第040話 運営は秘密とともに
「うーん、初期段階とは言え、このプレイヤーは本当にトリックスターと言っても過言ではないね」
電子空間の中で特徴のない全身白のヒト型が宙に浮く何枚ものモニターを眺めそうつぶやいた。
「シロはそういうが、我としてはヒトの特異点はこの少女だろう」
白い人型をシロと読んだのは同じく特徴のないヒト型をした全身青色のアバターだった。
その目の前に映し出されたモニターにはコトハの姿があった。
「アオ。私としては幸運という推し量れないものでヒトを測りたくないのだよ。
そういう意味でも、このミヤコというプレイヤーは我々の最終成果物となりえる存在だと確信しているよ」
そのモニターに重ねるようにシロはミヤコが映ったモニターを投げてよこした。
電脳。
その概念からVRMMOへとつながる歴史は2000年代初頭から始まった。
とある州立大学の人工海馬から始まり脳という存在をどう外部へ切り出すかの研究は盛んにおこなわれた。
その結果、ブレイン・ネット・インターフェースという概念が日本のとある大学研究室から生まれた。
もっとも、まだ電脳へと続く道は遠いが、その過程で生まれたフルダイブ型ヴァーチャルシミュレーターはすでに一般家庭に普及するまで技術が進歩した。
官公庁も遅まきながら電磁文化庁というのを立ち上げ、電脳という言葉は決して夢物語とはならなくなった。
「休んでいるアカとクロを呼んでくれ。
Ver.2.00の正式リリースだ。これからもっと忙しくなるよ」
「我の休日はいつとれるものかのう……」
「そう愚痴るな。Ver.2.00がリリースすればひと段落するさ」
シロは宙に浮かぶメインモニターを観ながら1人にやりと笑った。




