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そして今度は麻沙美先輩のお家で……②



 僕は脱兎のごとく逃げ出した……が、程なくしてすぐに捕まってしまった。



「ジョネスはアフガン・ハウンドという犬種でね。狩猟犬としてとても優秀なんだよ。逃げられるとは思わないことだ」



「ワン!」



 ジョネスは返事をするように咆えてから、僕の首筋を嘗め回す。

 本当ならこんな感じで首筋に噛みつくのかもしれない……、と思うと背筋が凍るようであった。



「しかし、一目散に逃げることはないだろう?」



「逃げますよ! さっき僕を襲う宣言をしておいて何を言っているんですか!」



「それは誤解だよ。私はあくまで、同意のうえでヤろうと言っているんだからね」



 さっきの話のどこをどう取れば同意になるのか、さっぱりわからない。

 麻沙美(まさみ)先輩には、僕が同意しているようにでも見えたのであろうか。



「ぼ、僕は麻沙美先輩と、その、セッ……をする気はありませんよ」



「それは何故だい?」



「だって、僕と麻沙美先輩は付き合っていないじゃないですか?」



「じゃあ確認させて貰うけど、藤馬君は私のことをどう思っている?」



「そ、それは友達だと思っていますが……」



「そうじゃない。好きか嫌いかで言ってくれ」



 そんなに、好きに決まっている。

 しかし、そう正直に答えるのは言わされている感が激しい。



「……麻沙美先輩のことは、友達として、好きですよ」



「ふむ。では、私を女として意識はしているかい?」



 ……これは、どうあってもそっちの方向に持っていく気らしい。

 僕がどう答えても、結論はそこに持っていきたいようだ。



「……当然、女性として意識はしてますよ。でも、それは麻沙美先輩とセッ……する理由にはなりません」



「それは不誠実だからとかそういう理由かい?」



「そうです」



「でも、実は伊万里(いまり)には条件付きで許可を貰っているんだよ」



 なん……、だと……



「な、なんですか、その条件って……」



「初めては必ず伊万里に譲るという条件だ」



 っ!? つ、つまり、その条件を満たしたから、麻沙美先輩は僕にエッチを迫っていると!?

 ていうか、伊万里先輩も何そんな条件をだしちゃっているんですか!



「私がこのまま処女のまま人生を終えたくないと懇願したら、伊万里は渋々といった感じだけど承諾してくれたよ」



 この人は、そんなとんでもない懇願をしたのか……

 いや、麻沙美先輩ならそうしても全くおかしくないのだけど、それをネタに伊万里先輩から承諾を取るとは思わなかった。

 それだけ、この人なりに本気なのかもしれない。



「で、でも……」



「藤馬君は、私とエッチするのがイヤかな?」



「……イヤではないです」



 むしろ、一度その味を知ってしまったが故に、欲自体は以前よりも強くなってしまっている。

 ただ、それでは欲に負けている感じがして、どうしても抵抗があった。



「イヤじゃないなら、私のことを救うとでも思って受け入れてくれないかな?」



 それは甘くて危険な誘惑。

 正当な理由さえあれば、麻沙美先輩を受け入れるのに否やはないからだ。

 伊万里先輩が認めているという事実も、そのあと押しとなっている。



「……麻沙美先輩は、それでいいのですか? そんな、同情みたいな理由でされて……」



「それは……、少し嫌だけどね。でも、それで君という存在を私に縛り付けられるのであれば、構わないと思っているよ」



 仰向けに寝転んだ僕の目を、麻沙美先輩が真上から見下ろすように見つめてくる。

 その瞳は、普段の麻沙美先輩からは考えられないほど、真剣なものであった。



「……わかりました。僕は麻沙美先輩を、受け入れます」



「……ここまでしておいてこう言うのもなんだが、いいのかい?」



「はい。ですが……」



 僕は両手で麻沙美先輩の顔を引き寄せ、額に唇を押し付ける。



「僕は、同情で麻沙美先輩を受け入れるワケじゃありません。ちゃんと好きだから……。愛を感じるから、受け入れるんです」



「……ありがとう、藤馬君」



 そして今度は麻沙美先輩の方から、僕の唇に唇を重ねてきたのであった。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 藤馬くんが一気に開発されていってる……! まじか……まじなのか……! とってもドキドキしました!!
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