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伝説の回避盾は姪っ子とともに渡り歩く  作者: 物戸 音
第一章 Ver.1.00 正式リリース
10/44

第010話 回避盾はロマンスキルとともに

 コトハと俺とで別々でプレイした後、コトハは何か言いたそうだったが、母親から呼ばれたらしく、また後でということで、その場は別れた。


 どうしても聞いてほしいことがあったようだ。


「ミヤコ久しぶり!」

「ピティか。ってお前、昨日も会っただろ」


 コトハを待っていたら、偶然ピティが俺を見つけて近くに寄ってきた。


「今日は1人?」

「いや、このあとコトハと会う約束がある」

「コトハちゃんか。可愛いよねぇ」

「お前、手を出すなよ?」

「分かってないなぁ。愛でるのがいいんだよ」

「初っ端トレインかますような奴を信じられるか」

「うっ、根に持つな……」

「相手、小学生だからな?」

「小学生!!」

「お前、目の色変わったぞ」

「な、なに言ってんのよ……そんなわけないじゃない!」


 トレインの後、ピティと何度かあって彼女の印象はがらりと変わった。

 さすがに初対面でMPKに巻き込んでしまった負い目があったのだろう。

 今は、遠慮がない。


「おじさん。お待たせしました。

 あっ、ピティさんもいたんですね」

「こんにちは」

「コトハちゃん、こんにちは。

 今日もかわいいね」


 今ではこれだ。一言多い。


「今日は相談があるって言ってたけど」

「そうなんです」

「あれ、もしかして、私はいないほうがいいかな」

「いえ、ピティさんも聞いてほしいです」


 コトハは修道院であったことを2人に話した。


「うーん、隠しイベント?」

「だろうな。

 僧侶スキル取得時が発生条件なら、結構厳しいな」

「コトハちゃんよく、クリアしたね」

「そうなんですか?」

「でも、コトハちゃんの一撃で邪龍が怯んだっていうんだから案外弱い?」

「いや、恐らく、スキルのせいだ」

「スキルですか?」

「そそ、コトハちゃんのスキルをピティに見せてあげて」


 【パッシブ】

   アイドルなスター

   パラプリンセス

   三聖女より認めらし者

   白百合鉄束団

   オートリフレクト

 【アクティブ】

   リアヒール

   ハイヒール

   パラライズストライク

   ポイズンストライク

   スローシンプトム

   デクライシス

   デキノシス

   ジャッジメントパニッシャー

 

「この≪アイなス≫と≪パラプリ≫がパーティー内スキル効果を高めているんだよ」

「こんなスキルあるんだね。どれどれ……」

「聞いた感じだと、NPCが常時バフかけていたっぽいし、その影響じゃないかな」

「その可能性あるかも。

 それより、この≪三聖女≫のスキル凄くない?」

「三聖女より認めらし者の効果は最も高いステータスの値を2倍にする。

 2倍ってのが凄いな」

「コトハちゃんの一番高いのってのが……」

MEN(精神)です」


「おう……」「あの話だとそうなるな……」


 コトハの言葉にミヤコとピティが同時にそう返した。


MEN(精神)だと悪いんですか?」

「わ、悪い訳じゃないよ。

 ただ、アタックとしてはちょっと心許ないかなって。

 まぁ、コトハちゃんはヒーラーだからこの後INT(知力)もあげるでしょ?」


 ピティの言葉に、MEN(精神)特化があまりよくないということにさすがのコトハも感じ取った。


「いや、コトハちゃんはそのままMEN(精神)特化でやってみるか?」

「いいんですか?」

「ちょ、ちょっと、ミヤコ!」


 ピティが急に裾を引っ張ると、小さな声で俺に話しかける。


「さすがに、MEN(精神)特化はないでしょ」

「いや、ありかもよ」

「私、ベータプレイヤーで極振りプレイヤー見てきたけど、MEN(精神)だけはないって」

「まぁ、俺も生きる筋は想像できないけど」

「でしょ! 止めるべきだよ」

「でも、まぁ、好きにやるってのは思いがけないこともあると思うぞ」


 かく言う俺も死に筋と言われたスキル構成だしな。


「というわけだ。コトハちゃん」

「は、はい」

「好きにやるといいよ」

「いいんですか?」

「もちろん、せっかくのゲームなんだ」

「じゃあ、ラナンさんからもらった≪ジャッジメントパニッシャー≫も使ってみたいです。


 スキル:ジャッジメントパニッシャー (杖、棍棒スキル)

  構えた後、重い一撃を放つ。威力は構えた長さに影響する。

  構えた状態では攻撃・移動系スキルは使えない。


「こ、これか……」

「ほら、ミヤコが好きにっていうから」


 ピティが責めるような目で俺を見る。


「ダメなんですか?」


 コトハが悲しそうな目で俺を見る。


 ジャッジメントパニッシャー。

 どのゲームでも見るロマンスキルだ。

 1分以上構えた時の火力は他の追随を許さない。

 が、ヘイトの上がり方の激しさと戦闘中に1分以上無防備になることはあまりにも使い勝手が悪すぎる。

 これを使われるとヘイト管理が極端に難しくなる。

 が、ロマン仕様のせいで愛好家も少なからずいる。


「まずは、使ってみてから決めてみるか?」

「ありがとうございます」


 俺たちは始まりの町の近くのフィールドに移動した。

 ここら辺にいるのはあのラビライムだ。


「じゃあ、やってみて」

「はい」


 コトハちゃんが腰を少し落とし、片手で杖を深く構えた。

 ジャッジメントパニッシャーの構えモード。

 この時間が長ければ長いほどこの後の一撃の威力が上がる。


「これって動けるんですか?」

「簡単なステップとすり足でならいけるよ」


 そういわれて彼女はじりじりとラビスライムのほうににじり寄る。


「いい感じの距離だな。いけ!」

「はい! ジャッジメントパニッシャー!」


 ステップとともに距離を詰めて一気に杖を振り下ろす。

 その一撃とともに、ラビスライムが一撃で葬り去った。


「す、すごいですね!」

「溜めたのは10秒くらいか。不意打ちならやっぱりいい技だな」


 相手を一撃で倒せてコトハが喜ぶ。

 そう。相手に見つからない状態で撃つならこれほどいい技はない。


「じゃあ、ちょっと敵を変えてみるか」


 近くに走るランドックの方を指さす。


「早い敵ですね!」


 コトハがもう一度ジャッジメントパニッシャーを使用するために構える。

 近くに走るランドックはコトハを見つけると、すぐさま寄ってきた。

 コトハがジャッジメントパニッシャーを打とうとしたその瞬間、それよりも早くランドックがコトハを攻撃した。


「きゃっ」


 短い叫びとともにジャッジメントパニッシャーの構えが崩れた。

 そうなのだ。被ダメでも構えが崩れる。

 構え始めてから攻撃までノーダメでいなければいけないのが使い勝手の悪さだ。


「こっちだ! スキル:挑発!」


 ランドックのヘイトをこっちに向ける。


「注意をひきつけるから、もう一回やってみて」


 ランドックがこちらにターゲットを向けた。

 敵の攻撃を躱しながら、コトハにジャッジメントパニッシャーを撃つ隙を作る。


「は、はい」


 二、三度攻撃をかわすとランドックの注意がコトハに向いたので、また挑発でこちらに注意を向ける。


 スキル:不敵の舞

 回避をするたびにヘイトをあげる。


 踊り子が覚えるパッシブスキルで常時ヘイトをこちらに向けるつもりだったが、その上昇率よりもジャッジメントパニッシャーのヘイト上昇率が高い。


「コトハちゃん、次そっちに向いたら惹きつけられない!」

「分かりました」


 コトハちゃんはじりじりと右に左に動いている。

 早く動くランドックをとらえれないようだ。


 また数度攻撃をかわすとランドックの向きがコトハの方に向いた。


「行くぞ!」

「は、はい!」


 コトハのジャッジメントパニッシャーよりも早くランドックがとびかかる。

 このタイミングはランドックの方が早く攻撃を当てそうだ。

 ジャッジメントパニッシャーは今回も不発に終わるだろう。


「パラライズストライク!」


 ジャッジメントパニッシャーを構えたまま、コトハがそう叫ぶ。

 その瞬間、とびかかっていたランドックが麻痺状態になり地面に倒れた。


 構え中に他のスキルを使うと、構えが強制解除される。

 残念ながらコトハちゃんも実感しただろう。


「というわけだ。ジャッジメントパニッシャーより他を使ったほうが――」

「ジャッジメントパニッシャー!!!」


 その瞬間、コトハちゃんがステップで距離を詰め、杖を振り下ろした。


「えっ?」

「何、今の!?」


 俺とピティがコトハを見て思わず声を上げた。


「ちょ、ちょっと待て、なんでジャッジメントパニッシャーが打てるんだよ!」

「今、パラライズ使ったよね?」


 俺とピティがコトハのそばに駆け寄った。


「やっぱりできましたね」

「やっぱり? どういうことだ?」

「えーっと、おじさんが言ったじゃないですか。

 攻撃・移動系スキルは使えないって。

 今使ったのは補助スキルです」

「ジャッジメントパニッシャーの構え解除のスキルは攻撃・移動系のスキルのみで、

 補助スキルは適用されないと?」

「はい」


 嘘だと言いそうになるが、事実、コトハが目の前でやってのけた。

 スキル説明にそう書いてる通りと言えばそれまでだが。

 誰が思いつくだろうか。


「ねぇ、ミヤコ。

 コトハちゃんってMEN(精神)極振りよね。

 もしかして……」

「……あぁ、めっちゃ噛み合ってる」


 MEN(精神)には最大MP上昇のほかに、状態異常の成功率がある。

 それはこちらの状態異常の耐性もそうだが、相手を状態異常にするパラメータでもある。

 彼女は、MEN(精神)の極振りに加えて≪三聖女≫のパッシブスキルでさらにMEN(精神)が強化されている。


 こちらは状態異常にかからないのに、相手には状態異常がかけ放題。

 構え中に相手を動けなくして、後はつぶしていけばいいだけだ。


「何これ……ありなの?」

「あり……だと思う……」


 俺もピティも目の前の状況を信じられないでいた。



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