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とても幸せに暮らしています~私とモフモフと過保護の日常~  作者: シーグリーン
暇を持て余した神の使いの就職活動編
15/22

14 新装開店

 




「はる」


「…………」






「はる」


「…………」






「はる」

「へい」



 聞こえないふりがばれていたようで強制ファイティングポーズをとらされた。しかも立たされて。

 誰でも目が覚める。でもまだ寝たい。



「早く店に行くって言ってた」


「……はい」



 その通りなんだけど眠い。

 大事な用事がある前の日に限って眠れない法則が発動してしまったからだ。



 昨日はベッドに寝転がってるみんなを順番に撫で回している内にうっすらと空が明るくなっていた。睡眠用のクラシック音楽を流してるのに。

 最後はチカチカさんのマッサージで何とか寝たけど。早く頼めば良かった。



 目を覚ます為にマッチャにおんぶされて温泉に。

 いよいよ介護生活が近付いてきたな……。いやさ、地球での最後は少し介護されてたみたいだけどさ。

 おばあちゃんと健康な20代だと意味が違うっていうかさ。





「ああ゛~」



 温泉に入っている間中「ああ゛~」と言っていたが、チカチカさんに頭をごしごしやられない内にさっさと出てさっと服を着る。



「力の強いのが暗いうちから待ち構えてる」


「うわ、待たせちゃってるんですね。急ごう」



 今日のお店オープンに関しては前もって伝えてあるからな。そりゃスタンばってるか。ごめんごめん。



 高額な商品を扱う事になるので今回はオープンする日を伝えてある。

 さらに商売人っぽく非売品のアクセサリーも展示する事に。クダヤのお偉いさん達の購入は制限したが、他のクダヤの一族の人達の財力を考えてのことだ。

 今回は1週間程度営業するので目玉商品が早々に売り切れでは困る。



「小屋を見るのが楽しみです」



 これから向かう店の近くの小屋はトンネルを繋いだだけで現地視察はまだしていない。昨日確保してもらえたからだ。

 サンリエルさんが昨日の夜拠点近くでうろうろしていたから話を聞くと、申し訳なさそうに報告してくれた。

 こっちが無理言ってほんとごめんってなった。なので料理をごちそうしておいた。ただの焼き肉だけど。お肉を焼いただけっていう。

 でも嬉しそうにしていたので良かった良かった。






 拠点であの素敵呪文を唱え、地下トンネルを通って到着したのはお店のような内装の古めかしい建物だった。

 2階へ上がる階段もある。



「結構広いですね」


「小さいのが無かった」


「そっかあ」



 クダヤの人口はどんどん増えてるから場所を確保するのは大変だったろうな。

 申し訳ないけどありがたい。



「3人分は近くにいる」


「あ、それならちょうどいいから荷物持ってもらおうかな」



 ヴァーちゃん達が大きなジュエリーボックスを作ってくれたのでそれに商品を入れて持って来たが、まあ大きい。

 なので移動の際ばんばん足をぶつけてしまうのだ。これを持った私はプロのメイクさんみたいだけど。


 お願い事をした方がサンリエルさんは嬉しいだろうし、今日は何となくいつもより優しくしたい気分。

 優しくするのが荷物を持ってもらう事になるっていうクダヤの領主にしか通用しない優しさ。



 小屋(お店)探索はまたにして外に出るとすっとサンリエルさんも姿を現した。



「おはようございます。これ持ってもらえると助かります」


「お任せ下さい」



 挨拶とセットの流れるようなお願い事にもサンリエルさんは動じず流れるようにジュエリーボックスを持ってくれた。やっぱり。



 普段よりサンリエルさんに話しかけながらお店に向かうと、店内にはすでにお偉いさん達がぎっしり詰まっていた。

 バルトザッカーさんもいる。

 身の安全の為とはいえ、街の代表者の内一族ではないバルトザッカーさんだけヤマチカの生き残り設定を知らず蚊帳の外状態なのをみんなそれぞれ気にしてたから連れて来てくれたんだと思う。



「おはようございます。お待たせしてしまってすみません」


「おはよう。少し寝癖がついてるわね」



 今日も麗しのアレクシスさん、ローザさん、アビゲイルさんもキッチンから顔を出してきた。

 なるほど。これは確かに『力の強いのが待ち構えてる』と言える。


 アレクシスさん達にはお手伝いをお願いしてある。

 アクセサリーを身に着けてもらって広告塔になってもらおうという魂胆。なのでレンタル用のアクセサリーを身に着けてもらう。


 警備の面でも広告塔としても心強さの最高レベル。

 後でジーリさんとギルバートおじいちゃんがジーノ君を連れて来てくれるらしいし楽しみ。



「あ、あの……! すみません! 家族が早く来てしまって……!」


「おいおい、族長達も早く来てるぞ~」


「あっ!! 違います、そういう事じゃなくて……!」


「気にすんな! わかってるぞ!」



 うん、今日もカセ&アルは良い。和む。あとネコ科も。



 みんなに注目されておろおろしている甥っ子アルバートを助けるべく、サンリエルさんにジュエリーボックスをオープンしてもらう。


 すると予想通りみんなは真珠のアクセサリーに釘付けに。

 わかる。すごいよね。



「御使い様に献上したというのがこれか…………」



 1番目立つ国宝級のじゃらじゃらしたネックレスを見てサムさんが呟いた。サムさんは技の一族なのでそりゃあ気になるんだろう。



 これは御使い様に献上したものとは色違いのペアネックレス、という設定になっている。

 1週間限定で店に飾りその後は神の持ち物展示会場に特別に飾られる予定だ。


 単純にチカチカさんとナナが作るものが美しいので見て欲しいという気持から展示する事にした。目の保養。



「……これは人が詰めかけてしまって商売にならないんじゃないかしら」

「そうねローザ」

「誘導案内をする人員が必要か」

「風の族長、我々が担当致しますが」

「担当する人間は一族の人間だな!」

「水の一族も使っていいわよ」



 なんか力の強い人達が真剣な顔して話し合いを始めた。



 店主の私はアレクシスさんに前髪の寝癖を直してもらってるだけっていう。

 鏡を見て身だしなみは整えてきたつもりだけど美の女神からしたらまだまだなんだろう。

 前髪の生え癖は頑固だし。



 私の髪を触っているアレクシスさんにおろおろしながらやめるように言ったり、アビゲイルママに自分の身だしなみもついでのようにチェックされて恥ずかしそうにしているアルバートさんを眺めている内に話し合いは終わったようだ。良い時間だった。



「これを」



 突然サンリエルさんにバイトのシフト表のようなものを渡された。メンバーは街の代表者6名プラス領主。

 こころなしかサンリエルさんの時間帯が多いような……。



「何か問題があればその時間の担当の者に。外には近くの詰所から騎士を2名警備にあたらせる」


「あ、ありがとうございます……」



 この人達すごいや。優秀さを遺憾なく発揮してシフト表組んでた。




 その後はみんなで協力して商品を陳列し、クインさんとティーさんの依頼書絵画をセンス良く(イシュリエさんの指示)飾ったりした。

 お偉いさん達からも許可が出たので注文の際の依頼書をオーダーメイドの参考としてこれまたセンス良く配置した。

 ガルさんのは飾るというか参考資料として活用したかったし。



 気付けば見知らぬ『神の使いの帰還』とタイトルが付きそうな絵画が飾られてあったが、確実にあの人なのでコメントは後からにしようと思った。






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