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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
39/44

第039話 サッシャとピティは観戦とともに

「悔しい!!」


 格闘都市ザンの敗退者の待機場所でサッシャとピティがバトルロワイヤルを見ながら言葉を漏らした。


「サッシャ、いい線いってたのにね」

「投擲は小回りがきかないのよね。

 被弾覚悟で懐に飛び込まれたらなすすべがなかったわ。

 まぁ、そいつは私の猛毒でめでたくすぐに倒されたけどね!」

「私は、逆に遠距離で攻められて手が出せなかったのよね」


 2人で共有の画面を開きながらコトハとミヤコの動きを観戦する。


 ちょうど、その時、残りが10人になったというアナウンスが流れた。


「もうちょっと粘れば上位10人に入ったのね」

「悔しいね」


 敗退者待機場所は巨大モニターがあり激しい戦闘があった個所を優先的に映してくれる。

 この待機場所は別に留まる必要がないのだが、酒場やホテルにあるモニターよりもはるかに巨大なものなので、ここにとどまるものの方が多い。


「あとは残っているのはミヤコとコトハちゃんね。

 ピティはどっちが勝ってほしい?」

「私的にはコトハちゃんだけど……ミヤコが負けるところって想像できないんだよね」

「ミヤコが負けるところねぇ。

 私にも無理だわ。あいつこっちが必死になって攻撃していくのを軽々と避けるんだから」

「だよね。

 特に私はハンマーだからミヤコに当たる気がしないんだよ」


 訓練ということで、ミヤコと何度か戦ったことがある2人は負けたことを思い出してどんよりとした。


「まぁ、負けちゃったし。あとはきっちり応援よ!」


 サッシャがそう言った瞬間、歓声が上がった。

 2人がメインモニターを見ると、ミヤコと見知らぬ2人がちょうど戦うところだった。


「リタ・ウィロウと釈迦力丸に乱入したバカがいるぞ!」

「おいおい、せっかくの勝負に水を差すのかよ!」


 野次のような言葉をきくところ、浴衣のような恰好をした男が釈迦力丸で白銀の鎧を着たのがリタというプレイヤーらしい。

 そういえば、リタのほうはグランドバトルのリプレイの時に見たことがある。


「ふん。何よ、ミヤコの方が強いに決まってんでしょ」


 周りの野次にサッシャが面白くなさそうにつぶやいた。


「なになに? もしかして、ミヤコはんの関係者?」


 赤い鎧を着た女性と桃色の髪の女性がサッシャとピティの傍に歩いてきた。


「えーっと、あなたは?」

「はじめまして。うちはハクロ。んで」

「私はミラという。よろしく頼む」

「私はサッシャよ」

「ピティよ。よろしくね」

「ミヤコはんはどんな感じなん?」

「ちょうど、メインモニターに映し出されたところよ」


 周りの声を聴く限りではミヤコの乱入は好ましく思われていないようだ。

 彼らにとって釈迦力丸とリタのカードは好カードでそこに名もないプレイヤーが乱入してきたことが癪に障ったようだ。


「はっはっは、外野は言わせておけばいいぞ。

 ミヤコと戦った私からしたらあいつは優勝の筆頭候補だからな」

「やっぱり、ミヤコは強いよね」


 ミラの言葉にピティが同意した。


「というか、強いという範疇を超えているな。

 私の自動カウンターの発動前に行動するなんぞ相当なプレイヤースキルだぞ」

「そんなに?」

「気になるなら見てみるといいぞ」


 そういって、ミラはウィンドウを出すとピティとサッシャに見せた。


「これは?」

「ここの待機場所だけで見られる一人称モニターだ。

 これで、ミヤコが実際に見ている視界と同じものが見える」

「凄い……」


 その映像を見てピティが言葉を漏らした。

 メインモニターではミヤコとリタ、そして釈迦力丸が打ちあっている。

 これがミヤコ視点で見ると一瞬画面に線が走るだけで、その線が幾重にも眼前を埋め尽くしている。

 それだけでない。

 場面が即座に斬りかかるように高速で風景が動く。


「あまり見続けると酔うぞ」


 そういうと、ミラはウィンドウを閉じた。


「この速度で全攻撃を読んでいる。

 ほら、見てみろ」


 そういってメインモニターを指さした。

 ちょうど、ミヤコが釈迦力丸とリタの攻撃をすべて避けているところだった。


 先ほどまでヤジを飛ばしていた観戦者も釈迦力丸とリタの斬撃をことごとく避けるその姿にくぎ付けになっていた。


「マジかよ……」

「チートか?」

「何かのスキル?」


 漏れる言葉は驚きの言葉しかない。

 メインモニタ越しでも追いきれないほどの斬撃だ。


「ミヤコはん、≪影分身≫出して捌いとる。

 なんやねん、それ……」

「≪影分身≫ってそんなにすごいの?」

「いや、≪影分身≫自体はそんなにすごないねん。

 ≪影分身≫をあそこまで操っているのが凄いねん」

「そうなの?」


 サッシャがピティに不思議そうに視線を向けるが、ピティも分かっていないようで静かに首を振った。


「動けるといっても≪影分身≫って単純な動きくらいやで。

 あそこまで本物そっくりに動かせるんっていうのはやな……例えば両手両足を使って4人でじゃんけんし続けるくらいの難しさやな」

「両足って」

「いや、実際そんなもんやで。

 足ってじゃんけんって動かしにくいやろ?

 ≪影分身≫も本体とちゃうからなかなり動かしにくいはずなんやけど」

「はっはっは、普通は無理だな」


 そうこうしているうちに、ミヤコは釈迦力丸とリタを斬り伏せていた。

 それを見た観戦者たちは先ほどまでの野次はどこへやら盛大な歓声を上げた。


「やっぱ、勝ったんか。

 こりゃ、間違いなくミヤコはんの優勝やな」

「そんなことないかもですよ。

 ねぇ、サッシャ」

「そうね。なんたってあのコトハちゃんなんだし」


 ピティとサッシャの言葉にミラとハクロは不思議そうな顔をした。


 釈迦力丸とリタを倒したミヤコはすぐにコトハと立ち会った。


 名も知らない者同士の対戦となったが、幾人かがコトハちゃんを見て「うわぁ」と声を上げていた。


「あの子……麻痺の……」

「やばっ、鈍足結界の女の子だ……」


 どうも、観戦者の何人かが彼女を知っているようだった。

 メインモニタはすでに最後の2人を映している。


『そんな、大したことしてませんよ。

 モンスターと同じで麻痺と鈍足結界で動けなくした相手を1人ずつプチっ、プチっと』



 彼女たちの会話がメインモニターを伝い流れてくる。


「うわぁ、もしかして、コトハちゃん、≪ジャッジメントパニッシャー≫で潰していったの?」

「よくやるわね」

「なんなん? どういうことなん?」

「コトハちゃんのメインアタックって、≪ジャッジメントパニッシャー≫なんですよ」


 不思議そうなハクロにピティが説明した。


「≪ジャッジメントパニッシャー≫ってロマン技ちゃうの?」

「だな。私の知る限りではあれを主力に使ったやつは見たことがないぞ」

「それはですね――」


 ピティが説明しようとした瞬間、周りが驚愕の声を上げた。


「なにあれ!」

「バグ?」


 メインモニターに移るジャッジメントパニッシャーの構えをとった姿が映っていた。

 その周りの声をピティもサッシャも知っていた。


「≪ジャッジメントパニッシャー≫は攻撃スキルと移動スキルに反応して構えがとけるとのことですが、どうやら補助魔法やアイテム使用は構え解除の対象外らしいです」

「それは、本当か!?」

「なんやそれ! はじめて聞いたで」

「それもなんだ!? 鈍足結界の範囲が広すぎるぞ」

「近づいたら鈍足結界、離れたら麻痺ってなんやねんあれ!」

「だが、さすが、ミヤコだな」

「そやね。あれを躱している。

 これじゃあ、時間の問題かもしれへんな」

「ミヤコちゃんはそんな甘くないですよ」


 コトハの咆哮とともに三聖女が召喚された。


「あれって、伝説の三聖女!? どういうことなん?」

「こんなやつがミヤコの他にいるとは……」


 ハクロとミラがこぶしを握り締めてメインモニターを睨みつける。

 三聖女とミヤコその戦いにハクロとミラは感嘆しっぱなしだった。


「白熱していますね」

「某たちも入ってもいいか?」


 目をやるとそこにはミヤコに負けてここに戻ってきたリタと釈迦力丸がいた。

 リタはサッシャとピティに視線をやると頭を下げた。


「初めまして。私はリタ・ウィロウ」

「某は釈迦力丸でござる」

「初めまして。私はピティです」

「私はサッシャよ」

「この2人、ミヤコはんの知り合いなんやって?」

「あと、あの少女とも知り合いらしいぞ」


 リタはメインモニターを見て小さくため息をついた。


「我々攻略組はそこそこ強いと思っていましたが。

 あの2人は別格ですね」


 攻め続ける三聖女とそれを避けるミヤコ。

 その場にいる全員が、2人のスキル構成を推測していた。


「でや。

 正直なところ、ミヤコってあの人なん?」


 ハクロが唐突に切り出した。


「某もそれが気になるでござるな」

「ハクロ、またその話題なのですか?」


 リタとハクロの会話から察するに、ミヤコの正体について何やら話したことがあるみたいだった。


「はっはっは、私はベータテストに参加していなかったからな。

 まぁ、噂は聞くが」

「私もですよ。ここでベータからやっているのは、ハクロと釈迦力丸さんくらいですわ」

「私もベータはしたことないのよね。

 ピティはベータからやってるんでしょ?」


 サッシャがそう続く。

「ま、まぁ」

「ってことは、ミヤコがあの人かどうかって知っているん?」

「はい。

 ベータ時代の回避盾の伝説その人です」

「ほんまに! うちめっちゃファンやったんよ!」

「本当でござるか。

 某も話を聞きたいでござる」

「ミヤコって本当に有名なのね」

「サッシャはん、知らんの!?

 ベータ時代では今ほどバランスが良くてなくてな忘却洞窟のアースドラゴンなんて石化付きの爪で攻撃してくるからホント苦労したんよ?」

「いや、ベルゲル湿地のリーザゲイルも大概でござったぞ」


 ハクロと釈迦力丸が当時の最難易度モンスターの思い出を語る。


「ピティはそういうのないの?」

「私は……そこまで上手くなかったからミヤコの攻略を眺めてるだけで楽しかったです」


 ピティが恥ずかしそうに当時を思い出した。


「と、まぁ、当時の高難易度ダンジョンをソロ最速クリアで攻略情報を上げていたのがミヤコはんなんよ」

「その名前も見なくなったからさみしかったでござるが、名前を変えてやっていたのでござるな」


 釈迦力丸は憧れのまなざしをメインモニターに向けた。



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