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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
19/44

第019話 回避盾は謎の少女ともに

 リアル世界で夜中3時。

 

 俺は格闘都市ザンを散策していた。

 ≪祝福の針≫はサッシャに、≪黒蒼鉄の裁ち(ばさみ)≫はピティが作成中だ。

 最後の≪天恵の蜘蛛糸≫だけはまったく所在がわからない。


 ザンにいるのは、ここには闘技場もあり攻略組もよく滞在しているので、情報が聞けるかもしれないという期待があるからだ。

 ちょうど都合よく、今闘技場でグランドバトルという参加自由のフリーバトルが開始したばかりだ。

 おかげでいつもより人が多い。


 それにだ。

 少し1人になりたかったというのもある。


 前回のマレクス鉱山にあった隠し通路。

 あれが見つけられなかったのが悔しかった。



 自分勝手な意地だが、運に頼らないプレイを目指していた。

 コトハちゃんと競い合うつもりはないのだが、負けた気がしてしまう。


「ヒントはあったんだよなぁ」


 悔しくて空を仰ぐ。


 観察力。

 疎かにしているつもりはなかったのだが、やはり悔しい。


「まぁ、切り替えよう」


 心のしこりを落とすように口に出す。



----



「ぜんっぜん、情報ないな」


 人が集まる闘技場や酒場。

 NPCにまで聞きまくったが皆「そんなアイテムは聞いたことがない」という。


 俺は広場に面しているカフェの椅子に腰かける。

 それに合わせてウェイターがやってきたので、適当にコーヒーを注文した。


 少ししたらウェイターが机の上にコーヒーをおいた。


 と言っても、このコーヒーは飲めるのだが、味はない。

 フルダイブと言いながらも嗅覚と味覚はまだ実現されていない。

 近いうちのバージョンアップで実装されると聞くが。



 物思いに更けながら通りに行きかうプレイヤーを見る。

 遠目で見るとプレイヤーかノンプレイヤーかは区別がつかない。


「隣をよいかの?」

「ん?」


 目の前に白い髪の少女が立っていた。

 真っ黒な瞳に、にこりと笑うと八重歯が見えた。

 白い髪と同じくらい白い服は太陽の光を優しく反射していた。


「なんじゃ、浮かない顔をしておるの」

「まぁな」

「ふふん、主の悩みを解決してやろうか?」


 サッシャとは違った方向の生意気さだ。


「なんだ、俺の悩みが分かるのか?」

「そうじゃなー」


 その少女は、俺のコーヒーを勝手に取ると口をつけた。


「あーコーヒーはいいのう。

 これほど酔う飲み物はないぞ」

「コーヒー飲んで酔う奴なんかいるか?」

「目の前におるじゃろ?

 まぁ、そうすぐにカッカするな。禿げるぞ?」


 男にそれは禁句だろ。


「まぁ、良い。

 おぬし、探しておるんじゃろ?」

「何のことだ?」

「≪天恵の蜘蛛糸≫じゃよ」

「どこで手に入るのかしっているのか!」

「ふむ。知っておるし、知らんともいえる」

「あいまいな返事だな」

「そうじゃな、グランドバトルに出て優勝したら教えてやってもいいが?」

「もう、出場登録は終わってるだろ?」

「タッグマッチなら当日受付可能じゃぞ?」」


 要求の意味が分からない。


「やらぬならいいぞ? わしとしては、主が探しているから仕方なく来たまでじゃ」

「ん? タッグマッチってことは、お前も戦うのか?」

「なんじゃ? 文句あるか?」

「いいぜ、グランドバトル。

 優勝してやる」

「うむ。よく言った。

 姓は≪やつか≫、名は≪はぎ≫。主とともに戦うのを楽しみにしておる」

「はぎか。

 分かったよろしく頼むぞ」


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