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2話

2人がグラウンドの片付けにいるその頃の生徒会室では…


「すみません、遅くなりました」

ドアを開け、入ってきた風琴。少し走ったのだろう、呼吸が荒い。

「大丈夫大丈夫、そんなに走らなくてよかったんだよー?」

「本当ですか…ありがとうございます」

少しズレた眼鏡を直し、席に着く風琴。風琴はあまり男子と話さない為、少し挙動不信になったりする。最近はかなり柔らかくなったのだが…幸斗と伊緒里とは他学年というのもあってかやはりまだどこか硬い。彼女が友人と話すときはすごくテンションが高いのだが…

「これが集計しなきゃいけない資料。ごめんね〜伊緒里がめんどくさがってさぁー…」

「いえ、大丈夫ですよ。楽しいですし…」

さっさと作業に入る風琴。そしてどんどんできていく集計。

「阿藤氏〜、梅ソーダいるー?」

「いる」

風琴のことを阿藤氏と呼ぶのは遙斗ただ一人だ。遙斗は親しくなった人には自分だけが呼ぶ名前をつけてそれで呼んでいるらしい。

「2人とも仲いいよね〜…阿藤さんもうちょっと話そうよ〜…」

幸斗は少し手を止めて話しかける。

「え、はい。わかりました?」

一通りの作業を終え、幸斗を見る風琴。目を合わせることはしない。

「あ、そういや2人共、伊緒里と瀬川さんの進展はどうかな?」


いきなり話を変えてきた幸斗。そう、この3人は伊緒里と由奈を引っつけようと日々作戦を練っているのである。何故そんなことをすることになったのかというと、それは1ヶ月前に遡る…






夏休みも終わりに差し掛かってきた頃、由奈は風琴を誘い、2人で遊びに来ていた。その時由奈はどうしても風琴に聞いて欲しい話があったのだった。喫茶店に入り、由奈が風琴に言ってきたのはこういう内容だった。

「風琴ちゃん、実は最近戸口先輩を見ると心臓の鼓動が早くなる気がするんだけど、なんでだろう?」

それを聞いて風琴は驚いた。前々から由奈が鈍感であることはわかっていたのだが自分のことになるとそれ以上に鈍感だということに。風琴はその時、それは恋だと言えばよかったのかもしれない。だが、やはりそれは自分で気づくべきだと思った。だからその時は当り障りのないように返答をしたのだった。

その出来事から数日後、幸斗から風琴と遙斗に連絡があり、3人で集まることになった。何故2人を誘わないのだろうと思ったが、書記と会計の仕事関連だと思いあまり気にしなかった。だが、本当の話はそういうのではなかったのだ。

「伊緒里が…初恋したかも」

唖然とした遙斗。そして相手が由奈であると知ったとき、思い切って以前の出来事を話してみた。そうすると2人はなにやら企み始め…

「2人の恋を応援しようか!」

と、幸斗の目はキラキラと輝いていて、遙斗はというと

「リア充が増えんのか…まあいいけど…応援しますか」

と、なにやらやる気になった。そして流されるままに風琴もその中に入ってしまったのだった。

それからというもの、たまに3人で報告をしている。なかなか2人が進展してくれないのだが…微笑ましく3人で見守っているのだった。




そして現在(いま)にいたる。

「特にないと思います」

「ないっすね〜…」

同時に答えた遙斗と風琴。2人共驚き、少しお互いの顔を見てから視線を逸らした。

「すごい息ピッタリ」

笑いながら幸斗が言う。幸斗としてはこの2人も中々鈍感だなと思っているようだ。

「たまたまっすよ〜」

「そうですよ、偶然です」

「はいはい、じゃあしばらくはまた見守っておこうか〜」

と、そんなこんなで今日の作戦会議は終わった。作戦会議と言ってもそこまで素晴らしいものでもなく、報告会をしているだけみたいな感じになっているのだが…

「じゃああの2人が戻ってくるまで続きしようか」

幸斗のその一言で作業を再び始めた。

ありがとうございました!

よかったら次話もどうぞm(*_ _)m

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