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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
27/44

第027話 回避盾はピティとともに

 メジャーアップデート前イベントが、お知らせにも載せられた。

 

 1.パルルの湖畔で釣り名人

  パルル湖を中心とした巨大湖群での釣りイベント。種類とサイズでポイントが決まり、頂上決戦優勝者決定までの間に溜めたポイントで順位が決まる


 2.第一回頂上決戦

  事前登録したプレイヤー全員が一つの場所にあつまり1人になるまで戦う。


 第一回頂上決戦の詳細は追って説明とのことだが、釣りイベントのほうは

明日から開始のようだ。


 翌日、まだ3人は服制作に夢中らしいので、俺は釣り道具を購入して、1人で釣りイベントに参加することにする。



 釣竿を持ってパルル湖をぶらりと回る。

 が、どうやら、イベント初日から多くのプレイヤーが湖周辺ですでに釣り糸を垂らしていた。


「これは、間に割り込むのは難しそうだな」


 パルル巨大湖群は大小200以上の湖と1000を超える滝からなる水流都市。

 根気よく探せば、穴場がほかにあるかもしれない。


 大物がいそうな巨大な湖はすでに上級プレイヤーが占拠しているから、小さな泉を中心に探す。


 誰もいない泉を見つけ試しに釣り糸を垂らしてみるが、釣れるのはアルヤという小型の魚のみだった。


「アルヤは1ptか……」


 ランキングは常時更新される。

 釣りランキングを見ると、すでに上位は100ptに手が届きそうだ。


「アルヤを100匹釣るころにはさらに離されそうだな」


 大型は1.5倍のポイントがつく。端数切り上げとは言え、アルヤの大型をつっても2pt。


「これは場所を変えたほうがいいな」


 しばらく水場を回りながら釣り糸を垂らす。

 アルヤ20匹×1pt、噛みつき貝5匹×2pt、ナイフフィッシュ7匹×3pt、アズモ1匹×15pt。

 このアズモというのが15ptもあった。

 合計で、20+10+21+15=66ptになった。

 アズモの取れた場所でしばらく何度か釣り糸を垂らすが、あれ以降アズモは引っかからなかった。


 どうやら、レアな魚だったらしい。

 懲りずに釣り糸を垂らしているとピティからメッセージが飛び込んできた。



 From ピティ

 いまどこにいる?


 

 ピティに現在地を教えると一緒に釣りをしたいとのことらしい。

 しばらくすると、ピティがやってきた。


「服作成はどう?」

「あとはサッシャの領分かな。なんか俄然息巻いちゃって、私の出番はないや」

「あいつ本職のデザイナーなんだな」

「リアルのことを話すのはマナー違反だけど、サッシャの場合は自分でばらしたところあるからね」

「まぁ、あれは気合入れてたって感じだったけどな」

「ははは、確かに。

 コレクションが近いと、あぁやって現実逃避が如くここに来てるんだよ。

 でも、まぁ、最近は調子がいいらしいよ?」

「そうか、それはよかった」

「釣りのほうはどう?」

「んー、いまいちだな。

 いいところは取られちゃってるから、場所探しってところだな」

「じゃあさ、ちょっと一緒に歩こうよ」


 ピティは俺の手を引いた。


「いいけど、どこにいく?」

「まぁ、焦らないで散歩がてらって感じでいいじゃない」


 ピティは軽く割ると、俺の少し前を足取り軽く歩いた。


「そういや、ピティはベータプレイヤーなんだよな」

「そうだよ。私もゲームが好きだからね」

「前からピティって名前なのか?」

「うん。この名前、気に入ってるからね。

 ミヤコはなんで名前変えたの?」

「コトハちゃんの教育上よろしくないと変えさせられた」

「ははは、確かに。

 でも、まぁ、私、初めて戦い方を見たけど踊るパンツ紳士って戦い方を表していたんだね。

 私はてっきり趣味かと思ったよ」

「まぁな、より効率よいソロプレイを突き詰めた結果、あぁなった」

「ミヤコってゲーム好きだねぇ」

「お前も結構だろ

 あったときとか、レベルにそぐわないモンスターひきつれてたから」

「トレインことは言わないで、あれは私も大失敗だったんだから」


 ピティが恥ずかしそうに顔をそむける。



「こうやって、ゆっくり話すのって初めてじゃない?」

「ん? まぁ、そうか」


 だいたい、いつもコトハちゃんやサッシャがいたからな。


「ベータ時代からミヤコのことは尊敬していたんだよ」

「パンツをか」

「違うって。スタイルというか、ソロプレイ特化ってとこだよ」

「ソロプレイ特化はほどほどにいるだろ?」

「だけど、あの攻略スピードを叩きだしたのってミヤコだけだったでしょ」

「あれは、あのスタイルがどこまで試せるのか強い敵を求めてたってのがあったからな。

 やっぱり、ダンジョン攻略とかはパーティープレイの方が効率よいぞ」

「そうなんだ。

 でも、ノーダメ攻略ってゲーマーとしてあこがれるところあるよね」


 ピティはベータ時代の俺をよく知っている。


「私も攻略の情報提供とかそこそこ頑張ってたんだけどね。

 やっぱり、ミヤコは凄いね」

「鍛冶系の攻略はピティがやってたのか?

 あれは助かったな。特に敏捷特化短剣とかあれは愛用してた」

「ほんとう! あれ、レシピ作るの大変だったんだよ!」

「俺の攻略を支えてた大事な武器だったな」

「そっか、私も手伝えていたんだ」


 ピティは嬉しそうに笑った。


「今は、≪泥の短剣≫があるから、私の武器はいらないなかな」


 ピティは俺の武器を見ると少し寂しそうにつぶやいた。


「いやいや、まだこれ未強化だからな。

 むしろ、武器鍛錬こそ鍛冶の真骨頂だろ。

 期待してるんだぞ」

「ホント? なら、頑張るよ!」


 俺たちは何気ない会話をしながら歩いていく。


「って、だいぶん歩きすぎたな。

 湖の周辺から離れてしまったぞ」

「あはは、楽しすぎてつい夢中になっちゃった」


 周りを見ると小さな泉と泥に汚れた沼みたいなものが数個あるだけだった。


「さすがにここらへんは小さな水場ばかりだから人はいないね」

「だな」


 小さな泉の方に釣り糸を垂らすが、先ほどの釣果とあまり変わらない結果となった。

 とはいえ、上位には到底手が届かなさそうなので、ピティと並んで釣り糸を垂らしてのんびり釣りを楽しむ。


「へへへへ」


 ぼーっと湖面を眺めて釣りをしていると、ピティが嬉しそうに微笑む。


「どうした?」

「へっ? いや、こうやってミヤコとのんびり釣りをするっていいなぁって」

「そうか?」

「そうだよ。だって、ミヤコはね。

 私の憧れのプレイヤーだったんだよ」

「俺がか?」

「あっ、ミヤコは分かってないね。

 あの時代、みんながあの情報を見たんだよ」

「それは嬉しいな――っと!」

 

 釣り糸がきゅっと引っ張られたのでそれに合わせて釣竿をひく


「なに、大物きたの?

 頑張って!」


 ピティが自分の釣竿を放って俺のそばで、頑張れ頑張れと身体を揺らす。


「くっ、ぅららあああぁっぁぁぁあ!」


 思いっきり釣竿を持ち上げると水面から勢いよく巨大な魚が飛び上がった。


「やったぁ! 大きいよ」

「っしゃこれはポイント高いぞ!」


 飛び上がった魚は中型のモンスターであるガイツフィッシュだ。

 地面に落ちると大きく、激しく身体を振るわせて大きく跳ねる。


「早く、捕まえて!」

「任せろ!」


 俺ははねるガイツフィッシュを素早く短剣で刺した。


「おっ、100ptもあるぞ!」

「すごい、すごい!」


 ピティがその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。


「こんな小さい泉にも大物いるんだ! 私も頑張らないと」

「って、ピティ、お前の竿もひいているぞ」


 放ってあった釣竿に魚が食らいついたのか、泉のほうに引っ張られていく。


「まずい、釣竿が泉に入るぞ」


 手を伸ばした時にはすでに遅く、釣竿は泉の中へと落ちていった。


「ちっ、追いかけるぞ」


 俺は、わき目も降らず泉に飛び込んだ。


 水の中で釣竿の行方を捜すと、そこのほうに魚とともに釣竿が深い横穴へと入っていった。

 さすがに、追いかけられないので、俺は水面に上がる。


「どうだった?」

「すまん。取り返せなかった」

「ごめん。せっかく買ってもらったのに」

「いいさ、気にするな。

 それよりも、横穴に逃げるとは思わなかったな」

「横穴……それって追いかけられないの?」

「追いかけるって、水の中をか?

 それには潜水スキルが……」


 スキル≪潜水≫は水中での移動を可能にする。

 レベルが低い内は数秒が限界だが、レベルが高くなれば長時間の潜水が可能となる。


「もしかして、追いかけるつもりか?」

「ダメかな……?」

「いや、面白そうだな。

 潜水のスキルがあるってことは、水中でのイベントがあってもいいしな」


 今後のためにもなりそうだ。


「じゃ、じゃあ、私としばらく泳がない?」

「あぁ」


 俺は手を差し出すと、ピティはそれを握り返し、泉の中へと入っていった。


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