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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
25/44

第025話 回避盾は蜘蛛とともに

「優勝は≪くものうえ≫!!!」


 はぎが倒れたと同時にアナウンスが鳴り響いた。


「ふぅ……」

「お疲れ様。そして、優勝おめでとう」


 リタが俺に握手を求めてきた。


「強いなぁ、うち負けるとは思ってなかったわ

 これでもさっきのソロ戦で準優勝だったんよ」

「いや、ハクロも強かったよ」


 彼女とも握手を交わす


「なんで、ソロ戦出てなかったの? あなたならいいところに行けるはずよ」

「まぁ、のんびりやっているからな」

「のんびりねぇ」


 リタはそういって、はぎに視線をやった。


「まさか、緊急クエが出るとは思わなかったよ。

 巻き込んですまなかった」

「いえ、いい経験でした。

 まさか、NPCとタッグが組めるとは知りませんでした」

「ホント、ホント」


 俺は目を回しているはぎを抱き上げた。


「じゃあ、俺は行くわ」

「はい、また、お会いしたらその時は一緒に回りましょう」

「じゃぁねぇ」


 俺は2人に別れを告げると闘技場を去った。


----



 闘技場から出て俺はまたはぎとあった喫茶店に戻った。

 外に出された椅子に座り、また道を行きかう人を見ていた。


 今度は向かいの椅子には目を回しているはぎが座っている。


「んっ……」

「気づいたか」

「主は……そうかワシは負けたか」

「まぁな」


 気づいたはぎに視線を移したがまたすぐに人通りに視線を移した。


「ほれ、これは主が望んでいたものじゃ」


『アイテム:天恵の蜘蛛糸を取得しました』


「これが最後のアイテムか」

「まさか、ワシが倒されるとは思わなんだぞ?」

「負けたらどうなるんだ?」

「もちろん、報酬はなしじゃ。

 このアイテムは貴重なんじゃぞ?」

「なら、お礼もかねて」


 俺はウェイトレスに目くばせした。

 事前に、彼女が起きたら一杯お願いしていた。


 彼女はすぐに席にコーヒーを持ってきてくれた。


「おっ、気が利くじゃないか」

「蜘蛛はコーヒーで酔っぱらうってのは本当だったんだな」

「こんなうまいもんで酔えんとは人は不便じゃのう」

「ははは、俺らにはお酒があるからな」

「して、お主は≪天恵の蜘蛛糸≫で何を作るんじゃ?」

「姪に服を作ろうと思ってね」

「プレゼントにしては過ぎたアイテムじゃぞ?」

「聖女の服を作るのに必要だそうだ」

「ほう、聖女か。何代か前が同じことをしていたと聞いたな。

 なんじゃ、お主のために使わんのか」

「まぁ、そういう意味ではそうだな」

「ふむ。では、これをやろう」


『アイテム:猛毒の蜘蛛糸を取得しました』


「これは?」

「ふふん、ワシが作った極上の糸じゃ。

 ちょっと曲者でな。ただ、これで服を作れば一級品じゃぞ?」

「名前からして毒々しいんだが」

「まぁ、これで作った服を着たものは常に猛毒状態になるからな」

「それ危険じゃねぇか」

「しかし、効能はお墨付きじゃぞ? 猛毒じゃ死なぬからいいじゃろ?」


 確かにはぎに噛まれたときになった猛毒状態は体力が1から減らなかった。

 どのみち≪紙の命≫で、一撃喰らったら死ぬ可能性がある状態だ体力が1だろうが満タンだろうが関係ないか。


「それともう1つはこれをやろう」


『アイテム:絆の指輪(蜘蛛族)を取得しました』


「これは?」

「ワシとの契約の腕輪じゃ」

「契約?」

「うむ。お前らの言葉で言うと≪ていまー≫という奴じゃ。

 主はこれからいつでもワシを呼べるようになるのじゃ」

「そんなもの貰っていいのか?」

「どうにも、ワシはそちを気に入ってしまった。

 だが、ワシは常にお前がワシの主に値するか見定めておる。

 これからも精進するのじゃな」

「分かった。お前の期待にこたえられるように頑張るよ」

「期待しているぞ。(ぬし)様」


 はぎの身体が光に包まると粒子状になり指輪の中へと消えていった。


「呼び出し方聞いてなかった……」

(言っておらんかったか?)


 1人呟いた言葉に対して頭の中に言葉が響いた。


「うわっ? えっ? はぎ?」

(言っておらんかったな。呼び出す時はワシの名前を声高々に呼べばよい)

「ははは、分かった。これからもよろしくな」

(うむ)


 はぎの満足そうな声が頭の中に響いた。


 次にどこに行こうかと立ち上がった瞬間、ピティからメッセージがとびこんできた。



 From:ピティ

 ミヤコ、起きてる?

 黒蒼鉄の裁ち(ばさみ)ができたよ。

 サッシャも針ができたって。サッシャの店で待ってるから来てね



 となると、ついに全部そろったのか。

 俺は「すぐ行く」とメッセージを返してサッシャの店に向かった。



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