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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
28/44

第028話 回避盾は洞窟寺院とともに

「ぷはーっ!!!」

「結構潜れるようになったな」


 水面から顔を出して濡れた髪を掻き揚げた。

 互いの潜水スキルが5を超えたあたりから、格段と潜れる時間が延びた。


 目の前の泉は広さほど小さかったが、深さはかなりあった。

 どうやら、小さな泉は地下でつながっているようで、横穴はずっと奥につながっていた。


「やっと≪潜水Ⅸ≫か。アクティブ系のスキルレベルの最大が20だからまだまだだね」



 スキルは大きく分けて3つある

 1つはパッシブスキル。

 俺の≪紙の命≫やコトハちゃんの≪アイドルなスター≫のように常時影響するスキル。

 2つ目はアクションスキル。

 これは主に戦闘スキルがメインで俺の≪星屑龍星≫や≪影分身≫がそれにあたる。

 最後はアクティブスキル。

 これは主に行動や生産系が対象となる。

 俺の≪泥泳≫やピティの≪鍛冶≫がこれにあたる。


「もうちょっと、上げたいね」

「じゃあ、もう少し潜るか」

「うん」


 ピティと同時に水の中に潜る。

 

 水の中に顔をつけると、周りの音が一気に遠くなる。

 澄んだ水と身体を包む冷たい水。

 ピティの長い髪が重力から解放され、水の中に漂う。


 身体の力を抜くと、ゆっくりと身体が水の底に沈んでいく。

 沈めば沈むほど、水の冷たさが増していく。


 水中でピティと目があった。

 彼女も俺の視線に気づいたようで、にこりと微笑んだ。


 ゆっくり沈む彼女はまるで空を漂うようにリラックスしている。

 水面から差す光が柱のように彼女を照らす。


 ピティが水底のほうを指さした。

 ほの暗い水の底に、古びた木の箱があった。



 From ピティ

 宝箱かな?


 ピティからメッセージが来た。

 確かに、彼女の言う通り、宝箱のように見える。

 俺が下のほうに指さすと、ピティはこくりと頷き、下に潜っていった。


 俺もその後を追う。


 水底に辿りつくと、木の箱を持ち上げようとしたが、どうやら、この箱は鎖につながれていた。


 トラップが怖いが開けるか。

 俺が木の箱に手をかけようとしたら、ピティが俺の手を止めた。

 ピティの方を見ると、首を横に振って手を自分の胸に当てた。


 どうやら、彼女が箱を開けたいらしい。

 彼女がそういうなら、と、俺は開けるのを譲った。


 ピティが木の箱を開けると中には手のひらサイズの鍵のみが入っていた。

 俺は水面を指さした。

 いったん、地上に上がって考えたい。


 ピティも俺の気持ちが分かったようで頷くと鍵を握りしめ、水面に向かって泳いだ。


「ふぅ……」


 水面に顔を出すと大きく息を吐いた。


「ミヤコ、ごめんね。宝箱開けさせてもらって」

「いや、いいさ。

 ちなみに、なんで開けたかったんだ?」

「もし、トラップだったりしたら、ミヤコじゃ即死かなって。

 その分、私はVIT(体力)DEX(器用)もそこそこあるからね」


 どうやら、心配してくれたらしい。


「これ、どこの鍵だと思う?」

「そうだな。沈められたってことは隠されていたのかな。

 ここらへんに怪しいところなんてあったか?」

「歩いてきたけどそんなところなかったよね……あっ!」

「俺も思いついた」

「横穴! 泉の横穴よね」

「だな。さっきの潜水でスキルレベルがⅩに上がったぞ。

 おっ、エクストラスキル?」

「あっ、私もだ」


 スキル:水中会話

 取得条件:≪潜水Ⅹ≫を達成


「パッシブ系か。いちいちメッセージを飛ばさないのは楽だな」

「エクストラスキルってもっと派手なの想像してたよぉ」

「まぁ、冒険には十分役に立つ

 さぁ、行ってみるか」

「うん」


 ピティと俺はもう一度水中に沈むと魚が逃げていった横穴に入っていった。

 横穴は人が1人入ってもまだ余裕がある広さだった。


 穴の奥に行けば行くほど、光が届かなくなり辺りは暗闇に染まっていく。


「ミヤコ、私、明かりなんて持ってないよ」

「俺もだ。

 これは出直しか――」


 ピティが近くまで来ると、俺の手をぎゅっと握った。


「怖いか?」

「大丈夫」


 しばらく、暗闇の中を泳いでいると先のほうが淡く光っていた。


「とりあえず、あそこまで行くか」

「うん」


 泳いでいくと急に光の場所は泉のそこのような場所だった。

 光の正体は水中に光る花が原因のようで、岩壁を埋め尽くすように咲いていた。


「あっ、私の釣竿」

「よかった。ここに持ってきたのか。

 あの魚は……いないようだな」

「みてみて、上に続いてる」

「水面に出れればラッキーだし行ってみるか」

「うん」


 そのまま上に泳いでいくと、予想通り水面に出た。


「ふぅ……水から出られてよかった。

 潜水スキルのレベルがもうちょっと低かったらここまでたどり着けなかったな」

「ミヤコ、これって」

「あぁ、隠しダンジョンのようだな」


 水から上がるとすぐ前には、岩を直接削って作られた寺院のような大きな建物があった。

 俺たちは恐る恐るその建物中に入っていく。


 中は太い意志の柱が何本もあり、天井がとても高い。

 広がる大きな空間には、中央に置かれた宝箱以外何もなかった。


「えっ、これで終わり?」

「見る限り、隠し扉もなさそうだな」

「って、あの宝箱のカギがこれ?」

「まぁ、流れ的にはそうだと思うが……開けてみるか?」

「だね。もしかしたら、凄いアイテムかも」


 ピティが宝箱に鍵をさしガチャリとロックを外す。


 ビービービー!!!!!!


 その瞬間、警報のようなアラート音が鳴り響いた。


「ピティ、気を付けろ!」


 しばらく音がなり続けると急に静かになった。


「今のは?」

「しっ――」


 しゃべろうとしたピティに静かにするように言葉を制した。


 耳を澄ますと地面を揺らすようなドドドドという音が低く響いている。

 その瞬間、目の前にクエストウィンドウが現れた。


 強制クエスト:大漁旗に掛ける熱き血潮

 クエスト内容:洞窟寺院の宝を狙う盗者には泉の守護者たちが押し寄せます


「泉の守護者たち? ピティ、分かるか?」

「全然わかんない。というか、この音なんだろ?」

「外だな。行くぞ」

「分かった」


 俺はいうが早いが洞窟寺院から飛び出した。


「音の正体はこれか」

「さ、魚!?」


 ここに入ってきた水路を埋めつくすような魚、魚、魚。

 それらが、俺たちの姿を確認した瞬間、地上にもかかわらず、水面から飛び出し襲ってきた。


「ピティ、やるぞ」

「まかせて!」


 俺は飛び出してきた魚を避けると短剣で切り落とす。


「必殺グランテッドヒート!!!!!」


 ピティが巨大なハンマーを持ち上げると、あふれ出た魚を押しつぶす。

 が、つぶれた魚よりもさらに多い魚が地上にあふれ出ていく。


「いたっ、こいつら結構攻撃力あるから気を付けて!」

「一掃するぞ! 二刀乱舞 ≪星屑龍星≫!!!!」


 泥の短剣を少し伸ばし一振りごとに広範囲の魚を殲滅していく。


「ピティ、気づいたか?」

「う、うん……」


 俺たちはあふれ出る魚型のモンスターを倒しながらあることに気付いた。


「これ、ポイント入ってる?」

「釣り……釣りなのか!?」


 さっきから魚を倒すたび、イベントのポイントが入る音が聞こえる。


「が、こんなおいしい強制クエはないな!

 一気にトップに追いつくぞ!」

「もちろん!」


 連続戦闘のおかげで、≪剣の舞≫の効果は持続してくれている。

 火力も申し分ない。

 

 俺の一振り一振りで小型の魚モンスターが倒されていく。

 しばらく戦い続けると、魚が出てくるのが止まった。


「終わった?」

「いや、それならクエストクリアのウィンドウが出るはずだ」

「だよね」

「ってことは、あれか」

「あれかな。ないといいんだけど」


 俺たちがここに入ってきた水路。

 そこから長い首がにゅっと出てきた。

 硬いうろこに守れた長い首と、鋭い牙。

 ほの暗い洞窟寺院にひときわギラギラと赤く輝く目。


「あぁ、やっぱり、ボス戦よね」

「ドランサーペント。

 亜龍種じゃねぇか。いけるか?」

「やるしかないよね。

 じゃあ、バシーンっと決めてコトハちゃんのところに帰ろう!」

「だな。

 じゃあ、いっちょやってやるか」


 俺とピティはドランサーペントに向かって斬りかかった。



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