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魔力酔いと鬼娘の現代ダンジョン攻略記  作者: 氷純
第二章 藻倉ダンジョン
37/92

第八話  裏切るどww

【サハギン】藻倉ダンジョン総合スレ78階目【許すまじ】


18:名無し、帰還したってよ

 こんな腐れ広いダンジョンで人探しとか無理くせ


39:名無し、帰還したってよ

 三階層は碌な地図もないのにどうしろと


41:名無し、帰還したってよ

 お手上げ


48:名無し、帰還したってよ

 魔力濃度急上昇

 これは死んでる


113:名無し、帰還したってよ

 最近、藻倉で死ぬやつおおいな


134:名無し、帰還したってよ

 日本中から凄腕を集めました!

 結果、死者多数で氾濫が起きました!

 アホかと


141:名無し、帰還したってよ

 慣れないダンジョンで下手打ったんだろ


175:名無し、帰還したってよ

 いくらなんでも今月に入ってから死者多すぎ

 裏ギルドが関わってそう


177:名無し、帰還したってよ

 裏切るどwww


179:名無し、帰還したってよ

 >>177こいつサハギン


187:名無し、帰還したってよ

 >>あ?

 サハギンが罵倒語だと思ってんのか差別主義者

 裏切るどなんてありもしない物信じるような馬鹿は差別主義者にしかいない

 そもそも、ダンジョンは神が作った試練なわけ

 サハギンはダンジョンに人を連れ帰って神の身元に送ってくれるいわば天使なわけ

 そんなサハギンをゴミと同列に語るとか、差別主義者はマジで頭おかしいな


190:名無し、帰還したってよ

 うわ真正だった

 えんがちょ


192:名無し、帰還したってよ

 >>190逃亡ですか?www


355:名無し、帰還したってよ

 住民の避難開始

 冒険者の指定区画外への移動を禁止

 第三回氾濫いっくよー


365:名無し、帰還したってよ

 炊き出ししてる職員の人に聞いたら

 今回の氾濫に参加する冒険者は五百人超えらしい


378:名無し、帰還したってよ

 日本各地から集めた凄腕ばっかりって話なのに、ロリに介抱されてる魔力酔い男を見たんだが


379:名無し、帰還したってよ

 乙山のキノコ狩りじゃね?


382:名無し、帰還したってよ

 ショタ連れのキノコ狩りか

 例の天使ちゃん動画の作成者


392:名無し、帰還したってよ

 天使はサハギンだって言ってんだろ差別主義者


394:名無し、帰還したってよ

 >>392はあ?お前異教徒か?


397:名無し、帰還したってよ

 >>394なんだよ。異教徒って

 ホント差別主義者は会話噛み合わねぇな


405:名無し、帰還したってよ

 あぁもうめちゃくちゃ


408:名無し、帰還したってよ

 捜索隊が全員帰還したらしい

 死体も遺留品も発見できずで、行方不明扱いだと


412:名無し、帰還したってよ

 天狗の集団見たんだけど

 霊界のどっかの道場からきたらしい


416:名無し、帰還したってよ

 その天狗はクラン『鞍馬』って霊界出身の天狗と日本人の混成クラン

 氾濫が起きる場所に急行する傭兵みたいな奴ら

 藻倉は飛行魔物のコウモリもいるし、天狗がいるのは嬉しい情報だな

 というか、霊界って今も通行止め?


436:名無し、帰還したってよ

 冒険者の配置が告知された

 お前ら喧嘩してないでこの先生き残れよ


441:名無し、帰還したってよ

 スレでは色々とあったが戦場に持ち込むのはNG

 ルールは守れよ

 おれはお前ら大好きだからな!


445:名無し、帰還したってよ

 >>441こいつ最強にきしょい


451:名無し、帰還したってよ

 前衛後衛で分ける配置か

 こういうのってどこが作戦立案してんの?


478:名無し、帰還したってよ

 >>451

 異世界貿易機構が自衛隊と協議して決めるらしい

 順当に考えて、自衛隊が決定権持ってるんだろうけど、

 冒険者はあくまでも民間人だから自衛隊が直接指揮できないんだろう



ダンジョンで消えた冒険者の目撃情報を集めるスレ3


122:名無し、帰還したってよ

 藻倉ダンジョンで今月に入ってから死者多数

 遺留品を回収された冒険者の目撃情報もいくつか出てる


127:名無し、帰還したってよ

 何が起こってるっていうんですかねぇ


210:名無し、帰還したってよ

 118:この手紙を七人の名無しへ

  ダンジョン関連のアンデッドについて情報纏めてて気づいたんだけど

  アンデッドは同時に二体までしか確認されてない

  何者かと話していたって証言もあるけど、何者かはアンデッドだと確定できない

  ということは、ネクロマンサー的なのがいるくね?


 オカ板の書き込みで見つけた

 確かに、何人行方不明になっても目撃証言は二人か一人

 書き込みはネクロマンサーと言ってるけど、

 裏ギルドが関わってるなら魔力強化した道具での変身能力とかもありうる


225:名無し、帰還したってよ

 変身能力の魔力強化ってあんの?


228:名無し、帰還したってよ

 >>225少なくとも公表はされてない

 ヤバげな能力はかん口令が敷かれてるって話もあるから

 無いと断言はできないけどな


231:名無し、帰還したってよ

 まだこのスレあったのかよ

 しかも裏切るど説前提でレスしてる奴しかいないしwww


235:名無し、帰還したってよ

 裏切るどなんかあるはずないって論理的に考えらんないかね

 冒険者になれるのは日本人のみでしかも審査もある

 魔力強化には異世界貿易機構で手続きを踏む必要があるから自作も難しい

 しかも、アンデッド騒動は沖縄から本州各地にまで頻発してる

 二人組の冒険者でアンデッド騒動が起きた場所に必ずいる冒険者なんて

 存在してたらとっくに警察に目を付けられてるはず


240:名無し、帰還したってよ

 藻倉ダンジョンにまだ裏ギルドの犯人が残ってるなら

 氾濫で冒険者の同士討ちとか起きるんだろうか

 背中から狙われるのは嫌だよな


242:名無し、帰還したってよ

 犯人はこそこそ動いてるみたいだし、氾濫で活動はしないだろ

 下手すると自分まで氾濫に巻き込まれて死ぬしな



 杷木儀はきぎは掲示板を眺めながら、缶入りコーンポタージュを飲んでいた。


「杷木儀さん、どうせ掲示板を見るなら公式の方の保守を手伝ってくださいよ」

「担当者に言ってください」

「氾濫の前で問い合わせが多いんですって。本当、頼みますよ」

「ちょっと出てきます」

「え? ちょっ杷木儀さん!?」


 見捨てないでと後ろから声を掛けられるが、杷木儀は無視する。

 中にトウモロコシの粒が残ってしまった半端な空き缶をゴミ箱に放り込み、杷木儀は廊下を歩く。

 ポケットの中に入れた軍用品のライターを弄びつつ、建物の外に出た。

 見上げた空は快晴だ。氾濫を迎え撃つ事を考えると良い日和である。

 魔力濃度はすでに危険域に達し、プレハブ小屋で寝泊まりする前線組の冒険者たちもピリピリとした緊張感に包まれていた。

 だが、杷木儀が外に出たのはプレハブ小屋で生活している前線冒険者を見るためではない。目的地に向かって歩き出した杷木儀は駐車場でふと足を止め、周囲を見回した。

 戦闘の邪魔になるため、駐車場からは全ての車が移動させられている。そのため、防犯カメラの配置なども詳しく見る事が出来た。


「五十台以上の防犯カメラの穴を縫うのは至難の業でしょうね」


 ダンジョン前の駐車場に置かれた防犯カメラは魔力強化品の持ち出しを監視するためのものだ。

 クラン『不動闇王』の捜索から帰ってきた南藤に指摘された防犯カメラの穴は確かに存在していた。人目を気にしなければかいくぐる事は確かに可能だろう。

 ただし、途中までは、の話である。

 異世界貿易機構の職員である杷木儀は防犯カメラの穴を埋めるように配置されている隠しカメラの存在を知っていた。

 やましい所のある人間ならばなおさら、監視カメラに映らないように行動する。ならば、逆手にとってカメラ網の穴に高解像度のカメラを仕掛けておけば、その人物の姿を鮮明にとらえる事が出来るという寸法だ。

 また、幾つかの監視カメラは魔力強化品であり、目で見たレンズの幅と記録される映像の幅が合っていない。外見よりもはるかに広域を撮影できるカメラである。

 だからこそ、警察の方もクラン『不動闇王』の証言を見間違いだと一蹴したのだ。

 しかし、クラン『不動闇王』が行方不明になった今回の事件がどうしても引っかかっていた。

 杷木儀は思うのだ――口封じされたのではないか、と。

 過去の行方不明事件と噛み合わない目撃証言を調べていくと、事件の被害者は有名な冒険者である場合が多い。特殊な武装を持ち、戦闘能力よりもダンジョン攻略に力を発揮する冒険者ばかりだ。

 何者かが、ダンジョン攻略の妨害を行っているのではないか、という発想に行きつく。

 もっとも、犯人の目星はおろか本当に居るのかすらも分からないのだ。公務員故に行動に国家の意向が絡んでしまう杷木儀に出来る事は少ない。

 駐車場に背を向けて歩き出した杷木儀が向かった先は、自らが藻倉ダンジョンへと勧誘した冒険者、南藤と橙香の泊まるホテルだった。

 ダンジョン攻略に力を発揮する冒険者といえば、杷木儀の脳裏に一番最初に浮かんでくる人物である。

 藻倉ダンジョンに誘った手前、行方不明事件に巻き込まれる可能性の高いあの二人には知らせておくべきだろう。

 到着したホテルは四階建ての建物だった。

 民間人は避難しているためホテルの従業員もいないが、冒険者には格安で提供されている。事前に聞いていたホテルの部屋へ向かえばすぐに会えるだろうと、自動ドアを潜った。

 しかし、ホテルのロビーに目当ての二人がいるのを見つけて、杷木儀は歩み寄る。


「南藤さん、橙香さん、少しよろしいですか?」

「杷木儀さん? ごめんなさい、いまちょっと芳紀の具合が……」


 橙香がぺこぺこと頭を下げる横で、南藤がソファに横になってぐったりしていた。


「呂律も回らなくなってて。バフォメット戦の時より酷いかも……」

「それは心配ですね。ですが、氾濫前に戦力となり得る冒険者を指定区画の外には出せないものですから……」


 我慢してもらうしかない、と突っぱねるのはあまりにも酷な気がして、杷木儀は言葉を濁す。それくらい、南藤の体調は見るからに最悪だった。

 この様子を見れば、行方不明事件を起こしている犯人がいたとしても南藤を狙う事はなさそうだと思うほどだ。

 それでも、話だけはしておこうと、杷木儀は口を開いた。


「実は――」



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