コタツの中でイチャイチャ
この作品は、新春企画として、お送りした物です。
相変わらず、チラシの裏でありますが、どうかお楽しみ下さい。
年が開けた、正月の昼間。
ある家で、少年が自分の部屋で、コタツに入ってTVを見ていた。
「あ〜、何も無いなあ〜」
コタツに入りながら、TVのチャンネルを、色々と切り替えたが。
正月特番ばっかりで、つまらなくなった少年が、コタツに突っ伏せた。
「はあ〜、かえって正月の方が、TVがつまらなくなるんだよなあ〜」
コタツに突っ伏せたまま、独り言を呟く。
そうは言っても、別にTVを消す訳でもない。
つまらなくても、消して暇を弄ぶよりもマシである。
それなら、本を見たり、ネットを見たりすれば、良いじゃないかと思うのだが。
漫画を含めた本は、みんな読み飽きたし。
ネットは、一応部屋にPCがあるのだが、PCがデスクトップタイプな上、LANが有線なので。
コタツを出て、机に座って見ないといけない。
それは、コタツの魔力に取り付かれ、動きたくない少年には考えられなかった。
まあ、要するに面倒くさかったのである。
「(コタツに入っていたら、その内、眠くなるだろう)」
少年が、そんな事を思いながら。
今度は、背後にある、一時期流行った、”人をダメにするソファー”に倒れこんだ。
*********
そうやって、コタツに入りながらクッションに横たわっていたら。
予想どおり、次第に、睡魔が襲ってきた。
そして、ウツラウツラとし出した頃。
「(コンコンコン)」
「ん?」
「和くん、入って良い?」
「良いよ、美貴姉さん」
部屋をノックする音が聞こえたので、少年が返事をした。
少年が返事をすると、ドアが開くと同時に、一人の少女が入ってきた。
美貴と呼ばれた少女は、肩までの長い髪をした、上品な顔立ちの美人で。
クリーム色のセーターに、紺のミニに黒いストッキングと言う服装であり。
外から来たのであろうか、腕には、コートを掛けていた。
美貴は、姉さんと呼ばれたけど、実の姉ではなく。
隣の家の幼なじみである。
一つ違いで、仲が良いお隣さんだった上。
物心付いた頃から、姉弟同然に育ったので、実の姉弟の様な関係だった。
そして少年は、和人と言う名前だが。
美貴は、”和くん、和くん”と呼んでいた。
「ううっ〜、寒かった〜。
ねえ、和くん、入れて〜」
「ああ、ちょっと〜、姉さん〜」
着ていたコートを、部屋の隅に置いたら。
起き上がった、和人とコタツの間に、美貴は強引に入り込もうとする。
「もお〜、姉さんは〜」
「てへっ、和くん良いでしょ♡」
文句を言う和人に対し、”テヘペロ”をして誤魔化す美貴。
学校では、清楚で上品な美人として、人気の高い美貴であったが。
実は、結構お茶目な部分があり、そんな部分は、和人にだけにしか見せなかった。
つまり、それだけ美貴は、和人の事を信用していた訳であるが。
しかし二人は、ただの幼なじみではなかった。
実は、この二人、恋人同士なのだ。
二ヶ月ほど前に美貴が、和人に告白して恋人になった。
ただ、その告白は、ロマンチックな物ではなく。
美貴が、和人にまとわり付いていた時に、ポロっと告白したと言った感じの物なのだが。
しかし、以前から幼なじみ以上の感情を持っていた和人は。
それを聞いて、OKしたのである。
それ以降、幼なじみから恋人に、ステップアップしたのであるけど。
お互いに恋人になっても、相手を呼ぶときは。
相変わらず、昔のままの呼び方ではあった。
「はあ〜、暖かいなあ〜」
和人の足の間に座りながら、コタツに入った美貴が。
気持ち良さそうな声を漏らしつつ、面白くもないTVを見ていた。
美貴は、コタツの中で足を伸ばし、体を背後の和人に預けている。
つまりは、和人を座椅子にしていた訳である。
一方の和人の方は、美貴に寄り掛かられていたけど。
女の子の体重なので、大した苦痛は無く。
それどころか、密着した感触を堪能していた。
その内、暑くなってきた美貴が、着ていたセーターを脱ぐと。
下に着ていたシャツの姿になり、和人に寄り掛かる。
着ている物が薄くなったおかげで、より心地良い感触を感じる様になった和人は。
美貴の、抱き心地が良い体に腕を廻し、抱き締め出した。
・・・
そう言う風に、二人でくっ付きながら、TVを見ていたら。
「ねえ、和くん」
「うん?」
「何か、少し肌寒くなったから。
もっと、ギュッとして暖めてちょうだい」
和人の右肩に、頭を乗せていた美貴が。
和人を仰ぎ見る様に顔を上げながら、和人にそう話しかけた来た。
セーターを脱いだら、今度は逆に、寒くなった様だ
美貴を、覗き込むように見ていた和人が。
それを聞いて、着ていた部屋用のジャンバーの前を開いた。
そして、自分に寄り掛かっている美貴を、ジャンバーの中に入れると。
ジャンバーの前を閉じて、その上から抱き締める。
「和くん?」
「この方が、暖かいでしょ?」
「・・・うん」
ジャンバーの中の、暖かさを感じた美貴が、目を閉じ。
ウットリとした声で、和人に返事をしたのである。
・・・
それから、しばらく、和人のジャンバーの中で温まりながら。
和人の肩に頭を乗せ、マッタリしていると。
「和くん・・・」
「どうしたの、姉さん?」
「・・・」
不意に、美貴が和人に尋ねてきて、和人が返事をするけど。
美貴は、潤んでボンヤリとした瞳で、和人をただ見詰めるだけだった。
しかし、それを見た和人が、亜貴の望んでいる事を理解した様だ。
つまり、美貴は和人にキスを、おねだりしていたのである。
それが分かると、和人が亜貴に顔を近付け始めた。
和人の顔が、近付き始めるのに合わせて、美貴が目を閉じる。
だんだん二人の距離が短くなり、そして。
「ちゅっ♡」
お互いの唇が、接触した。
「ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」
接触すると。
今度は、お互いの唇を啄む様に、キスをし始める。
和人は、左手を美貴の後頭部に持っていき。
動かない様に、固定した。
啄む様なキスから、次第にエスカレートし。
お互いの舌を舐め合ったり、絡め合ったりと言った。
濃いディープキスへと移行した。
そうやって、しばらく、濃厚なディープキスをすると。
美貴が、満足したと思われる所で、和人が離れて行く。
「・・・和くん」
完全に、唇が離れた所で、和人が美貴を見てみた。
すると美貴が、キスをする前よりも焦点の合わない目で、和人を見ながら。
「気持ち良かったよぉ〜!」
小さく叫び、和人の首筋に、額を押し付けて甘えてきた。
それを和人は、右手で体を抱いて固定しつつ。
左手で、美貴の頭を、櫛を通す様にして撫でる。
「はぁ・・・」
その和人の手の感触を受けて。
美貴が、甘く切ない溜め息を付いた。
「そんなに、気持ち良かったの?」
「(コクッ)」
「それは、良かった」
和人の問いかけに、美貴が少し恥ずかし気に頷く。
美貴の、その返事を聞いた和人が。
微笑みながらも、なおも撫で続ける。
こうして、美貴は、和人のジャンバーに包まれた状態で。
キスの甘い余韻に浸りながら、和人の優しい愛撫を受けていた。
*********
それから、シットリとした時間が過ぎて行き。
暑くなった和人が、コタツから少し出てから、後ろにある。
“人をダメにするソファー”に、仰向けに寝っ転がり、ダメになっていた。
そして、美貴もまた、コタツから少し出た状態で。
和人の右脇に体を入れ、頭を肩に乗せた状態で腕枕をされていて。
腕枕をした和人以上に、ダメになっていた。
更に美貴は、腕枕をされたまま、まだ頭を撫でられていたので。
ますます、ダメになっている。
「姉さん、苦しくない?」
「ううん、和くんは重くない?」
「ぜんぜん、乗られても平気な位だよ」
「ふふふ、そんな事言ってると、乗るよ〜」
美貴がそう言った途端、少し身を起こし。
それから、和人の上に乗った。
美貴は、和人の胸の上に頭を置き。
うつ伏せになる様、和人の上に乗ったのである。
「・・・ねえ、また撫でて・・・」
和人の上に乗っかったので、中断された愛撫を、切ない声でおねだりする亜貴。
その声を受けて、美貴への愛撫を再開する和人。
今度は、上に乗っかった美貴を抱き止めつつ。
右手で、ポン、ポンと背中をゆるく叩いたり。
同時に左手で、指先を使い、頭を揉むように撫でていた。
「・・・あぁ・・・」
再開された愛撫を受けた、美貴が。
夢を見るような声で、感に耐えない溜め息を付く。
その余りの気持ち良さに、和人の胸に頬ずりをしながら、体を撫で回し始める。
その細くて柔らかい、指の感触を感じた和人も。
くすぐったい様な、気持ち良い様な、微妙な感覚を感じていた。
「・・・ねえ」
「どうしたの姉さん?」
和人の胸の上で、とろけていた美貴が。
少ししてから、和人に話しかけてきた。
「私、和くんの事が大好きだよ・・・」
「うん、僕も姉さんの事が大好きだよ」
美貴がそう話しながら、和人に抱き付き、頬を胸に押し付け。
それを受けた和人もまた、美貴を抱きしめ返した。
そうやって、”人をダメにするソファー”に寝っ転がったまま。
二人が、止めどもなくダメになっていった。
・・・
こうして新春早々、一組のバカップルが。
コタツの中でイチャイチャと、甘ったるい事して過ごしたのであった。
最後までお読みになり、ありがとうございます。
詰まらない物ですが、皆様の暇つぶしの種になれば幸いです。
それでは皆様、次回作でお会いいたしましょう。