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とても幸せに暮らしています~私とモフモフと過保護の日常~  作者: シーグリーン
暇を持て余した神の使いの就職活動編
19/22

17 幸せな時間を共に

最終話

 




 さっきローザさんが一緒に暮らそうと言ってくれた時どう断ろうか悩んだ。

 気にかけてくれて嬉しかったけど。



 守役様に呼ばれたというのは嘘だ。

 チカチカさんに相談したかったので2階に行く事にしたのだ。

 複数のもふもふこじんまりした生き物の毛をボサボサにしてやろうとも思ってたけど。


 それに一族ではない人が知ってしまうと身に危険が及ぶかもしれないのでここまでバルトザッカーさんには秘密にしてきたが――アルバート家の人は色んな意味で安全なので除く――その辺についても確認したかった。



 そのチカチカさんへの相談により、私は御使いとして神の島で暮らすという事がどういう事なのか改めて考えさせられる事になった――









「――チカチカさん、便利能力ありがとうございます。いや~ばれちゃったばれちゃった。バルトザッカーさん大丈夫かなあ? あとローザさんの提案には力の制御があれやこれやでごめんなさいしようかと」


「はるはずっとここにいるからはるが望めばその人間は安全」


「あ、なるほど。私の肩書『御使い』でしたね。じゃあバルトザッカーさんは安全ですね」


「はるは人間達の一生を観る事が出来るようになった」


「んん? 見る?」


「人間の寿命ははるに比べてあまりにも短い」


「……そうですね」


「はるのだらだら具合だとあっという間に人間は命を終える」


「へい。なんかすんません」


「街の人間が好きなら後悔しないように」


「はい……」


「おろおろの素はもうすぐ命を終える」


「え!? ギルバートおじいちゃん!?」


「事故や戦なんかの外的要因が何も無ければあと30年で終わる」


「長っ!」


「他の力の強い老人はあと70年くらい。3人分は200年。人間にしてはしぶとく生きる」


「めっちゃ生きる! 特にサンリエルさん!」


「はるもそのうちあっという間に感じるようになる」


「……そっかあ……うん、そうですね。そうだそうだ。そういう事になりますよね。うん、そうだそうだ」


「変な顔」


「聞こえません」








 という事で私は好きな人達が生きている間、好きに生きて後悔しないようにする事にした。

 今までも結構好きに生きてきたけどさらに好き勝手する。



 なので拠点でバーベキューをする事にした。

 BBQ祭り。肉祭り。


 どうしてバーベキューなのか自分でもわからないが、「そうだ、バーベキューしよう」ってなったのだ。

 日本人が京都に行くようなもん。


 御使いである事は知られてしまうと今までの様に気楽に接してもらえないだろうから秘密にはするけどね。

 アレクシスさん達やライハさんに敬語を使われるなんてもぞもぞしかしないし。


 サンリエルさんにカセルさんアルバートさんがいなくなった時の事は今は考えたくない。








「ヤマチカちゃん、もちろん私達も参加するわ! 図々しいお願いなんだけど……父達にも声をかけて良いかしら?」


「もちろんです」



 あの陽気なお兄さんがいればもっと楽しいバーベキュー祭りになるだろうな。

 アルバートさんは困りそうだけど。



「ローザさん、一緒に暮らせない理由を後で説明しますので……すみません……」


「気にしないで」



 お気持ちはありがたく受け取っておきます。

 お孫さんも明らかに安堵してますし。



「仕事を終わらせてくる」

「私も部下に仕事を引き継いで来よう」



 ティランさんとサムさんも参加してくれるみたいだ。



「狩りに行ってくる!」

「魚は任せて!」



 あ、いや、お2人は量に関して心配なんであの……。ホラー再びになりそうだし。



「食材に関しては私とローザで管理しますからあなた達は加減するように」



 イシュリエさん助かります。



「店で食べ物を買って持ち込んでもいいか?」


「そうしてもらえると助かります。私の家で一度に大量には作れませんから」



 バルトザッカーさんはきっと色んな商人さんの所で買い物してくるんだろうな。

 優しい人だ。



 みんな当たり前のように参加前提で楽しそうに話をしながらお店の片づけを手伝ってくれている。



「お前達は家の場所を知ったからといって今後押しかけるような真似はしないように」



 ……トップオブお偉いさんがなんか言い出した。

 『自分の事を棚に上げる』の体現者がここにいるんですけど。



「ゆっくり静かに過ごしたいヤマチカの気持ちを考えるように」



 この人まじで鋭い刃付きのブーメランを投げてるな……。すごい。ざっくり刺さってる。

 カセルさんはニヤニヤしてるし……。



 サンリエルさんの発言でまた揉めそうだったので、真珠のアクセサリーだけ回収してこの場は解散する事にした。

 守役様をお待たせしてはいけないとばかりにみんなばっといなくなったので、こちらもボスナビを駆使して見つからないように地下トンネルがある小屋(店)に向かった。











「ここに家があるなんて……」

「私達の家に近いわね!」



 拠点に1番に到着したのはカセルさんとアルバート家の面々。ご近所さんだからね。

 パパさん達はジーリさんが呼びに行っているらしい。

 サンリエルさんの案内は断ったと聞いてローザさん強い、と思った。



「早過ぎましたか?」


「いえ、ヴァレンティーナさん達も呼んできてほしかったので。カセルさんにお願いしてもいいですか?」


「もちろん!」



 みんなでバーベキューだ。



「ヴァレンティーナも?」


「ここを建ててくれたのは引退した一族の方達なんです」


「それでこんなにも見事なのね」



 あれこれ説明しながら家の中をひと通り案内する。

 岩の柵の扉に関しては、この柵の内側にあるものが生きていく上で必要な事と、触ると大変な事になりますとだけ説明しておいた。





 そして参加者が集まって来るにつれてだんだんとにぎやかに。

 でもチカチカさんの便利能力が発動しているのでここが見つかる心配は無し。



 外でバーベキューをしたい割に、どうやって、とかその辺は曖昧なまま合流したヴァーちゃん達に相談したところすぐさまバーベキューが出来る設備を整えてくれた。かっこいい。

 ダニエルおじいちゃんはローザさんとイシュリエさんが揃っているのを顔をしかめながら見てたけど。



 キッチンでアレクシスさん達にイシュリエさんとティランさんが美味しい料理を作ってくれている間、私は外でバルトザッカーさんが買ってきてくれた串焼きをムシャりながら枯れ枝を集めた。

 林に囲まれてるから楽なお仕事。

 サンリエルさんがずっと付きまとって来るのはダニエルおじいちゃんが注意してくれた。

 ありがとう。


 こじんまり組も一緒に集めてくれたが、アルバートさんとギルバートおじいちゃんが拾おうと手を伸ばした枯れ枝を奪っていた。いらんことをするんじゃない。



 その後は家の中をじろじろ見回しているレオンさんをアルバートさんが止めるのを眺めたり、街の人に見つからないよう何度も行き来して持ち込まれた魚と肉の多さに驚いたり、サムさんが私にロッキングチェアを作ってくれているのを楽しく見学したりしている間にすべての準備は整っていた。

 言い出しっぺの私、大した事してない。ジーノ君の面倒を見てたりはしたけど。

 みんな仕事早過ぎ。





「守役様、本日はありがとうございました。……いつもお世話になっています。……えー乾杯」



 ぐずぐずな私の乾杯の挨拶でバーベキュー祭り開始。



「これ美味いな!」

「美味しい!」



 ガルさんとレオンさんがむしゃむしゃお肉を食べてる。

 そうでしょうそうでしょう。

 チカチカさんが作った焼き肉のタレですからね。すごいでしょう。


 私が作った事になってるからみんなから褒められた。でも自信満々な顔をしてたらチカチカさんに「調子に乗らない」と言われた。さーせん。



 そしてみんな祭壇のこじんまり守役様をすっごく見てる。嬉しそうに見てる。食べながら見てる。

 なんならリレマシフさんは食べずにうっとり見てる。

 でもアルバートさんは一生懸命肉を焼いては配っていた。

 良いパパになりそう。でもカセルさんがひょいひょい横から盗み食いしてるにの気付いてない。そういうとこ好きよ。



 で、お酒でほろ酔いになったので軽い気持ちで前にやったケイドロをしよう言ってみたところ、ぐいぐい食い付かれた。まじか。

 皆さん結構食べてるよね……? お腹大丈夫……?

 しかもアルパパが爽やかに腕まくりし出してびっくり。意外と武闘派なのかもしれない。ローザさんの息子だからまあ不思議ではない。



 ギルバートおじいちゃんは体力的な問題で『牢屋に入れられた人(泥棒)を助けに来た人(泥棒)がきちんと警察(鬼)を避けているか』の審判役&子守という謎のポジションに収まった。

 だって一族の人じゃないし。何度も言うがアレクシスさんとアビゲイルさんは除く。バルトザッカーさんも。



 そしてもちろん警察(鬼)はこじんまりと私とアルバートさん。あとこっそり大きい組。安定のメンバー。

 私は白フワを投げつける戦法でいく。


 2度目なのでクダヤの人達の入念な戦闘準備(に見えた)には少ししか驚かなかったが、アルバートさんがかなり緊張していたので緊張をほぐす為に一緒にストレッチをした。何故かカセルさんも。

 サンリエルさんの視線が痛かった。アルバートさんには余計に緊張されたし。





 結果、13人捕まえた。私と白フワが。アルバートさんゼロ。気にすんな。ルイスさんに慰められてた。気にすんな。

 サンリエルさんがまた最初に捕まった事についてひと悶着あったけどとても楽しかった。

 でも今度からは穴を掘って潜むのは禁止にしようと思う。あと罠も。

 ローザさんが可愛い孫相手に笑顔で罠を仕掛けてたらしいから。誰にも止められない。









 そして残りの6日間も特に問題は無く楽しく忙しく過ごした。



 クルトさんが連れてきたミナリーム貴族の穏健派トップの黒づくめおじ様がアクセサリーを3つも買ったのには驚いたけど。にこにこ現金一括払い。


 あと神の祝福持ちのガイアちゃんが言葉を発しはじめてひやひやした。

 確実に透明状態の島のみんなを指差してたし。

 はっきりとした声で「とり」って言った時は悲鳴が出た。キイロ隠れて! それともロイヤル!?







 ――私はここエスクベルで、変わらず幸せな、たまに怒られたり、たまにひやひやどきどきする日々を送っている。






暇を持て余した神の使いの就職活動編 ~完~

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