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月岡先輩と公園で……②



「待ってください! もう十分でしょう! 先輩が女性であることは十分理解できましたから!」



 僕はなんとか拘束から抜け出そうとするも、月岡先輩が巧みに力を受け流すせいで逃れることができない。

 どうやら、レスリングなどの寝技のように、捕まっている側の動きを完璧にコントロールしているらしい。



「く、くそぅ……、もしかして月岡先輩、格闘技か何かやってますか?」



「いや、まったく。でも、寝技には自信あるよ。悪いけど逃がすつもりはないから、大人しくしていてくれ」



 そう言って月岡先輩は、僕の耳に熱い吐息を吹きかける。

 それだけのことで、僕の力は完全に抜けきってしまった。

 この弱点をどうにかしない限り、ここから脱出するのは難しい気がする……



「あまり時間もないことだし、今回は開発が進んでいるココを利用させてもらおうかな……あむ」



「☆#$%&wっ!?」



 またしても、僕の耳が月岡先輩の口に含まれてしまう。

 月岡先輩はそのままあまがみ(・・・・)するように、ハムハムと僕の耳に優しく圧力を加えてくる。

 その度に、柔らかでしっとりとした舌の感触が、耳のふちをツンツンと刺激する。



「っ! っ! っ!」



 くすぐったさと快感が入り混じったような感覚に思わず声が出そうになるが、手で口を押えることでなんとかギリギリ堪えることができた。

 しかし、月岡先輩の口撃はそれで終わらない。


 今度は舌が、耳の隙間に入り込んできた。



(ほ、本当にヤバイ! これ、エロ過ぎる……)



 クチュ、クチュ、と水気のある音が、段々と内側へと向かっていく。

 そのあまりに淫靡な動きに、僕の意識は半分以上持っていかれていた。



「んっ…、ぷはっ……。ふふ、本当に感度が良いね。思わず、このまま攻め続けたくなってしまいそうだよ。……でも、コレはあくまで準備だからね。やり過ぎては本末転倒になってしまう」



 唐突に耳を解放され、遠のきかけた意識が戻ってくる。

 しかし、思考能力が低下しているせいか、月岡先輩の言っていることはあまり理解することができなかった。



「さあ、準備も整ったことだし、君のソレで確かめてごらんよ。……私が本当に女かどうかを」



 朦朧とした意識が、耳元で呟かれた言葉により急速に引き戻される。

 そうだった。そういえばこの行為は、先輩が自分を女だと証明するために行われたことだった。

 ということは、



「準備って、まさか……」



「ああ。君の思っている通りのことだよ。正直、男を相手にするのは初めてだったんで自信なかったんだけど、ちゃんと起きてくれたようで安心したよ」



 起きるとは、つまりアレのことである。

 そして、そうした目的とはつまり……



「さあ、直接触れて、確かめるんだ」



「な、何てことさせようとしてるんですか!?」



「別に、満員電車とかなら、このくらい良くあることだろう?」



「そうなんですか!?」



 そんな情報は知らなかった。

 でも確かに、月岡先輩のような綺麗な女性に満員電車内でギュウギュウに押し付けてしまったら、そうならない自信は無い気もする。



「これなら事故のようなものだろう? 遠慮はいらないよ、さあ」



「さあ、じゃないですよ!? 意図的な時点で事故じゃないですからね!?」



 なんとか距離を離そうとするも、完全にロックしているのか月岡先輩は微動だにしない。

 それなのに、僕のアレの方は元気よく先輩に向かって行こうとする。

 今ほど自分の下半身が制御できないことを呪ったことはないかもしれない。



(く、くそーーーーーーーっ!)



「ふふ、ホラ、段々と近づいてき……」



「麻・沙・美・せ・ん・ぱ・い!?」



「「っ!?」」



 僕の尊厳的なものが奪われそうになるその瞬間、奇跡が起きた。

 そう、女神が舞い降りたのである。



 ……かなり凄い形相をした女神だけど。




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