Folge 99 あたふた
「今わたしにできる最高の料理を食べてもらおうかな」
「あたしは最高に可愛くしとく!」
「僕、どうしよ。頭を三度洗いしておこうかな」
カルラはカルラらしくて頷ける。
タケルもまあ、末っ子らしい可愛らしさが感じられる。
……ツィスカよ。
らしいと言えばらしいけれども、余所行きの恰好をするだけじゃないか。
「ツィスカ」
「何兄ちゃん!」
「反応早いな」
「兄ちゃんだもん」
「……ありがと」
「どうしたの? キスして欲しいの?」
……ま、まあ無くはない、いや、そうじゃなくて。
「いやあのさ」
「可愛いってこと?」
……何で正解するのかな。
やっぱり思っていることがザルなのか!?
「んっと、可愛くしとくって言ってただろ?」
「うん! パパママ喜んでくれるよ?」
「それはそうだろうね、間違いない。でもね、すでに可愛いからさ、カルラみたいに何かしないの?」
目を見開き、口もぱぁっと開いて歯が見えてくる。
髪の毛まで広がっているような錯覚さえ感じさせながら。
「兄ちゃんたらあ、やっぱり可愛いんじゃない。あたしにメロメロね」
「……質問に答えていないぞ」
「え? あたしって可愛いこと以外にすることあったっけ?」
おいおい、可愛いだけで全てを押し通す気か?
「カルラも可愛いけど、料理を振舞うんだぞ? 可愛いにプラスするんだ、負けるんじゃないのか?」
「カルラがあたしと同じ可愛さだから、あたしはもっと可愛くしておくのよ」
「サダメ、ツィスカは……ね?」
カルラが後の言葉を目で伝えてきた。
いつも通りで問題は無いよと――確かにね。
「分かる。けど、オレとしてはさ……」
保護者代理として、ここまでの成果を見せたいというか。
弟妹の成長に加えて自分も認めてもらいたいって所もあってだな。
「ツィスカもカルラみたいに何かしているところを見せた方が……」
「……何かを? う~ん。兄ちゃんともっと仲良くなった所とか?」
「それは見せなくても分かると思う。こう、なんて言ったらいいのか……」
「サダメちゃん、ツィスカちゃんの思うままにさせてあげればいいんじゃない?」
さくみさがクスクス笑いながらこちらのやりとりを見ていた。
そして、美咲から提案をされる。
「思うままにか……」
「そうですよ。いつもツィスカちゃんらしさが爆発している所が良い面でしょ?」
爆発……炸裂と言ってもいい程だね。
「そうか。無理に何かできるようになった所を見せようとしなくてもいいのか」
「そうそう、考え過ぎだよ。サダメの長所であり短所だね。ボクは全部好きだよ」
「最後に愛を付け加えられると照れる」
「やった! 最近嬉しいんだよ~。サダメが好きになってくれているのが分かるんだよね」
あれ? 照れているな、オレ。
照れるということは、相手のことが好きだってことだよね。
好きだけど今まで照れた気がしなかったのに、あれあれ?
「そうなの! サダメちゃんの方から来てくれるようになったよね」
「それが問題なのよ、まったく。なんで兄ちゃんの前に現れたの?」
「私の前にサダメちゃんが現れたのが最初ですよ?」
「じゃあ兄ちゃん、なんで美咲ちゃんの前に現れたの?」
「ええっ!? あ、あの時は偶然美咲を助けただけで、それも覚えていないし」
「偶然に出会うなんて、絶対に運命じゃないですか! 名前の通り、ディスティニーです!」
「その呼び方はやめてくれ」
とある奴を思い出すし、元々好きじゃない。
「兄ちゃんが優しいことが裏目に出たのね。それなら許してあげる」
許されました……いや、悪いこと一つもしていないよね!?
だめだ、これはツィスカの戦略に乗せられている、修正しよう。
「とにかく!」
「いつも通りでいいんだよ。ボクたちが緊張しているのが違うだけ。でも、いつも通り」
あふん。
気合を入れて修正しようとしたら遮られた。
行き場を失った気合が変な声と共に息として漏れる。
スッキリしないじゃないか。
「サダメが一番緊張しているのかも。大丈夫だよ? ツィスカちゃんたち、立派だもん」
また見透かされている!?
オレの周りには見透かすスキル持ちばかり集まるのか?
弟妹が立派?
言われる通りなら、気にし過ぎているのかもな。
さくみさから見て立派だと言ってもらえるのなら尚更。
「サダメもね! 素敵なんだから自信持ってよ、未来の彼氏さん」
ひえええええ!
そんなこと言われたの初めてだよ。
み、未来のかれひさん……。
脳内で噛んじゃったじゃないか、妙に照れるな、それ。
彼氏かあ、そして彼女。
その辺をスッキリさせたいんだよね。
――――確かにオレが一番慌てているな、こりゃ。
いつもお読みいただきありがとうございます!
楽しんでもらえていますか?
なんと!
99話ですって。
次は100話ですよ!
三桁になるなんて想像していませんでした。
よろしかったらブクマ&評価をポチッと押してくださいまし。
書き手が読者様へ楽しみをお届けするための燃料になりますゆえ。
なにとぞ!




