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プロローグ〜俺の青春は始まろうとしていた〜

 俺の名前は水瀬弦太、高校2年生。どこにでもいるような普通のモブキャラだ。そんな俺には、密かに恋心を抱く人がいる。


 結城冴夏先輩。文武両道、誰もが認める学園一の美少女。本当に、綺麗な人なんだ。


 分かっている。彼女みたいな完璧超人が俺なんかに振り向いてくれる訳ないって。だけど、期待してしまう。まるでラノベのように、無条件で俺のことを好きになってくれるって……。


 そう、なんとそれが叶ったのだ!

 なんと、下駄箱の中に結城先輩からのラブレターが入っているではないか!


『水瀬弦太さんへ 話があります。放課後、体育館裏まで来て下さい 結城冴夏より』


 ハートだよ!? ハートのシールが貼ってあるんだよ!? きた、俺のハッピースクールライフ……!待ってろリア充……


 そんな夢のようなことを思っていた時期が、俺にもありました。


「おかえり、弦太くん!」


 結城先輩は、今日も花が咲くような笑顔で俺を迎えてくれる。


 初恋の先輩が、父さんの再婚相手だって、マジかよ……。


 初恋の先輩が父さんの再婚相手になってから始まる青春ラブコメ!

 ため息が出るくらい、綺麗なんだ。


 可愛い子なんてたくさんいるけど、そういうのとは比較にもならない程、結城先輩は美しい。

 黒色のさらさらロングヘアー、日焼けを知らない白磁のような肌、大きく見開かれた瞳、高く尖った鼻、ピンク色の唇、Fはあるかと思われる豊満な胸。花が咲くような笑顔。全てが一級品。

 手足は長くて細くて、驚くほどスタイルがいい。身長は165センチ。

 しかも、ただ外面がいいだけじゃない。


 テストは毎回学年一位という秀才で、体力テストの成績は学年女子トップを誇る、完璧超人。

 誰にでも優しくて気を使えて、けして自分の高い能力を驕ることはない。生徒からはもちろん、教師方からの信頼も厚い。


 そんな、誰もが認める学園一の美少女、結城冴夏先輩。

 俺が彼女を綺麗と言うのは、顔が可愛いだけじゃなくて、性格も綺麗で努力家だからだ。


 実は結城先輩、元々は勉強が苦手だったらしい。

 しかし、皆がゲームをしたりして遊んでいる時に、彼女は勉強を人一倍頑張っていた。たゆまぬ努力の結果、結城先輩は数学で全国模試三位を取るまでに登りつめたのだ。

 そんな話を聞いて、俺は心を打たれた。

 なんて、素敵な人なんだろう……。


 他にも、勉強が苦手な子に、熱心に勉強を教えてあげたり、誰もやりたがらない雑用を進んで取り組んだり。

 いつだったかは、覚えていない。気づいたら、俺は結城先輩に恋していた。

 誰よりも美しくて輝いている結城先輩に、惹かれたんだ。


 でも、これが叶わない恋だとは知っている。結城先輩は浮いた話を一切聞かないが、俺みたいなモブを好きになる訳がない。そんな、ラブコメみたいに現実は甘くない。

 キラキラした、優しいイケメンじゃないと釣り合わない。

 ああ、俺ももうちょっとかっこよかったらなぁ……。


「ちょっと弦太、あんた何ぼーっとしてんのよ」

「……っ、悪い。ちょっと眠くてな……」

 

 クラスで一番と言われるほどの美貌を持ち、幼馴染である甲斐野咲菜が俺のおでこを容赦なく小突く。


 改めて見ると、本当に可愛いよな……。 

 クール、凛々しいという言葉が似合う結城先輩とは違い、咲菜は可愛い、キュートって感じの美少女だ。


 肩まで伸ばした栗色の髪に、とろんとした瞳。

 そして何より魅力的なのはその、男を一瞬で悩殺しそうな、上下に揺れる大きな胸。本職グラドル顔負けのそれは「世界一」「挟んでもらいたい……」と言われている。

 

 当然モテる。彼女と幼馴染の関係の俺は、クラスの男子から嫉妬じみた視線で睨まれる。俺も彼らと同じ立場だったら絶対に羨ましいって思うだろうなぁ。


「弦太、見て。クラス、また同じよ……」

「本当だ。これで小学一年生から高校ニ年生まで、十一年連続だな……。ここまで来ると偶然とは思えなくなるな」

「それは無理ね。必然的にあんたと同じクラスになるなんて、考えただけで吐き気がするわ」

「さすがに言い過ぎだろ……」


 相変わらず俺への毒舌は絶好調だった。

 こいつ、八方美人なくせに、俺にだけ口が悪いのだ。

 ほんと、勘弁してくれませんかねぇ……。


 心の中で毒づいていると、咲菜が俺の肩にそっと触れてきた。

 いつもは殺されるんじゃないかっていうくらいの強い力で叩いてくるので、不思議に思って横を向く。

 物凄い勢いで罵倒されるかもと思ったが、咲菜の口から出てきた言葉はなんてことない台詞で。


「……今年も、よろしく……」 


「ふっ……」

 咲菜は頬をほんのり赤く染め、唇をぎゅっと噛み締めて俯いている。

 その姿があまりにも可愛くて、俺は小さく笑った。

 すると、顔をさらに真っ赤にして怒り出した。


「な、なに笑ってんのよバカにしてるの!? あっ、べ、別に変な意味はないわよ! ただ、今年もよろしくってそれだけだから! 他意なんてないから!」

「このツンデレお嬢様……」

「誰かツンデレよ! この変態野郎」

「何この子めっちゃ可愛いんだけど」

「かっ、可愛いってあんたねぇ……っ!」

 

 うわ、デレてる。貴重。

 自分でツンデレって言ってるようなもんだよこれ。


 バカって言いたいのはこっちだよ。咲菜、普段から俺にもこんなに可愛くしろよ。

 って、そんなことはさすがに言えないけど。


「こちらこそよろしく」


 かわりに、そう言ってやった。


「え、ええそうね……。ありがとう……」

「?」

 

 別にお礼を言われるようなことはしていないのだが。こちらこそって言っただけだし。まぁいいか。

 咲菜が嬉しそうな顔をしていたら、それだけでいい。


 すると、咲菜が手元の時計を見て叫んだ。


「って、遅刻! 早く行くわよ、遅刻するわよっ!」

「そうだな、行くか」


 慌てた様子の咲菜に続き、俺も教室へと向かう。

 二年生初日から遅刻なんて情けないからな。

 こうして、高校生活ニ年目は始まった。いつもと同じように。


 でも、この時は知る由もなかったんだ。

 明日、俺の人生が大きく変わるっていうことに……。 


注 これは作者の欲望を詰め合わせただけのラブコメです

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