第57話 ラーファの暴走
ラーファが助言を求めて来た、カー爺たちは状況に混乱する。
念話が飛び込んで来た。
「母から念話が来たの、少し母と話しますね」皆に念話だと断って母と念話を繋いだ。
「念話って私でも覚えられるかしら?」ポリィーが興味を持ったのかそんな事を言ってます。
ラーファからの念話はラーファが今置かれている状況や王宮と見られる場所で起こっている戦いについて判断を求める内容でした。
『今の状況なんだけど、私がこの国の王を氷槍で倒したら、マーヤと会っている間に王宮で争いが起こっていたの さっぱり訳が分からないから、カークレイ様に争いの原因を教えて欲しいの』
『・・・??』なんだか不穏な言葉だらけで、私も混乱してます。
王を倒した? 王宮で争い?
母は一体全体キク・カクタン国の何処で何をしたんだろう?
私がラーファから聞いていたのはキク・カクタン国に奴隷として船で送られ、奴隷の主を倒して逃げ出した事。
後はベロシニアや闇魔術師の事などでしたから、何処にも王や王宮の話はありませんでした。
話からは奴隷の主とやらが王で、場所が王宮だったようですがその王宮で争いが起こっていると言う事なんでしょう。
王様が殺されたのだから混乱ぐらい起きると思う。でも数刻で争いが起きるのだろうか?
争いが在って殺されたのなら分かるけど、殺されて直ぐに争いが起きるのだろうか?
混乱した母がカー爺の知恵を借りたいようです。
「カー爺、ラーファが知恵を借りたいそうなの」と先にカー爺に理由を伝えます。
「母は奴隷としてキク・カクタン国に攫われたんだけど、送られた先が王の元だったみたいで、母は首輪を外した後王を倒したそうなの」
「インベントリに入って私に念話して来たのは其の後で、私と話をした後 王の居た王宮へ戻ったら争いが起こっていて、今王宮がどうなっているの分からないそうなの」
「それでカー爺に知恵を貸して欲しいそうなの」
「なんじゃ? それは!」カー爺も呆れています、皆も呆れていそうです。
「王を倒した?」、「王宮の争いって、何処か攻めて来たのかしら?」
「奴隷? キク・カクタン国は奴隷が居るのか?」
皆が不思議に思っているのは仕方無いでしょう。
「ふむ、王が死ねば争いが起きる事はよくある事じゃ。」
「キク・カクタン国とやらは朧気にしか知らんが、確かキクとカクタンの双子神を崇める宗教国じゃったはず?」
「王が権力の全てを持っている国じゃったかのう?」、「よく覚えとらん。」とつぶやいた。
「しかし、王の死が知られて直ぐに争いが始まるのは異常じゃの!」
そう言うとカー爺は考え込んでしまった。
カー爺の言う通りだとすると王権はとても強そうだ。
でも王が死んだからと言って、1刻(2時間)もせずに争いが起こるだろうか?
例えば此処ミンストネル国の王が死んだとしても、重臣たちの話し合いや貴族の代表が集まるぐらいだろう。
争いは、その後の話し合いが決裂してからだと思う。
カー爺の言う宗教国でも同じだと思う。
だとすると、戦いは跡目争いでは無く反乱なのだろうか?
それともポリィーが言ったようなどこかが攻めて来たのかも?
王権が強いのなら反乱が起こっても不思議はないけど、それでも早すぎだと思う。
考えている所に母から更に詳しい状況が念話で来た。
『マーヤ、ここで良く分からない出来事が起きてるの』
『分からない出来事って?』母が混乱しているのは分かった。
『王の寝室から庭園を隔てた先に在る、5層の建物を巡って2つの勢力が争っているの』
『5層の建物は何のための建物かしら?』5層の建物って高いのかな?
『分からないけど、この国で一番高い建物だと思う』
母との念話をそのまま言葉として皆へ伝えた。
カー爺たちに念話の話を伝え終わると、ため息を付きながらカー爺が話し始めた。
「国一番の高さがある建物だと何らかの権威の象徴じゃろう。」
「其の建物を巡って争うならその中に継承に関わる重要な物が在るのじゃろう。」
「考えられるのは、元々あった派閥同士が王の死を切っ掛に後継者争いを始めたぐらいじゃな。」
「後継者候補の派閥は争っている2つだけとは思えんな、もっと多くの後継者候補と派閥が在りそうじゃな。」
考えを言った後、大きなため息を付いてぼそっと囁いた。
「何が在ったか推測するしかできんが、国の要を突いたんじゃろなぁ。」
「イスラーファ様も少しは加減してほしいもんじゃ。」
「海賊の元締めのような国じゃと聞いとるが、国を挙げての報復も考えられるのう。」
不穏な囁いた言葉を除いて、カー爺が言った言葉をそのまま母へ伝えた。
母は伝えた言葉に付いて考えていたのか、しばらくして返事が在った。
『ありがとう、しばらく様子を見る事にするわ』
『それから、マーヤと一緒にラーファの救助に来てくれたカークレイ様たちに”心配させてごめんなさい、感謝してます”って伝えてね』
念話を伝えると。
「教官が様子見だけで済むはずがありません」
ポリィーの言葉は其の通りだけど、その反応は無いんじゃないかなぁ。
「キク・カクタン国が無事じゃと良いがのう。」
どうやら母の心配よりキク・カクタン国を心配しているようです。
カー爺が嘆くのも分かりますが、母をいじめた国など滅んじゃえばいいのに!!
その時思った言葉はただの義憤から出た言葉でした。
ラーファはマーヤへあまり詳しい状況説明をしてませんでした。
未だ7才の娘に犯されそうになったなど話せることでは無いでしょうから。
ラーファのやらかしはこの程度では済まなかったのは未来の話です。
次回は、ラーファの話を織り交ぜながらオースへ行きます。




