九十三話 ジュラ島19
どぼんっ!
俺達を底で待っていたのは、
川だった。
「ぶはっ!! し、死ぬ!」
何年も金槌を放置し続けていたのが
仇となった。
どれだけの世界を救おうと、
どれだけ強くなろうと、決して
克服できなかったのはこの金槌と、
あとは股間を強打したときの痛み
だけだった。
溺れないように足掻くのに必死で
タチアナさんとペルーが今どうなって
いるのか、どれだけ流されているのか
さえわからない。
そして、俺の意識は、水の底へと
沈みゆくのを感じながら、薄れていった。
「ふぉふぉふぉ、珍しいことも、ある
ものじゃの。」
「笑い事じゃ無いですよ。」
「すまん、すまん。しかし、ほら。
猿も木から落ちるというじゃろ。」
「そんなことはいいので、早く復活
させてください。」
「了解じゃ。しかし、何年ぶり
じゃろうか。隼人君が死ぬなんて。」
「この後に及んで水死するなんて
自分が恥ずかしいですよ。」
「じゃが、ほら。猿も木から──」
「いや、もうそれさっき言いました。」
「そうじゃったかのう。」
俺は今、白い部屋にいる。
神様がいて、他には何も無い。
本来ここに来るのは俺が異世界を
救って、次の異世界に行くまでの
待機所の役割を果たしているのだが、
実はもうひとつ、この部屋は
俺にとって意味のある場所でもある。
それは、俺が死んだ時、再びその
死んだ異世界に復活させてもらう
為の場所だ。
最初の頃はスライムに食い殺されたり、
高いところから落ちたりしたときは、
よくここに戻ってきて復活させて
もらっていた。
まあ、もう今の俺は強くなりすぎて
死ぬことなど無いと思っていたが、
水死するとは。
「それじゃ、お願いします。」
俺がそう言うと神様は魔法か何かなの
だろうか、とにかく何かをして光で俺を
包む。
「リスポーン。」
そして神様はそう言った。




