第58話 暴走が止まらない!!
首輪から解放されたラーファの暴走が止まらない!!
私たちは、一端腕輪の部屋から船の船室へと出て来た。
母の事は船室では話さない事にしています。神聖同盟のどこかの国が母を誘拐したと言う疑いは晴れましたが、今更母が解放された事を知らせる事も無いでしょう。
母も「ビチェンパスト国に行くと出て来たのだから、戻る事は無い」と言っていました。下手に神聖同盟の国に知られると、又母を追いかけて、今度はビチェンパスト国まで行きかねません。
明日の予定を軽く話し合った後、各自の腕輪の部屋へと別れました。明日の予定と言っても一日船の中なので朝食に昼2時(午前7時)に行く事を確認しただけです。
私は恐らく神域の家で母と朝食を食べると思うので、船の朝食は行かない事を皆に伝えました。
私は腕輪の部屋に入った後、神域へと移動した。今日は久しぶりに親子水入らずで過ごせる。
そう言えば今日船で食べた夕食はあまり食が進まなくて、少ししか食べなかった。母もまだ夕食を食べて無いなら一緒に食べるのも良いかもしれない。
ふとミンストネル国に入って王都への分岐点で川を見ながらカー爺と話した事を思い出した。その時カー爺が上って来た鮭を網で取る話をしてくれた。
後でポリィーと鮭の話をした時オウミ国の鮭の料理に付いて聞いていたので、川湊で売られていたお土産に鮭の乾燥させた物があったので買って食料倉庫へ入れている。
思い出した途端鮭料理を無性に食べたくなった。乾燥させた鮭だけど生命情報は失われていないだろう。再生可能なら神域へ持ち込んで神域の川に住まわせても良いかもしれない。
戻って倉庫から鮭を一匹持ち出し、神域で魔紋と生命情報から神石生物として神域を流れる川に放流した。一匹は今日の夕食用として家へ持ち込んだ。
母なら鮭料理を知ってるかもしれない、一緒に作って食べよう。
母が作ってくれた料理はダキエの鮭料理でした。初めて食べるダキエの料理です。
ジャガイモやニンジン、玉ねぎは私が切りました。母は鮭を捌いてくれました。
私が料理をした事やお風呂では身長が伸びたと、母は大騒ぎしています。なんだかやっと日常が戻ってきたようで、嬉しくなって母にしがみついていました。
朝起きて母と朝食を食べました。黒パンにゆで卵とサラダそしてハーブ茶と簡素な食事ですがこんなにおいしい朝食を食べたのは久しぶりです。
「今日は私をこの国に連れて来た海賊船に乗り込んで色々船長から情報を聞く予定よ」
母に今日はどうするのか聞いた所、ちょっと怖そうな名前が出てきました。”海賊船”とか母の居る国は”奴隷”が居る国だと聞いていますし、怖い国なのかもしれません。
母と分かれて船に戻ろうと神域から出たら、其処は神域に入った腕輪の部屋の中だった。
これには驚きました。てっきり川の上に出ると思っていたのです。船は停泊している川湊を昼3時(午前8時)に出航しているはずです。
今は川を下っている最中なので何時ものように神域はより大きな質量に固定されているはずなので川湊に出ると思っていました。
それが神域へ入った腕輪の部屋へ出たのです。つまり神域が船と一緒に移動していたのです。
母に急いでこの事を知らせたら、『便利で良かったんじゃない?』などと気楽な答えが返ってきました。全然母は分かっていません! この現象が此れまで知られていなかった事など無視されてしまいました。
『腕輪の空間収納は魔法袋と同じ笑い猫の魔石を利用した、この世界の内なの 神域は魔法袋とは全然違って、この世界とは別の世界に繋がっているのよ』
『ラーファとしては便利に使える方法が分って、ありがたいわ』
いくら訴えても帰ってきた答えはのんびりした物でした。
『まぁそうだよね、・・・・・ じゃあ、また夜にね』
母へこの現象の不可思議さを訴えるのは諦めました。
オース国の川湊まではあと二日で着きます。
今日も途中の川湊で停泊して軽く夕食をとって、船室へと戻ってきました。昨日の事を思い出したのは自然な事だと思います。
そう思っていました。母から念話が来るまでは。
『マーヤ! 私はもう知らないよ、疲れてしまったわ』
『後はなる様にしかならないわ』
『どうしたの?』
『なんだか疲れている様だけど、何があったの?』
いきなりの念話と投げやりな母の言葉は何かが在った後の様です。
『皇子のバカが魔力暴走しながら火槍を撃って来たから椅子の魔結晶が爆発して』
『キク・カクタン国の王宮が無くなっちゃったの』
『王都も巻き込まれて王宮の近くが壊れてるわ』
え!!!?
キク・カクタン国の滅亡の事でした。
バカ皇子のせいにしていますが、事の発端から挑発して暴発させたのまで全てラーファが原因です。
次回は、キク・カクタン国の滅亡に付いてカー爺たちの反応とオースに着きます。




