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小さなエルフの子 マーヤ  作者: 迷子のハッチ
第1章 イタロ・カカリ村
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第13話 ダンジョン騒動(2)

 マーヤは神の恩寵ダンジョン1階で初めての戦いに挑みます。

 マーヤの戦ってみたいとの宣言にカークレイ爺様は考え込んだ。

 マーヤとポリィーを見て何か決めた様だ。


 「魔女っ子と魔女殿、儂と一緒に戦ってみるか?」


 意外にもポリィーがそれに答えて「お願いします」と意欲的だ。


 「私も闘って良いの?」

 マーヤはカークレイ爺様を見て本当に良いのか確認した。


 「戦ってみたいんじゃろ? わしが見ておるから安心じゃ、やって見なさい。」

 カークレイ爺様も頷いてくれた。


 「ありがとう! カー爺」

 マーヤは初めての魔物との闘いだと思うと、気持ちが高ぶって何やら頭がくらくらした。


 「三人で部屋に入るが3回入れば一人1回は戦えるぞ。」

 「魔女っ子も魔女殿も金剛身をしてから部屋に入るのじゃよ。」


 「「はい!」」


 身体強化(金剛身)の魔術を行使する。

 うっすらと皮膚の上に魔力の鎧を着ている感じがする、何時もの練習と同じ感覚に心が落ち着いた。

 ポリィーを見るとスタッフを右手に持っている、金剛身も体にまとっているようだ。


 カークレイ爺様は右手の2番目の部屋を開けて3人で中に入った。

 「先に儂から行くぞ!」


 カークレイ爺様はそう言うと部屋の真ん中に突っ立ている、棒を持ったゴブリンに一足で身を寄せた。

 見ているとゆっくりと動いているのに、ゴブリンは何もできないまま剣で横なぎに打ち払われてしまった。


 吹き飛ばされ壁にぶつかる前に消えたゴブリンが魔石を1つ床に落とした。

 マーヤは袋を持って急いで駆け寄る、魔石を拾うと袋に入れた。


 「次ぎは、魔女殿じゃよ。」


 「分かりました」ポリィーは静かにスタッフを軽く持ち上げて、次の部屋へと移動した。

 左の2番目の部屋のゴブリンはナイフを持っていたが、ポリィーがスタッフを上から振り下ろすと受けようとしたナイフ毎頭を強打されて消えてしまった。


 「すごい! 一発だったね」

 魔石を拾いながら、ポリィーを称える。


 「ええ、金剛身で強化してるから10級のゴブリンならいけると思っていました」

 少し興奮しているのか、上気した顔でマーヤに答える。


 「次は私だね!」カークレイ爺様の方を見ると頷いてくれた。


 なんだかゲームをプレイしている様な気分に成って来る。

 彼の方の世界には没入型のモンスターと戦うゲームが沢山ある、今との違いは視野の片隅にステータス画面が無い事と経験値が無い事ぐらいだ。


 部屋の外へ出て、次の右の3番目の部屋へ行く。

 マーヤは初めての実戦は魔術を使う事にした。


 カークレイ爺様が明けてくれた部屋へ素早く入ると、中央に剣を持ってマーヤを獲物として見ているゴブリンへ魔術行使をする。

 使用する魔術はストーン土を圧縮した弾を撃ちだす魔術だ。


 「ストーン」魔術の攻撃は声を出して行わないと、仲間に誤解される事がある。

 お互いに阿吽の呼吸が出来るまで息が合っているのなら無詠唱でも良いけど、今は臨時の探検隊だ。


 「ギャウ!」ストーンが体を打ち抜いたゴブリンはそのまま消えた。

 後に残った魔石を拾って、後ろを振り返る。


 「ようやった!」、「魔術の行使が早かったわ!」

 二人の賛辞に気分が良くなる。


 「ありがとう、マーヤは使い勝手の良いストーンをこれからも使って行こうと思ってるの」


 マーヤの初めての魔物との闘いはあっけなく終わった。

 ラーファが宿で冒険者と戦った時と比べれば、簡単に済んだ戦いだったが、マーヤを殺そうとする魔物と対峙するのはやはり怖いなと思った。


 部屋を出て、外で待って居るアントニー様とダルトシュ様に合流する。


 「さて、一通り確認する事はしたな、それでこの後どうするかじゃ」

 カークレイ爺様が思わせぶりな言い方をしますが、本人が一番張り切っている事は丸わかりです。


 「カークレイ様、此の階を一度全ての部屋に付いて確認して、下の階まで降りてみませんか?」

 アントニー様がカークレイ爺様の意向を受けて、更なる冒険に行く事を提案して来る。


 「待て待て、調べるのはもう十分だと思うぞ、一度引き返してダンジョンの件を報告した方が良い。」

 ダルトシュ様はさすが家宰様の孫だけあって慎重です。


 「ふむ、魔女殿と魔女っ子はどう考えているのか教えてくれ?」

 二人の意見が割れたので、こちらを見て意見を聞いてきます。

 聞かなくても知っているのでしょうけど、一応みんなの多数決で決めたいようです。


 「私はせめて此の階だけでも全て調べた方が良いと思います、その方が報告も正確に成りますし」

 ポリィーは更に調べる事に賛成の様です、知っていましたけどね。

 スタッフを先ほどからパンパンと左手に打ち鳴らす音が聞こえますから。


 「私はお爺様に聞いて見たいことが在ります」


 「なんじゃい、魔女っ子?」


 「はい、神の恩寵型ダンジョンは全て同じ作りなのですか? 例外は無いのですか?」


 「ふむ、儂が知っておる神の恩寵型ダンジョンは全て地下5階までは、出てくる魔物の出方は同じじゃった。」

 「出てくる魔物に違いがあるが、10級の魔物で10級の魔石を落とし、地下1階は1匹、ボス部屋は2匹、階が下がる毎に1匹追加され、最後の地下5階はボス部屋の5匹の魔物の内1匹が9級の魔物じゃ。」


 「5階までの通路には魔物は出て来ないのも特徴じゃな。」

 「魔物の出方は同じでも、部屋の数や形はダンジョン毎に違うな。」


 「6階からそのダンジョン毎に特徴的な構成になっとる。」

 「が、5階層ごとに魔物の級が1増えるのは変わらん。」


 「ただし、深い階層まで行ったものはほとんどおらんのも事実じゃ。」

 「なんせ、地下15階から下だと中級の魔物が出て来るようになるからな。」

 「そこまで潜った事の在る奴らから聞いた事があるが、中級からは10階で1級上に成るらしい。」


 「ただ、そいつらはえらく臭かった記憶がある、なんせ一月もダンジョンに潜っとったからな。」


 ダンジョン探検隊(仮)は進むのか戻るのかどっち?

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