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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第1章 イタロ・カカリ村
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第14話 ダンジョン騒動(3)

 マーヤは神の恩寵ダンジョン6階へ初めてのダンジョンに挑みます。

 「カー爺様ありがとうございます、だいたい神の恩寵型ダンジョンに付いて分かりました」

 「それでなのですが、私から提案です、6階を確認しましょう」


 「やっぱり行くんだ、でも何故6階? 魔女っ子は何が知りたいの?」

 ポリィーが呆れたと声を上げた。


 「そうよな、なんで地下6階なんじゃ?」

 カークレイ爺様が不思議そうに聞いてきます。


 「はい、カー爺様の説明では、神の恩寵型ダンジョンの特徴は6階から出て来るそうですので、6階を見ればおおよその判断が付くと思ったのです」

 「それに、地下1階は全ての部屋とボス部屋、2階からはボス部屋のみ確認して行けば早いかも」


 「フムフム、そうじゃの、お前たちはどう思う?」

 と、今度はアントニー様とダルトシュ様を見て言います。


 「賛成します、やっぱりそこまで確認して置きたいですね。」とアントニー様。


 「確実を期すなら地下6階は見るべきでしょう。」慎重なのはダルトシュ様。


 「私も行くわ!」最後にポリィーがスタッフを掲げて気勢を上げた。


 「良し、それでは、此の階を全てしらべるぞ、アントニーとダルトシュは組んで片っ端からへやを掃除しろ、儂らは此の通路に沿って片付けて行く、合流はボス部屋の前じゃ。」


 「「ハッ。」」


 「魔石とドロップ品は回収してね」通路へ二人で戻って行く姿へ声を掛けます。


 「わかった。」ダルトシュ様が手を振って答えてくれました。


 二人は右の通路の部屋から掃除していくようです。


 「わしらも行くぞ、次はだれじゃ。」


 「はい、私で良いですか?」


 「魔女殿、頼もしいですぞ! いざ! まいりましょうぞ。」


 カークレイ爺様は、カーテシーに似た騎士の礼をポリィーに格好良く決めて進んで行きます。

 マーヤもポリィーも笑いながら、急いで後を追います。


 倒しても消えてしまい、後には魔石が残るだけなので彼のお方の世界に在る没入型ゲームをしているようです。

 凄惨だった盗賊団の討伐と違ってダンジョンの魔物を倒すのは、正にゲームの感覚で進められます。

 まだ弱い魔物しか出て来ていないので、痛い思いをしてないからなおさらです。


 部屋のゴブリンはどの部屋も1匹だけで、得物は素手から槍まで全部出ましたが、魔石以外落としませんでした。

 魔石を5個追加して、ボス部屋の前の部屋で待っていると、アントニー様とダルトシュ様がやってきました。


 「魔女っ子殿、これが成果でござる。」とアントニー様が袋を渡してくれた。

 中には10級の魔石が20個入ってるが、やっぱりドロップ品は無かった様だ。


 「ありがとうございます、何か他と違うような事はありましたか?」


 「いや、出てくるゴブリンはどれもこれも1匹で弱い奴ばかりだった。」

 つまらなそうにダルトシュ様が言う。


 「どうやら疲れても居ないようじゃな、ボス部屋へ入るぞ。」

 カークレイ爺様が二人が部屋に入って来ると、間を置かずボス部屋の扉を開けた。


 アントニー様とダルトシュ様が直ぐに部屋へ駆け込んで行った。

 マーヤたちも遅れない様に後へ続く。


 ボス部屋には2匹出ると聞いて、中に入って見ると、ゴブリンとぶよぶよしたスライムだった。


 マーヤたちが部屋に入った時既に、アントニー様とダルトシュ様が剣で一閃した後だったので、消えて行く姿しか見えなかった。

 出たのは10級の魔石だけで、ドロップ品は無かった。


 「良し、此処も終わりじゃ、部屋をでて少し休もう。」


 ボス部屋を出て前の部屋で休憩します。

 持って来た水筒の水を魔術で湯にして、ハーブを入れたポットに注ぎます。

 背嚢せおいカバンに入れて持って来た木製のマグカップに注ぐと、ハーブ特有の香りが立ちます。


 ハーブ茶に砂糖と柑橘類の汁を入れて皆に配ります。

 マーヤが作った小麦粉と卵に蜂蜜と牛乳と砂糖が入ったクッキーを一緒に添えて。


 「甘くすっぱそうな香りがするわ」

 「おう、此のクッキーは甘いな。」

 「ああ、旨い。」


 「蜂蜜の香りがするわ」


 「良い出来じゃ、魔女っ子もおかし作りがうまくなったの。」


 うふふ、それは材料が良いからですよ、何せ全て神域産ですから。

 休憩が終わればいよいよ地下2階へ降ります。


 クッキーを食べ終え、マーヤは出したお茶の道具やお菓子入れを背嚢せおいカバンへしまいます。

 探検隊の他の人も休憩を終え、各自の持ち物を改めて点検し始めた。


 「カー爺様、地下2階の探検はボス部屋を見つける事を先にしますか、それとも全ての通路を見てみますか?」


 「ボス部屋は地下3階への唯一の通路沿いに在るんじゃ、地図を作るのは次回でも良いじゃろう、ボス部屋を見つけるのが先じゃな。」

 「それに地下5階までは迷う事も無い簡単な構造になっとる。」

 「良し、行くぞ! 最初の隊形じゃ。」


 「「ハッ。」」、「「はい」」


 地下2階への階段を下りると、先ほどの地下1階と同じような分岐した通路と小部屋が並んでいました。

 空間把握が教えてくれるこの空間の地図は、5つの分岐先の右手3つはその先で繋がっていて行き止まりです。

 左手の2つの分岐は先が繋がり、更に奥へいけます。

 その証拠に魔力の流れが左側の通路から上の階へと流れています。


 奥にはボス部屋とその前の部屋も在ります。


 「カー爺様、左の2つの通路から魔力の流れを感じます」


 「魔力の流れか? よしそっちがボス部屋の在る方じゃろう、左の通路を行くぞ。」


 相変わらず薄暗い黒い壁と光る苔の取り合わせが続くダンジョンの中を、一番左の通路を奥へと移動します。

 小部屋が無くなり右の通路が合流して奥へと続く通路が在りました。


 ボス部屋へは休み無しで突入しました、誰も疲れを感じて無いのとボスも10級の魔物3匹だと分かっているからです。


 カークレイ爺様が扉を開け、アントニー様とダルトシュ様が中へ飛び込んで行きました。

 先行した二人を追い越す勢いで突入して行くカークレイ爺様に、遅れ時とマーヤとポリィーも突貫です。


 次回もダンジョンを探検する予定です。

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