1章「サーフェイス」
<あらすじ>
無意識下に憑依する能力によって、純白の髪をもつ少女、つぐもに憑依した癒川示杞という少年。その少女の身の危険を察知した示杞は、彼女を助け出す計画を実行する。けれど、思わぬところで、記憶を失った彼女と再会した。
示杞は記憶を取り戻すために仲間を作り、『PICM』という支払い、電話などの機能が搭載された、浮かぶパネルのような現代における必需品の情報を盗み出した。
仲間をまとめている森ノ千花によると、それがつぐもに危害を加えた敵、『略奪者』を打倒する鍵だという。
次、示杞が目を覚ますとき、一体どんな世界が広がっているだろうか?
<登場人物>
・癒川示杞
憑依する能力をもつ少年。
人見知りであるが故に、自己紹介のとき、憑依に使っていた語尾が出てしまい、南陽からは『ゴビ』と呼ばれるようになった。
・癒川莱夏
黒髪ロングの示杞の妹。
ダイエットのために、早朝に示杞とランニングするのが日課となっている。
・つぐも
腰まで伸びる純白の髪をもつ中学生ぐらいの少女。
彼女の体に憑依した示杞は、彼女の危険を察し、助け出すことを決意した。
桃李によると、彼女は今まで感情を失っていて、今それが戻りつつあるらしい。
・蓮元楓
茶髪のショートボブの示杞の幼馴染み。
マンションに一人で住んでいたつぐもの世話をしてくれている。
・植木桃李
黒い長髪の少年。中学生時代の示杞の親友。
『奪回者』の一員。
・名織南陽
示杞、楓の同級生。通称『ネーム魔』。あだ名をつける癖がある、外見はいたって普通の少年。
けれど、ところどころ常軌を逸しているような…………?
・紫倉綿
南陽に『ふともも』と名付けられてしまった(原因は示杞)ピンクベージュの髪をもつ女性。
今は示杞たちとともに行動している。
・紫倉しいら
赤髪ロングのつぐもと同じくらいの歳の少女。未だ謎が多い。
・森ノ千花
『奪回者』のリーダー的存在。
莱夏と同じ黒髪でも、圧倒的な風格で戦闘力もかなりのもの。
彼女は示杞たちに眩暈、激痛を味わわせたが、能力の詳細は不明。
・癖のある黒髪の女性
圧倒的な身体能力に加え、黒翼を生やすこともでき機動力に優れている。耐久力もまた計り知れない。
・炎をまとう赤髪の男性
示杞たちに敵対した男。
結局、自らの上層部に命令されることを拒み、攻撃するも失敗し、現在病院で療養中。
<語句>
・天の癇癪
昔起こった大規模な事件。
あらゆる場所で、原因もわからず多くの人が倒れていった。
・PICM
空中に浮かぶパネルのようなもの。
生活に関する様々な機能をもつ生活必需品。
どうやら、つぐもは所持していないらしい。
・隠然たる光輝
南陽の技。
壁を貫くほどの光線を放つ。