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百十三話 エレディア村19

「これでいいのか?」



「あぁ、何から何まですまないな。

バフ。君達には随分世話になったよ。」




「しかし、本当にあの海底洞窟を

通って三日月島に行くのか?」



「えぇ。あ、安心してください。

あの巨大な岩は壊さないで

元の場所に置いておきますから。」



「いや、それはいいんだけど、

危険だと思うよ?」




「大丈夫さ。それに我々には

やらければならないことがある。」



タチアナは昔存在したという力持ちの

青年と同じ言葉を口にした。



「まあ、ずっとこの村でご厄介に

なるわけにもいかないですしね。」



俺とタチアナは今、海底洞窟の

入り口の前にいる。



俺達は次の島、三日月島に

向かうため、先ほど準備をしていた。



荷物にはこの村の人々が分け与えてくれた

食料と水。

そして、鎧を失くしたタチアナの

為に、簡易ではあるがこの洞窟で採れた

鉄鉱石から作った鉄製の服を

用意してくれた。



「ところでバフ。いいのか?

この小刀を貰ってしまって。」



それに加えバフはタチアナに

バフの愛用していた30センチくらいの

魚をさばくための石包丁を護身用に

譲ってくれた。



「いいんだ。俺は地上で

多くの人間が悪魔と戦っていても、

何もできない。だからせめて──」



「バフ。そんな考え方はよせ。

君達にはここに、君達だけの世界がある。

君らエレディアの民が地上のことを

気にやむことはないさ。

まあ、地上の戦乱がおさまったら、

いつでも地上に遊びに来てくれ。

そのときは我々が力の限りを尽くして、

エレディアの民をもてなそう。」



「あぁ、楽しみにしてるよ。」



「それじゃ、バフさん。お世話に

なりました。ばっちゃんさんたちにも、

そう伝えてください。」



俺はそう言ってバフさんに

握手を求める。



「......お兄さんとお嬢さんが

いなくなってしまえば、

村の子供が悲しむのだがな......」



バフさんは俺の次にタチアナと

握手をした。



「それについてはバフ、君が

なんとかしておいてくれ。

では、世話になった。本当に

ありがとう。」



「二人と、そちらの鳥も元気でな。」



「ピィ!」











「ふんっ。」



俺は微小ながら、腕に力を込める。




「やはり、何度見ても驚いてしまうな。」



「さぁ、タチアナ、ペルー。通ってくれ。」



「ピィ!」



俺が巨大な岩を持ち上げている

うちに、素早くペルーとタチアナが

海底洞窟に入る。



「よいしょっと。」



続いて俺も洞窟の中に入り、

入り口を同じように塞いだ。



「暗いな。」



「獣の皮と火打石をバフに

貰ったろう? 灯してくれ。

隼人。」



「了解。」



カチャ カチャ



石を素早く擦り、炎を

皮に移す。



そして、ぼわっと灯った炎の

光によって何年も閉ざされていた

海底洞窟が露になったのだった。

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