掛けられるから効果的です。
「魔女先生が混乱させて、私が礫で倒して行くわ」
「まぁ最初の5階で魔法使いが出た試しは無いが、念のためじゃ、其の案で行く事にしよう。」
カークレイ爺様が最終的な決断を下す。
戦う目途を付けたので、マーヤは矢除けの結界を皆に付与します。
「風を掴み、矢の行く先を狂わせ、その境を守りとなせ!」
「矢防、付与」
「我が手に集まる魔力を糧に、闇に潜みし使い魔よ、我が前に顕現せよ!」
ポリィーの足元に迷宮毛長灰色狼が黒い影と成って出て来た。
ポリィーが使い魔を召喚した。
続けて、混乱の術の準備をしています。
『混乱を纏いなさい!』魔力を込めた言霊で命令した。
「用意は良いか?」
カークレイ爺様が皆を見て行動開始の用意が出来たか確認します。
「何時でも。」、「はい。」、「「いいわ」」
「良し、開けるぞ!」
カークレイ爺様がボス部屋の扉を開け、アントニー様とダルトシュ様それに使い魔が突入します。
続いてカークレイ爺様がその後ろにマーヤとポリィーが続いて入ります。
部屋の中では、槍ゴブリンとアントニー様が、狼とダルトシュ様が切り結んでいる。
カークレイ爺様が狼に向かって進み、ポリィーが使い魔で混乱を弓ゴブリン2匹と狼人間?に掛けるよう命令する。
使い魔は後衛を次々に駆け抜け、触れた魔物を混乱に落として行く。
マーヤは礫を狼人間へ撃ち込み、倒した。
マーヤが次の礫を弓ゴブリンへ向けて撃とうともたついている間に。
ポリィーが使い魔に最後の弓ゴブリンを襲わせていた。
敵の前衛は既に倒され床に倒れている。
マーヤが礫で弓ゴブリンを倒す。
カークレイ爺様が使い魔に混乱され動けない弓ゴブリンをサクッと剣で刺し貫いた。
魔物が魔石に変わると、貯めていた息を吐きながら、カークレイ爺様が言った。
「やれやれ、次の階はコボルトが出るようじゃ。」
狼人間はコボルトと呼ぶようです。
次は地下5階です。




