闇の中であなたの声を待つ
一体どれだけの時が経ったのだろう。
いや、私は覚えている。
主様のためにこの闇に閉じこもって千百五十五日と四時間十二分、六秒、主様と離れてからの時間を考えれば簡単にわかる事だった。
長い年月、一人ぼっちで鎖に繋がれ封印されていた時よりも、主様に会えない今の方がとても長く感じる。
ああ、会いたい。
……だめ
そんなこと考えてはだめ
あの辛い場所を思い出させてしまう私はまだ主様のお傍にいることは許されない。
でも、やはり会いたいと思ってしまう。
主様の笑みを見ると私も自然と笑ってしまう。
主様が怒ると私は激怒してしまう。
主様が悲しむと私は主様に寄り添ってあげたくなる。
どんな表情の主様も素敵だった。
だけど、最後に見た表情は胸が苦しくなった。
あの澄み切った虚無の瞳、あれを思い出すと今でも胸が苦しくなる。
どうして私はあの時、何もできなかったのか。
そう後悔してしまう。
私には力があったのに、私はずっと主様のお傍にいたのに、私は主様の感情のままに、あの激情のままに力を差し出してしまった。
ああ、なんて私は罪なんだろう。
そう思わずにはいられない。
でも、それでも私の胸の内に秘めるこの感情は抑えられそうにない。
今すぐ出て行きたい。
出て行って、主様に抱き着きたい。香りを楽しみたい。
そもそも、悪いのは主様だ。
私がこの場所から主様の様子を見られないと思ってるのだろうか。
なんだあの木の棒は、主様に握られるのは私だけなのに
どうして私に頼らないで、あの女を呼ぶのですか!
私はこんなにも主様を想ってるのに!あの女なんかより先に私が出会ったのに!
しかも、あの女の力を取り込むだけに飽き足らず、あの剣まで使うなんて、むむむ
許せない。絶対に許せない。
私という存在がありながら、こうも浮気ばかりされるなんて許せるわけない。
ここから出たら絶対文句を言わないと、一度、私と主様の関係についてじっくり話し合わないと
ああ、やっぱり会いたい。
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい
会いたくて、会いたくてたまらない。
ああ、愛しい主様、どうして私を呼んでくださらないの。
たった一言、私の名を呼んでくださるだけでいいのに…………
はぁ……
今日も今日とて、主様の様子を見るしかない。
今日の主様は剣を持って駆け回っている。
また浮気を……
それにしても、ここ最近の主様は事件に巻き込まれすぎだと思う。
そういう星の下に生まれたのは知っているけど、もう少し主様を休ませてあげて欲しい。あの神は一体何やっているんだか。
「はぁ、今回もどうせ主様は呼んでくださらない……」
私は主様の活躍を目に焼き付ける。
主様の剣が折れた。
そんな貧弱ななまくらを使うからすぐに折れるんです。私を使ってくださればこのようなことにならないのに
そう進言したくても、私の声は主様に聞こえない。
どうせまた、あの女を呼び出すんだ。私を忘れて
―――来い■■
その声は、確かに私の耳に届いた。
どれだけこの時を待ち望んだことか、私ははやる気持ちを抑えきれず、感情のままに力を放つ。
ぁぁ、やっと私の名を呼んでくださった。
今参ります。主様
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