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五十九話 選抜試験18

「ど、どうして!?

う、受け取れません!

私には隼人さんのバッチを受けとる

資格なんて──」



「いえ、あなたにはある。」



「......?」




「だってあなたはさっき、こんな役に

立ちそうにない、俺なんかを見捨て

なかったじゃないですか。

仲間を見捨てないなんて、

誰にだってできること

じゃない。」




昔、とある異世界で俺は、パーティーを

組んで何かの討伐に行ったことがある。



もう、あまりにも前のこと過ぎて

何を討伐しにいったのかも忘れてし

まったが、その討伐に失敗し、俺は

仲間を一人見捨ててみんなで逃げ出した

ことがあった。



それからみんなで悲しみに暮れて、

その悲しみをバネにして再び、

そのみんなと討伐に向かった。



結果は無事討伐成功。

その夜はみんなで喜びあった。

見捨てた仲間のことを忘れて。



それから、月日が流れ、俺はその異世界

のクリア条件を達成した。



また、仲間とお別れか......



喜び合う仲間の後ろでそう思った。



俺がこの世界から

消えても、みんなは俺の存在を覚えてい

てくれるだろうか......



その時、俺は思い出した。

あの時、見捨てた仲間のことを。

自分がこの世界から消える

今になってふっと頭に浮かんできた。



あぁ......そうか......



あの時、仲間を見捨てた俺なんかが、

みんなに覚えていてもらえるわけがない。



きっと、俺も忘れさられるんだろうな。



今俺が、あの時見捨てた仲間を

覚えていなかったように。




だって、仕方がなかった。

敵は強かっし、あそこで

仲間を一人、見捨てていなければ、

俺達は全滅してたかもしれない。



そんな言い訳が頭に浮かんだ。



自分を必死に正当化するために。

消えていく意識のなかで。



だから、俺はもっと強くなろうと

思った。


仲間を見捨てないように。

いや、仲間が俺のことを覚えていてくれ

るように。



けれど、俺はそれから何度も仲間を見捨

ててきた。

どんなに強くなったって、クリア条件の

為に、自分の為に俺は仲間を犠牲にして

きた。



そして俺は気づいたのだ。



自分の為に人を見捨てる。

これが人の本当の弱さなんだろうな



って。







だから俺は

その点をふまえて、アルナさんにこそ

このバッチを受け取って欲しいと

心から思った。



タチアナという女についていきたいと

いう自分の願望を抑えて、俺を

見捨てず戦ってくれた彼女に。



きっとこの人なら、魔王討伐軍に

加わっても、戦力的な面でも問題は

ないだろう。






そう思って未だ俺の手から

バッチを受け取らない彼女に

向かって




「もう一度言います。

あなたならこのバッチを受け取れる

資格があります。

だから、どうか受け取ってください。」




と強く言った。



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