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呟怖投稿作品集  作者: 木本葵
2/2

第2章 【嘆き】他

【嘆き】

ウォークインクローゼットの扉の下から大量の血が床一面に広がっていた。

そのクローゼットの中には数十万する毛皮のコートが並んでいる。

私は恐る恐る扉を開けた……

毛皮から血が溢れ流れていた。

急に頭の中で生きたまま皮を剥がれた動物たちの鳴き叫ぶ姿が次々と……


【欄間】

夜、ふと眼が覚めた。

始めは天井を見ていた。

ふと欄間に目を向けた……

誰かいる……

欄間のすき間から多くの目が私を覗いていた……


【怪談】

新しい怪談本を買った。

家に帰って早速読み始めた。

俺は怪談が大好きだ…… いや、大好きだった……

書かれている内容がまるで今現在の俺の部屋の描写。

本の中ではその部屋に悪霊が近づいていた……


【腕】

新しいリュックサックを背負って、友達と街に遊びに出た。

大きめのリュックなので、結構な量の買い物が出来ると貯金を下ろして、ウキウキしながら友達と遊んだ。

急に友達が立ち止ったので振り返る……

どうしたのか聞いたら……

「お前のリュックから腕が出てお前の首を絞めてるんだ」


【破魔矢】

近所の大きな神社で買った破魔矢を壁に飾った。

と言うのも、最近寝苦しい。

女の悪夢まで見るようになっていた。

これで安心して眠れると思ったが……

夢の中の女が言った……

「矢があっても弓がないよ」


【ラーメン】

俺はラーメンが好きで新しい店の発掘をして3連休でもあろうものならラーメン屋探しの旅に出る。

その日も初めてくる県でラーメン屋巡りをしていた。

1軒のラーメン屋が異常な程旨かった。

出汁は何かと厨房を覗き込んだ。

寸胴鍋から人の手足が飛び出していた。


【朝食】

彼との優雅な朝食……

庭に面したテラスで食べる朝食……

昨夜の雨のせいか空気まで美味しい朝食……

クロワッサンにハムエッグの朝食……

泥水をカップですくってカフェオレも仕上がった朝食……


【上には上】

その女の悪霊は、私に憑りつこうと手を伸ばしてきた。

私は、ほくそ笑んだ。

悪霊が私の頭を掴むが何故か不思議そうな顔をした。

奴は手が離れなくなってしまっていた。

それもそうだよ……

お前の魂は、もう私のものだ……


【台風】

強い雨台風だった……

人々は、その雨の量に阿鼻叫喚となっていた訳ではない……

そう、降ってきた雨が血だったから……

みんなは、ドス黒く濡れて、狂ったように逃げまどっていた……

雷が鳴った……

その瞬間、曇天一面に骸骨の顔が浮かび上がった……


【ヘラリ】

白い服の女は夜の闇の中から現れた。

どんどんと女は、近づいてきた……

異様に腕が長く、顔も髪で良く見えない。

どんどんと女は、近づいてきた……

私は、どうしても動けなくなっていた。

どんどんと女は、近づいてきた……

そして女の口がヘラリと笑った……


【腕(続編)】

私は、慌ててリュックを降ろすと中身を確認した。

腕はない……

「なんだよぉ、脅かすなよ。俺がそういう話苦手なの知ってっだろ」

財布もあった。

私は、中身を一応確認する……

小銭入れの所から目が覗いていた……


【視線】

最近、誰も私を見てくれない……

家族さえも見てくれない……

ごはんやお風呂や洗濯などはしてくれる。

学校では、テストの採点もしてくれる。

友達も話をしてくれ、笑ってもくれる。

なのに、誰も私を見てくれない……

私は、途方にくれる。


【人肉屋】

いらっしゃいっ!

今日は、どこの部位にします?

そぉねぇ~ 最近低血圧気味だから肝臓貰おうかしら。

何グラムです?

300グラムで。

はい、少し多目で。おまけねっ!


【くるくる】

猫の瞳がくるくる回る。

私の瞳もくるくる回る。

あなたの頭もくるくる回る。

世界の全てがくるくる回る。

くるくるくるくる。

猫の瞳がくるくる回る。

私の瞳もくるくる回る。

あなたの頭がくるくる回ってちぎれて落ちる……


【高瀬舟】

カロンは、舟を漕ぎながら訝しんでいた。

今、地獄に送り届けようとしている男は、弟を殺した罪を負っていた。

なのに彼は、なんて晴れやかな表情をしているだろうか……

カロンは、彼に理由を聞いた。

「弟は、彼の妻を殺そうとしていた。それを止められたから弟は天国にいける」


【曲突徙薪】

私は、あのストーカーに何度も殺されかけた。

もう嫌だ……

だから、あいつに殺されないように、先に首を吊った……


【モビィディック】

奴がやっと現れた。

3年前、息子と海水浴に行った時、その息子を食った奴だ。

そいつは、初めて見た時、何か分からなかった。

巨大でワニのようだがヒレを持った者。

それから私財を投げ打って奴を追った。

やっと奴と出会えた。

俺は銛を構えた。

今、復讐の戦いが始まる。


【煙草】

煙草をはさんだ指に激痛が走った。

あまりの痛さに煙草から手が離れる。

見ると、煙草が上体を曲げて、指に噛み付き、

肉を焦がしながら貪っていた……


【キャップ】

ペットボトルのキャップがついてくる。

気が付いた時はまだ4個だけだった。

今、私は、数万個のペットボトルのキャップを引き連れて歩いている。


【子どもは親からしたら、いつまでも心配】

父から定期的に電話がかかって来る。

「元気しとるんか? 最近はどうなんなぁ?」

私は、近況を語ると父は笑いながら、

「まぁ無理すなや」

と、電話を切った。

父は、30年以上前に他界しているのだが。

私は、もうすぐ他界した父の年齢になる。


【見ていた】

いつもは、すごく注意して機械を見て作業をしていた。

今、俺は、驚きそれを凝視している。

俺の腕は、機械に挟まれて、どんどんそこに飲み込まれている。

まるで喰われているみたいだ。

痛みはない……

あ~ 腕が無くなるんだなぁ~と、何故か呑気に、ただただ見ていた……


【ぽとぽと】

なんだろう? と、下を向いた。

左目がぽとっと地面に落ちる。

それを拾おうと手を延ばしたら、腕がぽとっ……

身体を見たら腐った部位から血飛沫が……

私は、身体の部位を落としながら歩き出した。

ぽとぽとと……


【解離】

目の奥でもう一人の自分が私をずっと見ている。

笑ってても泣いていても怒っていても、その自分は私を冷静に観察している。

だから本気で笑えないし泣けないし怒れない……

時々、記憶が無くなり知らない場所に立っている事もある。

時間も飛ぶ。

私は、不安の中で生きる……


【先端】

シャープペンシルの先端が、段々と私の左目に近づいてくる。

どんどんどんどんと近づいてくる。

近づいてくる…… 近づいてくる……

そして、眼球にその先端が軽く当たった。

このまま押し込みたい衝動に駆られる……


【An die Musik】

その音楽は、空から聞こえてきた。

世界中で……

雨の後の晴れ間が垣間見えた途端にだ。

音楽は、それを聞く人々の心を癒した。

歌声がした。

皆に平和をと……

武器を持った者は、それを捨てた……


【仲間外れは誰?】

小学生の時、私はAさんとBくん・Cちゃん、そしてΔさんとこっくりさんをやっていた。

次の日、Bくんの姿がなかった。

AさんやCちゃん、そしてΔさんに聞いても、Bくんの存在すら知らなかった。


【隣人】

隣人が「これ作りすぎたから食べて」と大きなタッパを持ってきた。

中を開けると、指や目玉や歯など、どう見ても人肉の部位の煮込みだった。

俺は、喜び隣人に感謝した……


【先史の支配者】

それは、悠遠の時代より、遥かなる地底にて微睡む夢から覚めた。

どれくらいの時が経ったのだろう?

空腹感がそれを支配する。

地上に住まう者の数は、申し分なく増えていると感じられた。

さぁ、食事の時間だ……

それは、地上へと這い上がって行った……


【中身】

俺は、奴の頭を斧でかち割った。

しかし、パックリと開いたその傷口から、すぐ次の頭が、白い膜を被って出てきた。

俺は、それもかち割った……

もうこれで何度目だろう?

どうやったら奴は、死ぬのか?

永遠に時が過ぎ行く気がした。


【永遠の伴侶】

もう見たくない……

そう思ったのは、いつの日だったか?

あれから数十年の時が過ぎたというのに、彼は、私の前にいる……

色々試してはみたが、彼は、私から離れない……

今、私は、死の床についている。

彼は、そんな私を見てにんまりと笑った……


【食べる】

食べる……

咀嚼する……

飲み込む……

美味い……

食べる……

咀嚼する……

飲み込む……

君はなんて美味いんだ……


【宗派】

俺は金縛りになっていた。

隣りには髪の長い女の幽霊。

俺はクリスチャンだったから一心不乱に主の祈りを唱えた。

そんな俺に女の幽霊は左手の人差し指を立ててチチチッと振った。

「やっぱ宗派違うとダメっすよねぇ~」

女の幽霊は大爆笑しながら消えた。

俺は少し涙目になった……


【黒い霧】

以前の話です。

私は、亡くなる人が分かっていました。

亡くなる方は、頭の周辺が黒い霧のようなものに包まれているのが見えていました。

今は、見えません。

最後に見たのは義母で、心臓病で入院しましたが助かり、今は元気です。


太陽が反乱を起こした。

街も森も人も燃え上がり、海は干上がった。

数年後、焦土と化した大地の中で、人々は彷徨った……

「私の身体はどこに行ったの? 私の身体はどこに行ったの?」

彼らを生命と呼ぶ者はもはやいない……


針の先を流れる血液……

喉がゴクりと鳴る。

私は、そのまま針を飲み込む。

喉の奥にそれは突き刺さる。

痛い……

私は、痛みの中で現実を受け取る。

ああ、私は生きている……


男が燃えている……

この男に何度泣かされてきたか……

周囲にガソリンの匂いが立ち込めるが、それがやけに心地よい。

心の中に草原が広がったように、清々しい。

その男は、私の隣りで泣きながら謝りながら、燃える自分を眺めている……


昔むかしの物語……

とある暑い国の王の前に男が現れた。

王は男に言った。

私は王であり神であると……

男は問うた。

あなたは王だが、あなたが神なら私は誰だ?

この日の内に男は処刑され、

その日の内に世界は水に覆われ、

あの日の内に国々は滅んだ。

昔むかしの物語……




読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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