6話
中間テスト前日、にも関わらず生徒会室には生徒会メンバー、幸人を除く全員がいたのだった。
「今日は早く帰れるのにな〜…会長は何してんだろ?」
「言いだしっぺがなかなか来ないってどういうことだろうね〜」
そう、ここに呼び出したのは幸人だった。普段テストの前日は行事前でない限り、生徒会も休み。だが、今日は幸人が全員に招集をかけたため、言われたとおりに来たのだが…何故か幸人はまだ来ていなかったのだった。
「由奈ちゃん、これ見て!今季から始まったアニメなんだ!」
なぜ呼ばれたのかという疑問は頭の隅に追いやったのだろうか、風琴は由奈に携帯のを見せ、何かの画像を見せている。
「あ、それ見てる」
由奈は風琴ほどではないが、多少アニメや漫画を好む。なので、この2人は話が結構合うのであった。
「帰ろ〜」
そう言い、帰ろうとする伊緒里。ドアのところまで歩いていき、ドアを開けた瞬間。伊緒里は目を丸くし、後ろに一歩下がった。
「何帰ろうとしてるのかなー?伊緒里ー?」
ニコニコと笑顔でドアのところに立ち、笑っているにも関わらず目が笑っていない。そんな目で幸斗は伊緒里を見ており、見られている伊緒里はまるで虎に睨まれている兎のようだ。
「ご、ごめん、幸斗。ちゃんといるから、怖いよ!!」
叫ぶように言い、座っていたところに戻る伊緒里。その様子を見ていた3人は、心の中で、ご愁傷様です、と思うのだった。勿論、声に出しては言えない。今の幸斗を敵に回したくはないのだから。
「はぁ…まぁ、遅くなった僕も悪いけど…」
少しため息をつきながら、少し目を光らせているように、風琴は思えた。勿論、風琴だけでなく他の3人も思ったのだが。
「それで会長、なぜ招集をかけたのでしょうか?」
風琴は周りを気にせず、幸斗の様子もあまり気にすることなく聞いた。勿論、他の3人も気になっていたことであり、伊緒里と遙斗は、内心ほっとしたのだった。
「ああ、そうそう。中間が終わったら生徒会メンバーで体育祭お疲れ様を兼ねて遊園地に行こうと思ってね〜」
それを聞いた瞬間、伊緒里と遙斗は固まった。由奈と風琴は余り気にした様子はなく、ただ楽しそうだなと純粋に思ったのだったが…
固まっていた遙斗が、はっと我に返り、幸斗を睨むように見たのだったが、その理由は遙斗と幸斗しか知らないのだった。伊緒里はと言うと、何か言いたげな表情で幸斗を見ていただけであった。
ありがとうございました!!
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