三百二十七話 クリア2
「あ、ボール!」
「あっち飛んでった!」
賑やかな子供達のはしゃぐ声が
私の耳に入ってくる。
「ママ! 見て見て! ダンゴムシ!」
すると、泥だらけの少年が私の
ところに駆け寄ってきた。
ちなみに、彼と私の血は繋がっていない。
「ママ! お腹すいた!」
今度は女の子が私にそう言いながら
抱きついてくる。
「そうね。皆、中に入ってそろそろお昼
にしようか。」
「はーい!」
私のその声に外で遊んでいた計12人の
子供達が一斉に中に入っていった。
私もその後に続こうと、腰を上げた
その時
「ピィ!」
あの懐かしい声がしたのだった。
隼人とタチアナが去ってから、
この世界では五年が経とうとしていた。
彼らのお陰で、人間達を苦しめていた
魔王は死に、人間と魔族の戦争は
人間側が勝利することとなった。
だが、一部の魔族とはこれまでの敵対的な
関係を改善し、友好的な関係を築く
ことに成功した。
今、この世界は人間だけに限らず
様々な種が、平和な生活を営める
ように努力している真っ最中なのだ。
そうなったのも、タチアナが
鬼灯にそうなるように頼んだのと、
残された者達が尽力したお陰なのだろう。
そして、今まさに城の会議室では、
平和な世界を作ろうと努力している
者達がいた。
「で、アルナ。どうなの。順調なの?
アイラス島の開拓は。」
行儀悪く組んだ足を机の上に
乗っけた女性がそう問いかけた。
「姿勢が悪いのだよ。ヨーテル。」
ヨーテル
総司令官兼魔法使い隊長
職業魔法使い最高位職 大魔道士
レベル822
性別 女性
ちなみに、総司令官とは魔王に勝利した
人間達が新たに設置した役職で、
全部隊を統括する言わば職業者の中の
最高責任者である。
「うるさいわよ、バーゼン。
別にいいでしょ。私がここで一番
偉いんだから。」
バーゼン・ルーベルト
副総司令官
職業ガンナー最高位職 ガンマン
レベル730
性別 男性
元々、最初に総司令官に就いていたのは
長老だったが、彼が職業者を引退する際、
自分の次に力のあったヨーテルを
後継者に選んだ。
だが、流石に彼もヨーテルだけでは
不安だった為、学もあるバーゼンに
彼女のサポートをしてくれないかと
お願いし、バーゼンは副総司令官に
抜擢された。
「そんなものは関係ないのだよ。
人の話を聞く時は、それなりの姿勢で
聞くものだ。」
「はいはい、わかったわよ。
相変わらず固いわね。」
この五年でヨーテルも色々学んだのか、
彼女は大人しくちゃんと椅子に座った。
「あ、あの~、いいですか?」
すると、恐る恐るアルナが手を上げる。
アルナ
帝国精鋭隊
職業騎士最高位職 勇者
レベル614
性別 女性
タチアナに憧れ、彼女のことを
最も尊敬していたアルナは、
この五年で鍛練に励み、今では
ライバルだったビルメと先輩の
ドッペのレベルを追い越して、騎士の
隊長の座に就いた。




