表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/44

第043話 回避盾と新しい都市とともに

「ピティ! 俺と同時に攻撃するぞ!」

「分かったわ!」


 ピティと俺が馬の巨像に同時に攻撃を仕掛けた。

 と、同時、牛の巨像は俺の前に飛び込み、盾を構えた。

 俺の斬撃は弾かれたが、ピティの攻撃は馬の巨像に攻撃が通った。

 

「コトハちゃん、全員の攻撃力アップの補助を!」

「はい!」

「サッシャ、例のあれいけるか?」

「やってみるわ」


 サッシャはポイズンダガーを構えた。


「ポイズンダガー! アタッチメント≪運命の糸≫!」


 サッシャがポイズンダガーを投げる。

 それと同時に、俺は牛の巨像に攻撃をし続ける。

 本来なら二体とも俺が注意を引き付けたいが、今は牛のほうを動けないように攻撃し続けるほうが優先だ。

 馬の巨像の右肩にポイズンダガーが刺さる。それと同時にサッシャの身体が引っ張られるように宙に浮く。

 ダガーの柄の部分に≪運命の糸≫が結び付けられており、サッシャはその糸を介して、ある程度自由に動けるようになった。


「この糸は容易に切れないわよ!」


 宙に飛び上がったサッシャは相手の左肩にダガーを投げると先ほどと同じように宙を移動する。

 その勢いのまま相手の背中に回ると背中をけって右肩に戻った。


「捕縛!」


 糸をぐっと引っ張ると馬の巨像が腕がぐっと自らの身体に引き寄せられて両腕が動かなくなる。


「いまだ、ピティ! コトハちゃん! こいつを倒せ!」

「行くよ! トールハンマー!」

「行きます! ジャッジメントパニッシャー!!」


 俺の連撃を防御し続け動けないでいる牛の巨像に向かって、2人が同時に攻撃を仕掛けた。

 盾の持っていない方向からの同時攻撃。これには牛も耐え切れず、轟音とともに、崩れ落ちた。


「うおおおおぉぉぉぉぉ!」

「きゃあ!」


 その瞬間、馬の巨像が唸り声を上げて、縛られている糸を引きちぎった。

 サッシャはその勢いに地面に飛ばされた。


「サッシャ、大丈夫か!」

「大丈夫、それより!」

「あぁ」


 身を震わせて糸を振りほどいた馬の巨像が倒れている牛の巨像の傍まで行くと、地面に落ちていた盾を拾い上げた。


「おい、マジかよ」

「我はゲートキーパー。

 新たな都市へと向かう妖精の雛を選別する者。

 剣と盾を持ち更なる資格を示せ!」


 ゲートキーパーは剣を振り下ろした。

 俺はそれを避け、斬りつける。

 が、その瞬間、盾を構え、俺の攻撃を弾いた。


「なっ、ブロッキングか!」


 盾を主とするジョブスキルのブロッキング。

 敵モンスターが攻撃するとは思わなかった。


「なら、二刀乱舞――星屑龍星!」


 ブロッキングで生じた隙を消すように、乱舞スキルを繰り出す。

 乱舞発動の一撃目、が、ゲートキーパーはそれを初段でまた弾く。

 短剣を上に弾かれ、大きく隙を見せた。

 この隙は消せない。

 馬の顔をしたゲートキーパーは俺のそのすきを見て口を大きく開いた。


「こいつ!」


 笑いやがった。

 ゲートキーパーは剣を横に構えた。

 いつものような大振りの攻撃じゃない。


(主! 我を呼び出せ!)

「はぎ! 頼んだ」

「任せろ!」


 ゲートキーパーが剣を振り抜くと同時に、はぎが目の前に現れ、敵の剣をいなす。

 が、敵の攻撃はまだ終わらない。


「これは、剣の乱舞スキル――」


 長剣の乱舞スキル≪スターライトブレイザー≫。

 横になぐような剣閃から始まり、閃光とともに幾重にも剣撃を繰り出す。

 はぎが剣をいなしたと同時に俺の硬直が解除される。


 乱舞構築が初期構築なら、この技の構成は覚えている。

 流れるように剣は上から振り下ろされる。

 それを短剣でいなす。

 が、それも一瞬、ゲートキーパーは一歩踏み込んで剣を振り上げる。

 閃光とともに幾重にも剣が走る。

 それをいなしていく。


 剣と剣が触れ合うところに火花のよう戦闘が一瞬煌めく。

 キンキンッと音がし、そのたび大剣が空を切る音がする。


「おじさん……」


 コトハちゃんが心配そうな声でつぶやく。

 振り回される剣はまるで結界のように剣圧をばらまき、その剣筋を見切れない他のメンバーはうかつに踏み出せないでいた。


 それでいい。

 今うかつに手を出されると守れる自信がない。


「はぎ! 今だ!」

「領域展開! 土蜘蛛の吐糸(といと)!」


 スターライトブレイザーの最後の一撃をいなしたと同時、はぎが範囲攻撃の領域を展開する。


「ワシの糸は鉄をも断つ。

 その身に刻め!」


 蜘蛛の糸がはぎを中心に広がり、まわりの石柱を切り倒していく。


「うおおおおぉぉぉ!」


 咆哮を上げた瞬間、ゲートキーパーは盾に身を隠した。


「ダメージカウンター 暴虐の乱風!」


 ゲートキーパーから低い声が響き、彼を中心に風が吹き荒れる。


「こやつ、ワシの糸を!」


 吹き荒れた風は糸を吹き飛ばし、同時に周りをなぎ倒していく。

 中心近くにいたはぎは弾き飛ばされた。

 その風は留まることなく、俺に向かう。


「≪幸運のケットシー≫!」

 ≪幸運のケットシー≫を使い、同時に≪泥の英雄≫を発動させる。

 戦闘中1度だけ行える、完全防御。


 俺は無事だったが、周りはそうもいかなかった。

 離れて見ていたコトハちゃんたちも≪暴虐の乱風≫に巻き込まれ、一気に体力が減っていく。


「コトハちゃん、みんなの回復を!」

「おじさんは!?」

「俺はここで決める!」


 一歩踏み出し、≪泥の短剣≫で斬りつける。


「ぐおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!」


 カウンター直後の硬直でまだ盾を構えられていないゲートキーパーに≪泥の短剣≫で斬るつける。

 初めてまともなダメージを与えられた。


 ゲートキーパーが咆哮とともに大きくのけぞる。


 今しかない。


 ありったけの攻撃をその瞬間に叩きこむ。

 相手の体力のゲージがどんどん減っていき、三分の一を下回ったとき、ゲージが赤くなるのと同時、ゲートキーパーは大きく剣を地面に叩きつけた。

 大きく地面が揺れ、立っていられず地面に膝をつく。

 俺が膝をついたその瞬間、ゲートキーパーの巨体が宙を飛んだ。


「こいつ、発狂持ちか!」


 発狂。

 体力を一定以下まで減らすと特殊な動きを始める。

 その動きは様々だが、一様に言えることはその瞬間から攻撃と防御が大きく跳ねあがり、熾烈を極めるということだ。


 剣と盾を投げ捨て飛び上がったゲートキーパーは俺に向かって拳を振り下ろした。

 慌てて立ち上がると、後ろに大きく飛び下がりそれを避けた。

 と、同時に地面が大きく揺れ俺はまたよろけて地面に手をついた。


 これは厄介だ。

 よろけた俺の上から踏みつけるようにゲートキーパーが降りてくる。

 それを寸でで飛び退き、飛び様にゲートキーパーを斬りつける。

 これでのけぞれば、一気に攻め込む。


 そう期待したが、ゲートキーパーはダメージを受けながらもまた飛び上がった。


「アーマー状態かよ!」


 普段ならダメージを与えればのけぞりのアクションを取るはずが、相手は一切その隙を見せない。


「ミヤコ、私が何とかするわ!」


 サッシャがそう叫んだ。

 すぐに、彼女が何をやる気なのか分かった。


「はぎ、サッシャを手伝え!」

「心得た」

「じゃあ、俺は……≪挑発≫!!!」


 他のメンバーに飛び込まれないように俺だけを狙わせる。

 飛び上がり、飛び降り際を狙ってもアーマー状態でこの踏みつけを解除することはできない。のけぞりもないので、ダメージもあまり期待できない。


 幸運なのはこの揺れにダメージ判定がないことだ。

 あったのなら、最初の揺れで俺は死んでいたかもしれない。


 ゲートキーパーが飛び降りるのに合わせて、サッシャとはぎが攻撃をする。

 2人の攻撃にびくともせず、再び飛び上がろうとした瞬間、何かに引っかかってゲートキーパーは飛び上がることができなかった。


「今よ!」

「今じゃ!」


 目を凝らせば分かるほどの細い糸。

 ケットシーから貰った≪運命の糸≫とはぎの蜘蛛の糸。それらが、ゲートキーパーの周りを縛り上げていた。


「盾を捨てたのが失敗だったな!」


 俺は≪泥の短剣≫を握りなおすとゲートキーパーの懐に飛び込んだ。


「二刀乱舞――星屑龍星!!!!」


 アーマー状態であったが、乱撃が全段ヒットして、残りわずかであったゲートキーパーの体力は瞬くもなくゼロとなった。


「妖精を目指す者たちよ。

 お前たちはその資格を示した。

 進め、新たな都市へ」


 ゲートキーパーはそういうと、崩れ落ちた。


「終わった……んだよな」

「うむ。完勝じゃ!」

「嘘つけ、ギリギリだったぞ」

「おじさん、凄いです!」

「やったわね。ミヤコ」

「どうなることかと思ったよ」


 みんなが代わる代わる俺に声をかけた。


 巨像が崩れ落ちると、閉まっていた巨大な扉がゆっくりと開いた。


「これが次の都市への道」

「っても、まだ新しい都市は誰もいけてないんだよな」

「うん。なら、私たちが一番乗りしようよ」

「悪くないわね」


 ピティの言葉にサッシャが同意した。


「そう、上手く行けるもんかね」

「おじさんなら、大丈夫です」


 簡単に言ってくれる。

 俺たちはその扉をくぐり、新しい都市への道を進んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ