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絶望の使徒は心を求む  作者: MTU
第三章 学院交流
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ゼクス

 外套を纏った男はアレスとの交渉を経て、レンシア王国第一王女リーゼロッテを抱えながら拠点へと戻ってきた。

 拠点の中は最低限の薄明かりのみで不気味で暗い。奥の明かりは消し、何も見えない。

 男は大切な人質であるリーゼロッテを近くにあった縄で柱に縛り付ける。彼女が戦闘能力をほとんど持たない事は調べ済みのため警備はつけない。

 そうしていると、拠点へと数人の男と同様に外套を纏った者たちが戻ってきた。

 

「長、準備が完了いたしました」

「そうか」


 男は部下たちを労うことはない。

 

「して、こちらの警備はいかがしましょう」

「必要ない。最初に言ったとおりだ」

「かしこまりました」


 一人が恭しく頭を下げるともう一人が進言する。

 

「長、帝国騎士団が妙な動きを始めたと報告が」

「妙な動きだと」

「は、どうやら騎士団長であるラーヴェンが我々を疑っているとの情報が」

「その程度今更だ。必要事項だけ述べろ」

「騎士団の人員が昼夜問わず帝城に在中し出撃命令に備えているようです。その数百を超えると」

「平時にしては多い人数か」


 帝城に在中する騎士の数は多くて五十人程度、他は騎士団本部へと在中しいつでも動けるよう待機している。だが、報告によると帝城に在中している騎士の数が普段の倍、穏やかではない。

 

「だが、やることは変わらない。何もしなくていい」

「は」

「長、私からも報告が」


 次々と報告が上がってくるのを男は素早く捌いていく。


 そうしていると拠点奥から足音が聞こえだす。

 

「計画は順調か」

「ゼクス殿、順調です」

「そうか」


 ゼクスと呼ばれた人物もまた外套を纏い、姿を見ることは出来ない。

 長と対等に話す唯一の人物、部下たちはゼクスが計画の協力者と言うことしか聞いていない。ただ、『魔人』や『ヒュドラ』、そしてあの死戦場の終盤に投入した“切り札”の開発に“協力”した人物であり信用はあった。

 

「調整は済ませている。後は好きにしろ。私は言ったとおり傍観している」

「協力感謝します」

「我が主もお前たちの計画の成功を願っている。励め」


 それだけ言い残し、ゼクスはこの場を後にするのだった。


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