3話 始まりの異世界2
「おい、何でついてくるんだ」
流石にずっと後をついてきた俺に
しびれを切らしたのか、青年は
振り向いてそう問いかけてきた。
「俺もそっちに用があるんだよ」
答えると、嘘つけと言わんばかりの
渋面を浮かべつつも、青年は
再び歩きだす。
とにかく、今は人のいる町に行こう。
ここが何処かわからないが、親切な人に
言って警察を読んでもらって、保護
してもらおう。
しかし、俺のそんな願いは消え去った。
青年の後を追ってたどり着いたそこは、
中世ヨーロッパ風の、まさに
ファンタジーに出てきそうな町だった。
「う、嘘だろ......」
俺は夢でも見てるのか?
そんな俺の鳩が豆鉄砲を食らったような
顔を、横目で見ていた青年が呆れを含んだ
ため息をついた。
「お前......もしかして、異世界人か?」
「異世界人?」
「......」
その俺の問いに、もう一度青年は
ため息をつく。
そして、懐から何かを取り出し、
俺に投げた。
「この金で服でも買え。
で、とりあえずあそこのギルドに
行ってみろ。」
「ギルド?」
どうやら青年が指差している、あのやけに
立派な建物らしい。
「じゃ、俺ができんのはここまでだ。
だから、もう俺の後はついてくんなよ。」
そう言って、青年は立ち去ろうとする。
「お、おい! 待ってくれ!
せめて名前くらい教えてくれ!」
俺は思わず、命の恩人にそう尋ねていた。
その問いに、青年は振りかえって
こう答えた。
「バビロンだ」
町行く人に奇異の目で見られながらも、
何とか動きやすい長ズボンと半袖を
購入することに成功した俺は、青年の
助言通り、ギルドに向かった。
その道中、町並みを眺めたが、ここが
とても日本とは思えなかった。
やはり、俺はどこかの国に連れ去られた
らしい。
しかし、だとしたら、一体ここはどこだ?
何で他国なのに日本語が通じるんだ?
あのバビロンという青年が言っていた
異世界人とは一体どういう意味だ?
多くの疑問符がつく中、俺は
ギルドの扉をぐっと押して、中へと
入る。
「.......あぁん????」
すると、中で酒を飲んでいた
厳つい男達の視線が俺に集中した。
もしかしたら、新顔だからかもしれない。
思わずここから出ようとしたが、
出ても、もう行く場所など無いと
気づいた為、何とか踏ん張り
素早くカウンターの席に座った。
「ふぅ......」
情けなくも、安堵のため息が溢れる。
「何かたのまないの?」
と、ここで誰かが俺に話しかけてきた。
いや、誰かではない。
カウンターに座ったんだから、きっと
店の人が話しかけてきたのだろう。
そう思って顔を上げたが、そこには
誰もいなかった。
あれ?
「こっちこっち」
それもそのはず。店の人は俺なんかに
目もくれず、他の客の相手をしていた。
俺に話しかけてきたのは、隣の客だった。
そちらに顔を向けると、紫色の髪をした
綺麗な女性が座っていた。




